久々に更新させていただきます、このような議事録を見ていますと当時のことが思い起こされます。
確かにここに書かれているような、合理化反対と書かれた看板などが駅構内等で数多く見られましたし、50年頃までは春闘に電車で落書き(鉄労粉砕とか、マル生粉砕といった無茶苦茶と言えるような内容が平気で書かれていました。
そして、現場では現場協議と言う名前の管理者つるし上げが公然と行われたいたした時期であり国鉄管理者としては一番冬の時代であったかと思われます。
実際、当時の国鉄総裁であった高木文雄総裁(元大蔵官僚)が国鉄総裁を引き受ける際に組合問題だけは関わるなと当時の首相大平氏から特に言われたと言う記録も残っています。
官僚としては非常に優秀で何冊か金融に関する本も書かれていますが、国鉄総裁といういわば手足を縛られた巨人ではその動きは緩慢にならざるを得なかったであろうと言うことは、今となってみれば見えてくるものではあります。
前置きが長くなってしまいましたが、中村委員が指摘されるように、国鉄の職場は上記のような状態で、色々な場所でこうした張り紙などがされたものでした。
それが、中村委員が指摘した一般的な見解ではないかと思います。
>中村(正雄)委員
総理は恐らく国電やあるいは列車にお乗りになる機会はないから御存じないかもわかりませんが、われわれは国電に乗ったり列車に乗って沿線を見ておりますと、日本国有鉄道の建物の中に、合理化反対であるとか、三十五万人体制打破という字が相当書かれております。しかも、国鉄の現場の管理者はこれを見て見ぬふりをいたしております。恐らく総裁も御承知だと思いますが、総裁が現場の管理者にこのような違法状態は排除しろと指令されたということは聞いておりません。それが現在の国鉄の状態でございます。
> 総裁以下四十数万の職員が一丸となって再建に取り組むとすれば、従来のようなサボタージュであるとかあるいはストライキというような違法行為は絶対今後やらさないということを総理に確約願いたい、
> 四ツ谷光子元衆議院議員(日本共産党公認)の質問ですが、四ツ谷議員は昭和54年当選ですのでこの時は1期目になります。
質問の主旨としては、素手の質問されている内容とほぼ同じで新味は有りません。
いわゆる、「廃止対象とする路線の選定は一方的に政令にゆだねられている。」これは怪しからんから首相の責任で撤回せよといった質問で、いきなり欠陥法案であると決めつける方式はどうかと思うんですね。
さらに、もう一つ質問しておりこの辺はかなり面白いので私なりに検討してみたいと思います。
「地方交通線対策の問題が、いままで政府・自民党がとってこられました地方ローカル線に対する政策、言動の上から大いに矛盾がある、こういうことを私は指摘したいと思うのです。」
これは、従前自民党は明治に交付された鉄道敷設法に基づき鉄道建設を行ってきた、「鉄道の発展=国力の充実」と言う観点から、さらに地方ローカル線の場合はその多くが本線への培養線であったりバイパス線であると言う観点から積極的に国鉄財政が悪化してからも続けられた、そしてそこには当然のことながら政治家の思惑も入ってくる。
それを指摘しているわけで、。
> 総理はかつて鉄道建設審議会の会長を歴任をされたことがございます。この鉄道建設審議会は、赤字に構わず、がばがばとローカル線をおつくりになった、そういう法律上重要な役割りを果たしてこられたところだと私は思っております。総理が鉄建審会長でいらっしゃいました四十八年の十月に、鈴木会長名で越美線と五新線の基本計画の組みかえと、それから宮守線を福知山まで延長するための鉄道敷設法の改正を建議していらっしゃるのですが、その後、五十年にこの建議を受けて宮守線延長のための法改正が政府から提案をされ、全党一致でこれは通過しております。
正直鈴木善幸と言う人は言ってみれば昔の地域利益誘導型の典型的な議員でしたし、昭和48年頃までは鉄道建設は色々な利権なども絡んで来たのではないかと推測しております。
> もう一点は、政府が今回提案をされましたこの再建法案の内容、とりわ
> 今回の地方交通線対策におきましては、その地域における国鉄の果たしている役割りが、地域住民の暮らしやあるいは経済の上で非常に大きな役割りを果たしているということを非常に軽く見ている。ただ利用人員だとか輸送トン数が一定量以上か以下かということでふるいにかけている、こういうふうなところに非常に欠陥があると私は思うのです。
