国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

赤い帽子の駅長さん(メルヘン列車)

2005-05-10 22:17:29 | 創作童話
赤い帽子の駅長さん

前回のお話では、お昼寝をしてしまった駅長さん、今日は朝から大忙しです。
ばたばた、ドカドカ、がしゃーん・・・おやおや、何かに足を引っ掛けたみたいですよ。
おやおや、駅長さん台所にある小麦粉を頭からかぶったみたい、頭から足の先まで真っ白です。

小さな駅ですので、駅長さんと言えども駅に泊まることがあります。
本来ならば、若い駅員さんが泊まるのですが今日は用事があると言うことで帰ってしまったのです。

朝の小麦粉の失敗は何処へやら、きちんと着替えた駅長さんかっこいいです、でもズボンの裾に白い粉が・・・

時計は夜の12時を回りました、本来であれば駅はもう寝静まっている時間なのですが今日は特別な列車がやって来るのです、駅長さんは、その列車を待っていたのでした。

やがて遠くで、「カンカンカンカン」、踏切が鳴り始めました。
犬が気配を感じてか「ワンワン」

駅長さん、時計を見ると急にソワソワしだしました。
でも、列車の音は聞こえません、犬はしきりに天を見上げて吠えています。

空を見上げると小さな星が見えました、それが徐々に大きくなってくるのです、実は星と思えたのは機関車だったのです。
 それも、ブロックで出来た玩具の機関車、今日は赤色と青色の色違いの機関車でした、後ろにはコンテナ風のカプセルがついているようです。
 ブロックで出来た機関車は、静かに線路の降り立ちやがて駅長さんの前を静かに通り過ぎて停止しました。
 この列車、実は駅長さんにしか見えないのです。
 駅長さんは、機関士に話し掛けました。
 「おつかれさま、何時も大変だね。」
 「そんなことは無いですよ、駅長さん、私たちはとても大切な命を運んでいるのですから、無事届けるのが私たちの仕事ですからね。」
 「そうだね、本当だよね。」駅長は呟くのでした。

コンテナ風のカプセルが大事そうに降ろされて駅のホームに置かれました。
このカプセルは一体何なのでしょう?

 「こんばんは」コツコツ、「こんばんは」、コツコツ
駅の外で誰かがとを叩いています。

 「おはいり」
 駅長さんが行って、ドアを開けてやるとコウノトリが三羽、実は、このカプセルには赤ちゃんが乗っていたのです。
 駅長さんは、一人づつ、大事な大事な宝物を抱えるようにして降ろしてコウノトリに渡してやりました。
 赤ちゃんには、よくみると小さな羽根が生えています、これは天使の羽根なんです、でも人間の世界に降りてきたらこの羽はやがて消えてしまいます。
 駅長さんは赤ちゃんが寒くないように服を着せてあげました、また鳥が運びやすいようにコウノトリは一羽づつ、あかちゃんを乗せると、そっと飛びだっていきました。
 そう、赤ちゃんを待っているお母さんの元へ。
・・・・・しばらくして、駅長さんはそっと、今日運ばれて言った赤ちゃんの家を訪ねてみました、窓の外から覗いてみると、お母さんは赤ちゃんにおっぱいをあげていました。 赤ちゃんは、時々おっぱいを吸うのを止めてお母さんにニッコリと微笑を返しています。
 お母さんはとても幸せそうでした、それを見た駅長さんも。思わずニッコリ。

子供は天の授かり物、大切にしなくては。
そう独り言を呟く駅長さんでした、でも駅長さん、明日は始発電車の出発までに起きられるのですか?
 駅長さんのことですから、始発電車が来る頃は、未だ寝ているかもしれませんよ。

最近ご子息がお生まれになったKさんにささげます。

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