酒馬鹿三兄弟、次男の岸壁はしご酒

酒は飲んだら飲まれましょう、しかし仲良く。拙い酒と乱暴ポエトリ月夜の酩酊ランデブー

情け容赦無く

2009-07-22 12:54:14 | 




彼女は気まぐれだったわけでは無いだろう
お互いの中に何かは見かけたのかも知れないが

とにかく金曜の夜は色々だった。
ある時はとてもよかったし
その次の月の金曜は、まるで中途半端だった、
いずれにしろ彼女は俺を果てさせない、
いつの間にか振り返り、
ドアを開けて出てしまう
それはもっともな話で、
彼女にはさる高名な研究者の男がいて
一方、俺は酔っ払って歩道橋の上で立ち止まるような人間だ

赤ら顔の淀んだ眼差しで話す与太話に飽き飽きするのかも知れない

しかし、なにか
それらの要素よりも、もっと決定的なものが
俺たちを近づけさせないように思う。

それでも足早の女の後を、地下鉄の階段まで
送る振りをしながら追いすがる男の姿は、どんなものか?
哀れみを知る羽目だ。

ようやく無様さに気付いた俺は
地下への階段を降りきる前
どうにか止まることが出来、
一言”お休み”
そう言って、
次のバーを探した。

ダウンワード・ジャーニー

2009-07-14 12:48:17 | 



カシミールのお寒い争い
ベンガルの腐った果物と、
飢えた犬が人間の糞を食らう逸話、
そして、便座を巡るエジンバラとボンベイの物語は
何よりも心優しい。
男と女の行く末に、目頭を押さえながら
感動の振りをして、そっと彼女の体を撫でようとしたのだが


女は
”あんたには愛する家庭があるんでしょう”

そのセリフは間違いじゃない

しかし、愛は時に場違いな真似をする
愛は狂おしいものだ
全てを得て、だけど全てを失って生きる、
と言うこともある、
きっとそれを、彼女はまだ知らないだろう


パラシュートも無いまま
荷物を抱えてゴアの上を飛ぶ
堕ちた旅には
そうそう他人を連れては行けないのかも知れない

詩聖と呼ぶ者は

2009-07-10 12:31:27 | 




ただ飯を食ってワインの飲み下し、
早々に別れる夜を彼女と過ごすのは問題では無い

繋がりは一つの夜になり
それは一つの気侭な映画を見つけ
その後6杯の赤ワインで4つの詩が出来たり、する

自分にとっては代え難い自浄だろう。が、
彼女にとっては迷惑な話だ

アリストテレス風に言うならもともと本当は自分の半分だった部分を探している
かも知れない彼女にとって
俺は確実に探求に満たない存在だ
無駄な時間を割かせてもいいのか
俺にはわからない

ただ俺にとっては
酒場の安ワインを詩に変えるミューズは
プラトニックにすら、大切なものだ

きっと得るものは

2009-07-06 12:28:36 | 



きっと欲しいと思ったものは
手に入れない方が良いに違いない
強請った消防自動車の玩具に
見向きもしなくなるガキの様に
欲しがった事を忘れてしまう、
事だろう

きっと忘れてしまうよりは
欲しがったままいた方が
俺をより良くしてくれる
代償は高いかもだが。

途中でやめるワイン
その夜中に乗る地下鉄
ストップする無駄話・・・

好きだった映画は
スペインバルでは10年前で止まってしまう

それでも欲しがった物を手に入れて
忘れてしまう愚かさよりは

俺は失望を、選り望んでいる

エンコア

2009-07-03 12:54:58 | 




フィーノを、3杯
たったそれだけで
狂ったように話し出した、のはつまり
きっと酔っていて
信用も何もない

ただこれだけは覚えておいてもらいたい

都会の流行りでしばらく店を開ける
繁華街のバルのそれよりも、
スペインオムレツはもっとずっと素晴らしい、

イベリコ・ベジョータ
ガンバス・アル・アヒージョ
そしてリベラ・デル・デュエロのワイン。
もっと素晴らしいことを証明する為、
夜中あの娘を桜ヶ丘から連れ出そうとするが

フィーノ三杯で
狂ったように喋る男は
信用にあたらないだろう

あの娘のプラットフォームは此処では無い

TO YOU .CO.JP

2009-07-01 12:39:12 | 
その映画館は昔思ったよりも
広く

スクリーンのすべてを良く見るには
選んだ席は少々近すぎたかもしれない

トランスや、マサラは昔は嫌いだった、
いや、好きだった。

つまりどうってこと無かった
今この椅子に座り、あの娘の横で見る
アーリア人たちの姿には釘付けにさせられた

クライマックス、駅のホームでの永遠の恋との再会は恐らく何かを暗示する

新しい旅

そういえばあの娘も列車で出遭ったヨーロッパ人とアメリカ人の
懐かしい映画を知っていた

駅はスタート地点であって、そして宿りなのだろう
その間の旅は大抵辛いものだ。

駅の独特の安らぎに、どうやら俺はついつい潤んだようだが
あの娘もそのように見えた

その後、”純愛って素晴らしいわよね”
と言われて愕然とするのだが。

TO YOU .CO.JP Ⅱ

2009-07-01 12:27:26 | 

 

要するに、彼女が真に望んでいたものを 
見過ごしてしまって、 
色々なサインを無視して 
性急に欲求を押し付けてしまっただけだった 

彼女が真に望んでいたものは、 
分かつことの無い、最良の愛で 
2つ規則正しく並ぶ 
枕のようなものだったのに 

気付きもしなかった、 
あの夜は。 

時間は引き延ばすことも、 
取り戻すことも出来ないが、次の夜があれば 
その夜は彼女の望みの話をしてみよう 
ゴアへの旅かもしれない、 
パタヤや、スラバヤかも知れない 
もしくは長く続くちっぽけな愛かも、 

それはきっと俺には資格の無い話だろう、 
そしてそれは、何の問題も無い