> 先ほど久保委員からも言われましたが、ところが、このときはすでに国鉄は赤字になって再建をしなければならないというふうなことが出ておった。その中で赤字線を建設することの可否を政府は問われて、当時の運輸大臣はこのように答えていらっしゃるわけなんです。「しかし国鉄の持っております使命という点から考えまして、特に過疎地域にいる人たちの生活基盤を整備するという面から考えますと、その地方に鉄道を敷設していくということは国家的には非常に重要な意義を持つわけでございます。したがいまして、国鉄の持っております公共性という面からいきまして、こういう地帯にこういった鉄道新線を建設するということは、またやらなければならない使命の一つであろうと思うわけでございます。」こういうふうに当時の運輸大臣ははっきりとお答えになっているわけでございます。
この辺からの答弁は正直かなり苦しい?言い訳にも聞こえてきますが、鉄道の利便性は認めるけれど、地方ローカル線も国鉄が国民の足の確保を謳っておりますが、必ずしも地方ローカル線に今後はこだわらないよと言っているわけで、これは裏を返せば地方ローカル線の
建設や存続だけでは票につながりませんと言っているのかもしれません。
実際そうした見方をする本もあります。
私の個人的にはそうした点があったのではないかと思っています。
>塩川国務大臣
過疎地域と国鉄との関係でございますが、過疎地域に対する足の確保というのは依然として政府の基本政策の一つでございますから、それは私たちは今後におきましても行政措置をもって足の確保を努めてまいります。しかし、昭和四十八年、第一次石油ショック以降、産業構造の転換なり、あるいはその地方におきます道路の発達、そういう社会的な条件も変わってまいりましたし、また、省エネルギーという問題は国民のこれは必須の課題でございますが、その際にやはり省エネルギーの政策を勘案するならば、交通機関の効率という点から考えてまいりますと、どうしても過疎における足の確保ということと、それがために国鉄を鉄道として運用しなければならぬという問題との間には、やはり政策として考慮すべき点があるのは当然でございます
**************************以下は国会審議の本文になります。**********************
○中村(正雄)委員 それに関連いたしまして、総理は恐らく国電やあるいは列車にお乗りになる機会はないから御存じないかもわかりませんが、われわれは国電に乗ったり列車に乗って沿線を見ておりますと、日本国有鉄道の建物の中に、合理化反対であるとか、三十五万人体制打破という字が相当書かれております。しかも、国鉄の現場の管理者はこれを見て見ぬふりをいたしております。恐らく総裁も御承知だと思いますが、総裁が現場の管理者にこのような違法状態は排除しろと指令されたということは聞いておりません。それが現在の国鉄の状態でございます。
また、いま総理がおっしゃいましたように、総裁以下四十数万の職員が一丸となって再建に取り組むとすれば、従来のようなサボタージュであるとかあるいはストライキというような違法行為は絶対今後やらさないということを総理に確約願いたい、この点を重ねてお尋ねいたしたい。
○鈴木内閣総理大臣 大変強い御鞭撻をいただきまして、私ども肝に銘じまして御趣旨に沿うように最善を尽くしたい、こう思っております。
○中村(正雄)委員 私は最後に、先ほど加藤君からもちょっとお話がありましたが、国鉄の経営自体の再建という一つの方策はこれが最後の機会ではないかと思います。このことを政府も国鉄の役員も職員も十分考えて真剣に取り組み、少なくとも、この法案の骨子であります六十年度においては、国鉄の分野において収支の均衡がとれるように努力を願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小此木委員長 四ツ谷光子君。
○四ツ谷委員 初めに、二問続けてお尋ねさせていただきます。
