原発は日本人にセットされた時限爆弾だ!

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原子炉耐震設計審査指針をひもとく(2)ーはしがき

2016-05-18 12:30:00 | 原子力

標記指針の時代による変遷および各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

以下、地震工学に疎い、単なる機械技術者であった一人の感想を述べたい。

2.はしがき

(1)当初指針の「はしがき」、したがって、後続の指針のそれらにはその存在意義、なんのための指針なのかを明らかにしていない。

日本人の生命を左右する、非常に重要な指針であるという認識が感じられない。

そして、こういう重要な指針が国民一般で十分に論議されずに決定されて良いものだろうか。

(2)各指針に、「今後さらに新たな知見と経験の蓄積によって、必要に応じて見直される必要がある。」に類似の記載がある。

 このことは、現在の地震に関する知識、理論が完全ではなく、即ち、耐震設計を支える地震学、地震工学が成熟したものであるとは言えないこと、むしろ未熟、未完な学問であることを表明するものと解釈したい(なお、その性質上、永久に未完である)。

なお、当ブロガーは今日までの各研究成果を否定するものではないことは勿論である。

現在の地震学、地震工学が地球の歴史から見ればホンの一瞬の情報に基づき、そのホンの一瞬の情報を説明するためにあるという事実を考えれば容易に想到できる。そのことを認識した上での、とりあえずの耐震設計である。

ーーー広瀬氏は「原子炉時限爆弾」の中で、「本書に述べている大地震の脅威は、あくまで「現在分かっている歴史地震」を根拠に推測するものであり、ーー必ず過小評価になっていいると説く(同書193ページ)」。ーーー

しかし、その認識が耐震設計審査指針の中では、具体的に表現されているであろうか。後に該当箇所で詳細に検討したい。

現在の建築基準法および原子炉耐震設計指針がそのような未完の学問の上に成り立っていることが世の中に浸透していないことに危惧を感じる。

例えば、木造住宅は、最新耐震基準の下に建築されたものであっても、一定の割合いで(更に、地盤の流動化、滑りがあれば更にプラスされる)倒壊することが予定されているという事実を一般の人は知らない(その一例として、当ブログの「熊本地震に関連してーーー」参照)。

新耐震基準の下であれば、震度7の激震でも大丈夫という間違った安心感を抱いている。

更に、重要なことは、原子力発電所ですら、同様に、その耐震設計審査指針は、どんな地震が来ても正常に機能を保つことを保証するものではない。一定の仮定に基づく耐震性である。

但し、一定の仮定の上とは言え、原子力発電所には「想定外」という言葉は許されないのである。それを如何に担保するかが指針の役目のはずであるが、実際はどうかである。

(3)原子炉全般における準拠規格ならびに基準

旧指針にて、

建物・構築物の基準地震動S1等との組合せに対する許容限界については「安全上適切と認められる規格及び基準による許容応力度」としたが、具体的には「建築基準法」等がこれに対応する。

機器・配管系の許容限界については、「発生する応力に対して降伏応力又はこれと同等な安全性」を有することを基本的な考え方としたが、具体的には、電気事業法に定める「発電用原子力設備に関する技術基準」等がこれに対応する。

と規定されており、この規定は基本的に新指針にも引き継がれている。

 



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