彼女は気まぐれだったわけでは無いだろう
お互いの中に何かは見かけたのかも知れないが
とにかく金曜の夜は色々だった。
ある時はとてもよかったし
その次の月の金曜は、まるで中途半端だった、
いずれにしろ彼女は俺を果てさせない、
いつの間にか振り返り、
ドアを開けて出てしまう
それはもっともな話で、
彼女にはさる高名な研究者の男がいて
一方、俺は酔っ払って歩道橋の上で立ち止まるような人間だ
赤ら顔の淀んだ眼差しで話す与太話に飽き飽きするのかも知れない
しかし、なにか
それらの要素よりも、もっと決定的なものが
俺たちを近づけさせないように思う。
それでも足早の女の後を、地下鉄の階段まで
送る振りをしながら追いすがる男の姿は、どんなものか?
哀れみを知る羽目だ。
ようやく無様さに気付いた俺は
地下への階段を降りきる前
どうにか止まることが出来、
一言”お休み”
そう言って、
次のバーを探した。