本法案の中にある地方交通線対策におきまして、廃止対象とする路線の選定は一方的に政令にゆだねられている。これはこの委員会でも大いに論議をされているところですけれども、その肝心かなめの政令につきましても、運輸省の考えと申しますか、案の案というふうな話がありましたけれども、わずかにそういうものが示されただけであって、これから関係各省庁で協議を重ねていくというふうな状態では、鈴木内閣としては国民に対して全く無責任な態度と言わなければならないと思うのです。先ほど三浦議員が質問をいたしまして、廃止対象路線を選定する際に非常に大切な個々の営業線の決め方が法律上全く欠落をしているという点が明らかになったのですけれども、そのときに鉄監局長が御答弁になりましたが、国鉄の営業線を区分し、特定する場合は、国鉄線路名称を基本にして政令で決めたい、このように御答弁になりましたが、これは営業線区分を政府が自由に動かせる、こういうことです。たとえば現在幹線の一部になっている枝線も抜き打ち的に廃止対象路線に入るかもわからない。そうすれば、地域住民にとってはまさに寝耳に水という重大な事態も起こりかねないということではないでしょうか。しかも、この法律では、営業線を区分し、特定することについて政令に委任していないという点でも全く欠陥法案と言うことができると思うのです。
内閣の総責任者としての総理大臣として、このような法律上致命的な欠陥を持ち、運用上も大変な矛盾と不公正をもたらすような欠陥法案は直ちに撤回をされるべきだと私は思いますが、総理の御所見を求めたいと思います。
もう一点は、政府が今回提案をされましたこの再建法案の内容、とりわけ地方交通線対策の問題が、いままで政府・自民党がとってこられました地方ローカル線に対する政策、言動の上から大いに矛盾がある、こういうことを私は指摘したいと思うのです。
今回の地方交通線対策におきましては、その地域における国鉄の果たしている役割りが、地域住民の暮らしやあるいは経済の上で非常に大きな役割りを果たしているということを非常に軽く見ている。ただ利用人員だとか輸送トン数が一定量以上か以下かということでふるいにかけている、こういうふうなところに非常に欠陥があると私は思うのです。
先ほど久保委員からも言われましたが、総理はかつて鉄道建設審議会の会長を歴任をされたことがございます。この鉄道建設審議会は、赤字に構わず、がばがばとローカル線をおつくりになった、そういう法律上重要な役割りを果たしてこられたところだと私は思っております。総理が鉄建審会長でいらっしゃいました四十八年の十月に、鈴木会長名で越美線と五新線の基本計画の組みかえと、それから宮守線を福知山まで延長するための鉄道敷設法の改正を建議していらっしゃるのですが、その後、五十年にこの建議を受けて宮守線延長のための法改正が政府から提案をされ、全党一致でこれは通過しております。ところが、このときはすでに国鉄は赤字になって再建をしなければならないというふうなことが出ておった。その中で赤字線を建設することの可否を政府は問われて、当時の運輸大臣はこのように答えていらっしゃるわけなんです。「しかし国鉄の持っております使命という点から考えまして、特に過疎地域にいる人たちの生活基盤を整備するという面から考えますと、その地方に鉄道を敷設していくということは国家的には非常に重要な意義を持つわけでございます。したがいまして、国鉄の持っております公共性という面からいきまして、こういう地帯にこういった鉄道新線を建設するということは、またやらなければならない使命の一つであろうと思うわけでございます。」こういうふうに当時の運輸大臣ははっきりとお答えになっているわけでございます。
しかも、この間の中央公聴会で公述人の方が、国鉄の特性について非常に具体的に述べていらっしゃるわけでございます。国鉄はバスに比べて非常に安い。それから、時間も正確である。もし降雪地域であれば、バス等に転換すれば交通事故も起こるであろうし、そういうことを考えると国鉄の果たす役割りは非常に大きい。今度の法案のようにただ運ぶ人数、そういうふうなものだけで地方ローカル線の対策を考えてもらうのは非常に困る。こういうふうな具体的な公述があったわけでございます。
いままで地方ローカル線の問題につきましては、各党派、各地域の人たちの大変な協力の中で進めてこられたし、また歴代の自民党の総務会長が、先ほど言いました鉄道建設審議会の会長を歴任してこられて、地方ローカル線推進の先頭に立ってこられたわけでございます。
そういうふうに考えますと、今度の法案と、いままでとってこられた政府・自民党の立場は非常に矛盾をしているというふうに私は考えるわけでございます。総理・総裁としての鈴木さんと、そして総務会長として、鉄道建設審議会の会長としての鈴木さんと別人格なのでしょうか。その点について総理の明確な御答弁をお願いしだいと思います。
