私は世界を巡った
あらゆる土地
あらゆる国を訪ねた
山も海も川も巡った
だが私は忘れていた
私の家のすぐ外の
小さな草の葉に
一粒の露が宿って
そこに全世界が
映し出されているのを
「タゴール詩集より」 タゴール
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人間は自分の中に、他と比べようもない
素晴らしいいのちの輝きのあることに気づくためには、
長い人生の旅を巡ってこなければならないであろう。
山を越え海を渡り、あらゆる土地を巡って
その遥かな旅路の果てにわが家に戻ってみれば、
忘れ去られていた庭の小さな草の葉の露に
全世界が宿っていたのである。
わが足元の一粒の露に無限大の宇宙の意志が
宿っていると観じたのは、タゴールの内なる魂である。
そこには彼のいのちの歓びが躍動している。