「ゆうびんで~す。」
今日もゆうびん屋さんの声が聞こえてきます。
「いつもご苦労様」
京子さんの明るい声が響きます。
ゆうびん屋さんは少しはにかみながら、「ありがとうございます。」
京子さんは、今年結婚したばかりの25才の若奥さんです。
そして、ゆうびん屋さんは、今年中学校を卒業して、働き始めたばかり。
。
赤いほっぺに、幼さが残るとてもかわいい男の子です。
お父さんが病気で亡くなったので、お母さんを助けるために働いているとのことでした。。
かわいいゆうびん屋さんが届けてくれたのは、淡い緑色の封筒に入った1通の招待状でした。
招待状には
・・・・招待状・・・・
このたび、私どもではお父さんお母さんに感謝してささやかなパーティを開くことになりました。つきましては、2月14日午前0時に里山駅にお越しください。
なお、必ず、お父さんとお母さんのお二人で駅に来てください。
お願いします。
さち子
とても不思議な招待状です。
さち子、なんていう名前は聞いたことがありません。
まして、二人には未だ子供はいないのです。
親戚にも、そんな子供はいないのですから謎は深まるばかりです。
子供にはまだ恵まれていませんでしたから、きっと誰かのいたずらだろうと思ったのです。
おやおや、ゆうびん屋さんが間違えて配達したのかしら。でも、住所も名前も間違えていないわよね。
京子さんは、不思議に思いましたが単なるいたずらとも思えなかったのです。
里山駅は、京子さんの住む町の小さな駅です。
「2月14日といえば明日だけど・・・・」
不思議な手紙がどうしても気になる京子さんは、思い切ってご主人の聡(さとし)さんに夕食時に話してみたのです。
最初は、どうせいたずらに決まっているとととりあってくれなかった聡さんですが、京子さんが熱心に話すので、それなら本当か否かは判らないけれど、行ってみようかという事になりました。
翌日、聡さんははや前に帰ってきてくれました。
夕食を終えて時計を見ると、そろそろ午後8時でした、駅までは家から歩いて10分ほどなので急いで出ることもありませんでした。
やがて、ニュースが午後の11時半を告げる頃、二人はそろそろ出かけようかといって駅に向かうのでした。
外は、一面の銀世界、ほのかに月明かりが雪を照らしてとても幻想的な風景を映し出していました。
二人が里山駅に行くと、こんな遅い時間にも関わらず、駅長さんが忙しそうに仕事をしていました。
駅長さんは、二人の姿を見かけると。
こんな時間に、何かご用ですか?
あいにく最終列車は出てしまいましたが。
京子さんは、こんな手紙がきたのですがと、駅長さんに見せたところ。
「そうでしたか、大変失礼しました」
「まもなく汽車が来ますので。お二人は2両目の車両に乗ってください。」
二人には何のことかさっぱりわかりません?
時計の針が午前0時をさす頃、汽笛がなって小さな光が見えました。
「こんな時間に臨時列車でも走っているのかしら。」
京子さんは呟きます。
「キキー、ギ、ギ、キー・・・」
車輪をきしませて列車は止まりました。
みれば、昔みた蒸気機関車そっくりです、後ろには小さなマッチ箱のような客車が4両つながっていました。
さあ、このお話に続きは、夜にでも。
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