○塩川国務大臣 最初に、政令の基準が明確でない、したがって、この法案は欠陥法案であるという御指摘がございましたが、私たちは決してこの法案そのものに何ら瑕疵はあるものとは思っておりません。ただ、この委員会の審議を通じまして私たちが感じておりますことは、要するに政令を制定するに際しまして、公平にして合理的な基準というものを明示するということでございまして、そのことは今後におきます政令づくりの中で必ず御要望に沿うように明確な政令を提示いたすようにいたしたいと思っております。したがって、政令の基準が定まってまいりますと、この法案におきます欠陥性というものはなくなってくるものでございますゆえ、そのようにひとつ御認識を改めていただきたいと思うのでございます。
それから、過疎地域と国鉄との関係でございますが、過疎地域に対する足の確保というのは依然として政府の基本政策の一つでございますから、それは私たちは今後におきましても行政措置をもって足の確保を努めてまいります。しかし、昭和四十八年、第一次石油ショック以降、産業構造の転換なり、あるいはその地方におきます道路の発達、そういう社会的な条件も変わってまいりましたし、また、省エネルギーという問題は国民のこれは必須の課題でございますが、その際にやはり省エネルギーの政策を勘案するならば、交通機関の効率という点から考えてまいりますと、どうしても過疎における足の確保ということと、それがために国鉄を鉄道として運用しなければならぬという問題との間には、やはり政策として考慮すべき点があるのは当然でございますし、そういう点から見ましても、今回国鉄再建の一つの方法といたしまして、鉄道としての特性を失っておるところ、この地域におきますところの鉄道は代替交通機関等に転換いたしたいということをお願いしておるわけでございます。でございますから、過疎におきます交通の確保という問題は、これは行政の責任として今後とも懸命の努力を進めていきますので、これは政策上から申しましても私は矛盾するものではない、こう思っておりますので、御了解いただきたいと思います。
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国鉄があった時代 JNR-era
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確かにここに書かれているような、合理化反対と書かれた看板などが駅構内等で数多く見られましたし、50年頃までは春闘に電車で落書き(鉄労粉砕とか、マル生粉砕といった無茶苦茶と言えるような内容が平気で書かれていました。
そして、現場では現場協議と言う名前の管理者つるし上げが公然と行われたいたした時期であり国鉄管理者としては一番冬の時代であったかと思われます。
実際、当時の国鉄総裁であった高木文雄総裁(元大蔵官僚)が国鉄総裁を引き受ける際に組合問題だけは関わるなと当時の首相大平氏から特に言われたと言う記録も残っています。
官僚としては非常に優秀で何冊か金融に関する本も書かれていますが、国鉄総裁といういわば手足を縛られた巨人ではその動きは緩慢にならざるを得なかったであろうと言うことは、今となってみれば見えてくるものではあります。
前置きが長くなってしまいましたが、中村委員が指摘されるように、国鉄の職場は上記のような状態で、色々な場所でこうした張り紙などがされたものでした。
それが、中村委員が指摘した一般的な見解ではないかと思います。
>中村(正雄)委員
総理は恐らく国電やあるいは列車にお乗りになる機会はないから御存じないかもわかりませんが、われわれは国電に乗ったり列車に乗って沿線を見ておりますと、日本国有鉄道の建物の中に、合理化反対であるとか、三十五万人体制打破という字が相当書かれております。しかも、国鉄の現場の管理者はこれを見て見ぬふりをいたしております。恐らく総裁も御承知だと思いますが、総裁が現場の管理者にこのような違法状態は排除しろと指令されたということは聞いておりません。それが現在の国鉄の状態でございます。
> 総裁以下四十数万の職員が一丸となって再建に取り組むとすれば、従来のようなサボタージュであるとかあるいはストライキというような違法行為は絶対今後やらさないということを総理に確約願いたい、
> 四ツ谷光子元衆議院議員(日本共産党公認)の質問ですが、四ツ谷議員は昭和54年当選ですのでこの時は1期目になります。
