酒馬鹿三兄弟、次男の岸壁はしご酒

酒は飲んだら飲まれましょう、しかし仲良く。拙い酒と乱暴ポエトリ月夜の酩酊ランデブー

美しいものと出会う

2009-09-18 12:21:46 | 

あの娘と出かけた翌々日に、
俺は山に入り、あの娘の事をそこではすっかりと忘れていた


次の最初の約束は、彼女の南の島へのバカンスで
取り消され、その次の週からは5日間、
俺が再び山に入るということで、
約束は結果、一月後の週末となった

お互いは、まだその時に酒や映画に、
興味を持ったままでいられるだろうか?
素晴らしい島の海辺や、山の絶景と命のやり取りの後で、
まだ二人に引き止めるものが在るか

はっきり言って拠り所のない疑わしさでいるが、
なんだか俺は自分を否定したく、
そうならないことを願っている、
興味を失うのは我慢がならないので

同じよう、彼女も否定したく思っている
あの娘も急に、ぷいと違う方向を見てしまう、
様に思うから。

あの頃は黒人の文化の全てを愛していたんだ

2009-09-15 12:40:30 | 




彼女には知る由もない
19年も前は、暇を持て余していて
スパイク・リーの最初のビッグヒットになった映画を
公開初日、並んでまで見に行った、今では考えられないが。

刈り込んだ頭で日焼けして、
真っ白いスニーカー姿だった俺は、随分となびいていたのだろう

その19年前に行った映画館は
1度か2度は改装されたのだろうか
つまりは昨日あの娘と一緒に過ごした映画館だった。

俺はその事は言わなかった、ので
彼女は知る由もないだろう
記憶は曖昧で、映画館を前にして急に
思い出したことだったが
それでも俺は彼女に、19年前の事を、
話す気にならなかった


徒労に終わった恋の話はする気がない、
それは陳腐な気がしたので。

one deal

2009-09-10 12:41:41 | 



遅刻した俺の
払いは彼女がすでに済ませて待っていた、

一つ借りだ。
中で、
彼女のワインとXXXXは俺が支払ったが、余りの金は返された

これも借り。
だが、しかし、
6月は俺がチケットもハモンセラートも
彼女に振舞った、
その貸しを彼女は帳消しにし、
要するに対等にしたわけだ。

そんな必要があるだろうか、
甘い関係を金で期待しているわけでは
更々ないと言うのに、

金で買うなら西新宿のセキュリティーの堅い、
淫売の部屋に行けば良い。

もしくは南千住あたり、借りたポルシェを急停止させれば済むことだ

あの娘の、いつもはぎゅっと締まったスカートの腰が
今日は緩やかな上着で覆われている、
むしろその方が良い、おかげで、
熱っぽい頭は、戦争映画と一緒に荒涼としていく
が、

なんだか今晩の別れは穏やかなものだ
酔って、焼きが回らないからかも知れない。

奇跡の夜では光さえ

2009-09-08 12:03:05 | 




俺は焦って車道を走っているが、
噴水の前に着く時にはあの娘に気取られないように
と思っている。

ぬけた上海人の尻拭いに
タイ人と話をさせられる、韓国の代理店に頼まれて。
そんな手間で、貴重な時間が15分、たったそれだけで
俺は走らないといけない、
しかし慌てている自分を気取られないよう、
待ち合わせの寸前には、優雅に歩く気でいる。
些細な香水が、俺の汗を紛らせてくれるだろうか、

実際地下鉄は待たずにホームに現われ、
映画の時間を10分早く勘違いした俺は
少しだけ余裕を取り戻す
小賢しく襟を立てて、腹など出ていないか擦ってみる。

落ち着いて電話を掛けて、
”今行くわ”と言う彼女の言葉に
噴水の向こうを振り返ると、
後ろの街灯が幾つも重なって強く
こちらに向かう彼女を背から照らす、

眩しすぎたのか
俺にはそれがアンジェロに見えた、
気がした。

40エーカーの怒り

2009-09-04 12:17:17 | 

噴水脇の劇場を出る、
涼しい風が吹いてくる。
こんな良い夜に、
路地を50m歩いた先で
女と別れた、
この短さは記録的だ、個人的に。

あの娘の折れた左にも
俺が進んだ右側にも
うなるほどバーが鈴なっていたが
あの劇場の後では、
パンも、肉も口に出来まい、
ましてワインも


スパイク・リーは
健在だ。
が、
憎しみは忘れないのかもしれない、
或いはそれから開放してくれるものを待っている

許し難いもの、とこそ
平和を結びたいと思うのは
人にはあることだろう


あの娘にも、憎しみがあるだろうか
その先に愛があるかなんて事は、疑っても良い。
しかし、その心であることは、生きている証だ
死んだ人間でいるくらいなら、
怒りを捨てずに生きるほうがましだ

そんな戯言を言いながら、
もしもその週末に山に入るのでなかったら
左に進んだ彼女に追いつき
バーに誘ったに違いない、
あるいはコリドーのバルにでも

あの劇場の後で
フローレンスにゆかりの、ネグローニ一杯、二杯
としたら
黒人兵士たちは、悪い冗談だと
あざわらうかもしれない