質問の主旨としては、素手の質問されている内容とほぼ同じで新味は有りません。
いわゆる、「廃止対象とする路線の選定は一方的に政令にゆだねられている。」これは怪しからんから首相の責任で撤回せよといった質問で、いきなり欠陥法案であると決めつける方式はどうかと思うんですね。
さらに、もう一つ質問しておりこの辺はかなり面白いので私なりに検討してみたいと思います。
「地方交通線対策の問題が、いままで政府・自民党がとってこられました地方ローカル線に対する政策、言動の上から大いに矛盾がある、こういうことを私は指摘したいと思うのです。」
これは、従前自民党は明治に交付された鉄道敷設法に基づき鉄道建設を行ってきた、「鉄道の発展=国力の充実」と言う観点から、さらに地方ローカル線の場合はその多くが本線への培養線であったりバイパス線であると言う観点から積極的に国鉄財政が悪化してからも続けられた、そしてそこには当然のことながら政治家の思惑も入ってくる。
それを指摘しているわけで、。
> 総理はかつて鉄道建設審議会の会長を歴任をされたことがございます。この鉄道建設審議会は、赤字に構わず、がばがばとローカル線をおつくりになった、そういう法律上重要な役割りを果たしてこられたところだと私は思っております。総理が鉄建審会長でいらっしゃいました四十八年の十月に、鈴木会長名で越美線と五新線の基本計画の組みかえと、それから宮守線を福知山まで延長するための鉄道敷設法の改正を建議していらっしゃるのですが、その後、五十年にこの建議を受けて宮守線延長のための法改正が政府から提案をされ、全党一致でこれは通過しております。
正直鈴木善幸と言う人は言ってみれば昔の地域利益誘導型の典型的な議員でしたし、昭和48年頃までは鉄道建設は色々な利権なども絡んで来たのではないかと推測しております。
> もう一点は、政府が今回提案をされましたこの再建法案の内容、とりわ
> 今回の地方交通線対策におきましては、その地域における国鉄の果たしている役割りが、地域住民の暮らしやあるいは経済の上で非常に大きな役割りを果たしているということを非常に軽く見ている。ただ利用人員だとか輸送トン数が一定量以上か以下かということでふるいにかけている、こういうふうなところに非常に欠陥があると私は思うのです。
> 先ほど久保委員からも言われましたが、ところが、このときはすでに国鉄は赤字になって再建をしなければならないというふうなことが出ておった。その中で赤字線を建設することの可否を政府は問われて、当時の運輸大臣はこのように答えていらっしゃるわけなんです。「しかし国鉄の持っております使命という点から考えまして、特に過疎地域にいる人たちの生活基盤を整備するという面から考えますと、その地方に鉄道を敷設していくということは国家的には非常に重要な意義を持つわけでございます。したがいまして、国鉄の持っております公共性という面からいきまして、こういう地帯にこういった鉄道新線を建設するということは、またやらなければならない使命の一つであろうと思うわけでございます。」こういうふうに当時の運輸大臣ははっきりとお答えになっているわけでございます。
この辺からの答弁は正直かなり苦しい?言い訳にも聞こえてきますが、鉄道の利便性は認めるけれど、地方ローカル線も国鉄が国民の足の確保を謳っておりますが、必ずしも地方ローカル線に今後はこだわらないよと言っているわけで、これは裏を返せば地方ローカル線の
建設や存続だけでは票につながりませんと言っているのかもしれません。
実際そうした見方をする本もあります。
私の個人的にはそうした点があったのではないかと思っています。
>塩川国務大臣
過疎地域と国鉄との関係でございますが、過疎地域に対する足の確保というのは依然として政府の基本政策の一つでございますから、それは私たちは今後におきましても行政措置をもって足の確保を努めてまいります。しかし、昭和四十八年、第一次石油ショック以降、産業構造の転換なり、あるいはその地方におきます道路の発達、そういう社会的な条件も変わってまいりましたし、また、省エネルギーという問題は国民のこれは必須の課題でございますが、その際にやはり省エネルギーの政策を勘案するならば、交通機関の効率という点から考えてまいりますと、どうしても過疎における足の確保ということと、それがために国鉄を鉄道として運用しなければならぬという問題との間には、やはり政策として考慮すべき点があるのは当然でございます
**************************以下は国会審議の本文になります。**********************
○中村(正雄)委員 それに関連いたしまして、総理は恐らく国電やあるいは列車にお乗りになる機会はないから御存じないかもわかりませんが、われわれは国電に乗ったり列車に乗って沿線を見ておりますと、日本国有鉄道の建物の中に、合理化反対であるとか、三十五万人体制打破という字が相当書かれております。しかも、国鉄の現場の管理者はこれを見て見ぬふりをいたしております。恐らく総裁も御承知だと思いますが、総裁が現場の管理者にこのような違法状態は排除しろと指令されたということは聞いておりません。それが現在の国鉄の状態でございます。
また、いま総理がおっしゃいましたように、総裁以下四十数万の職員が一丸となって再建に取り組むとすれば、従来のようなサボタージュであるとかあるいはストライキというような違法行為は絶対今後やらさないということを総理に確約願いたい、この点を重ねてお尋ねいたしたい。
○鈴木内閣総理大臣 大変強い御鞭撻をいただきまして、私ども肝に銘じまして御趣旨に沿うように最善を尽くしたい、こう思っております。
○中村(正雄)委員 私は最後に、先ほど加藤君からもちょっとお話がありましたが、国鉄の経営自体の再建という一つの方策はこれが最後の機会ではないかと思います。このことを政府も国鉄の役員も職員も十分考えて真剣に取り組み、少なくとも、この法案の骨子であります六十年度においては、国鉄の分野において収支の均衡がとれるように努力を願いたいということを要望いたしまして、私の質問を終わります。
○小此木委員長 四ツ谷光子君。
○四ツ谷委員 初めに、二問続けてお尋ねさせていただきます。
本法案の中にある地方交通線対策におきまして、廃止対象とする路線の選定は一方的に政令にゆだねられている。これはこの委員会でも大いに論議をされているところですけれども、その肝心かなめの政令につきましても、運輸省の考えと申しますか、案の案というふうな話がありましたけれども、わずかにそういうものが示されただけであって、これから関係各省庁で協議を重ねていくというふうな状態では、鈴木内閣としては国民に対して全く無責任な態度と言わなければならないと思うのです。先ほど三浦議員が質問をいたしまして、廃止対象路線を選定する際に非常に大切な個々の営業線の決め方が法律上全く欠落をしているという点が明らかになったのですけれども、そのときに鉄監局長が御答弁になりましたが、国鉄の営業線を区分し、特定する場合は、国鉄線路名称を基本にして政令で決めたい、このように御答弁になりましたが、これは営業線区分を政府が自由に動かせる、こういうことです。たとえば現在幹線の一部になっている枝線も抜き打ち的に廃止対象路線に入るかもわからない。そうすれば、地域住民にとってはまさに寝耳に水という重大な事態も起こりかねないということではないでしょうか。しかも、この法律では、営業線を区分し、特定することについて政令に委任していないという点でも全く欠陥法案と言うことができると思うのです。
内閣の総責任者としての総理大臣として、このような法律上致命的な欠陥を持ち、運用上も大変な矛盾と不公正をもたらすような欠陥法案は直ちに撤回をされるべきだと私は思いますが、総理の御所見を求めたいと思います。
もう一点は、政府が今回提案をされましたこの再建法案の内容、とりわけ地方交通線対策の問題が、いままで政府・自民党がとってこられました地方ローカル線に対する政策、言動の上から大いに矛盾がある、こういうことを私は指摘したいと思うのです。
今回の地方交通線対策におきましては、その地域における国鉄の果たしている役割りが、地域住民の暮らしやあるいは経済の上で非常に大きな役割りを果たしているということを非常に軽く見ている。ただ利用人員だとか輸送トン数が一定量以上か以下かということでふるいにかけている、こういうふうなところに非常に欠陥があると私は思うのです。
先ほど久保委員からも言われましたが、総理はかつて鉄道建設審議会の会長を歴任をされたことがございます。この鉄道建設審議会は、赤字に構わず、がばがばとローカル線をおつくりになった、そういう法律上重要な役割りを果たしてこられたところだと私は思っております。総理が鉄建審会長でいらっしゃいました四十八年の十月に、鈴木会長名で越美線と五新線の基本計画の組みかえと、それから宮守線を福知山まで延長するための鉄道敷設法の改正を建議していらっしゃるのですが、その後、五十年にこの建議を受けて宮守線延長のための法改正が政府から提案をされ、全党一致でこれは通過しております。ところが、このときはすでに国鉄は赤字になって再建をしなければならないというふうなことが出ておった。その中で赤字線を建設することの可否を政府は問われて、当時の運輸大臣はこのように答えていらっしゃるわけなんです。「しかし国鉄の持っております使命という点から考えまして、特に過疎地域にいる人たちの生活基盤を整備するという面から考えますと、その地方に鉄道を敷設していくということは国家的には非常に重要な意義を持つわけでございます。したがいまして、国鉄の持っております公共性という面からいきまして、こういう地帯にこういった鉄道新線を建設するということは、またやらなければならない使命の一つであろうと思うわけでございます。」こういうふうに当時の運輸大臣ははっきりとお答えになっているわけでございます。
しかも、この間の中央公聴会で公述人の方が、国鉄の特性について非常に具体的に述べていらっしゃるわけでございます。国鉄はバスに比べて非常に安い。それから、時間も正確である。もし降雪地域であれば、バス等に転換すれば交通事故も起こるであろうし、そういうことを考えると国鉄の果たす役割りは非常に大きい。今度の法案のようにただ運ぶ人数、そういうふうなものだけで地方ローカル線の対策を考えてもらうのは非常に困る。こういうふうな具体的な公述があったわけでございます。
いままで地方ローカル線の問題につきましては、各党派、各地域の人たちの大変な協力の中で進めてこられたし、また歴代の自民党の総務会長が、先ほど言いました鉄道建設審議会の会長を歴任してこられて、地方ローカル線推進の先頭に立ってこられたわけでございます。
そういうふうに考えますと、今度の法案と、いままでとってこられた政府・自民党の立場は非常に矛盾をしているというふうに私は考えるわけでございます。総理・総裁としての鈴木さんと、そして総務会長として、鉄道建設審議会の会長としての鈴木さんと別人格なのでしょうか。その点について総理の明確な御答弁をお願いしだいと思います。
○塩川国務大臣 最初に、政令の基準が明確でない、したがって、この法案は欠陥法案であるという御指摘がございましたが、私たちは決してこの法案そのものに何ら瑕疵はあるものとは思っておりません。ただ、この委員会の審議を通じまして私たちが感じておりますことは、要するに政令を制定するに際しまして、公平にして合理的な基準というものを明示するということでございまして、そのことは今後におきます政令づくりの中で必ず御要望に沿うように明確な政令を提示いたすようにいたしたいと思っております。したがって、政令の基準が定まってまいりますと、この法案におきます欠陥性というものはなくなってくるものでございますゆえ、そのようにひとつ御認識を改めていただきたいと思うのでございます。
それから、過疎地域と国鉄との関係でございますが、過疎地域に対する足の確保というのは依然として政府の基本政策の一つでございますから、それは私たちは今後におきましても行政措置をもって足の確保を努めてまいります。しかし、昭和四十八年、第一次石油ショック以降、産業構造の転換なり、あるいはその地方におきます道路の発達、そういう社会的な条件も変わってまいりましたし、また、省エネルギーという問題は国民のこれは必須の課題でございますが、その際にやはり省エネルギーの政策を勘案するならば、交通機関の効率という点から考えてまいりますと、どうしても過疎における足の確保ということと、それがために国鉄を鉄道として運用しなければならぬという問題との間には、やはり政策として考慮すべき点があるのは当然でございますし、そういう点から見ましても、今回国鉄再建の一つの方法といたしまして、鉄道としての特性を失っておるところ、この地域におきますところの鉄道は代替交通機関等に転換いたしたいということをお願いしておるわけでございます。でございますから、過疎におきます交通の確保という問題は、これは行政の責任として今後とも懸命の努力を進めていきますので、これは政策上から申しましても私は矛盾するものではない、こう思っておりますので、御了解いただきたいと思います。
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