解剖学者で、脳科学者のあの虫好きの老人が言うことの、多くを |
俺は案外気に入っている |
軽妙にしたたかに笑う語り口の真実は玉虫色で |
いろんなところに着地して、人の話を茶化し放題 |
或いは話柄をすりかえる。 |
あの術が嫌いではない |
ただ、 |
死を遠ざけ、向き合うことが出来ないなら、 |
死ななくていいから生まれないで下さいと言うしかない |
との言葉に |
俺は噛みついた |
死を想え |
それはそうだろう。 |
藤原新也もそう言ったしな |
だが、生まれることを選択したのは俺たちじゃない |
そうだろう |
好きで生まれたわけじゃあない、 |
生まれた以上生きていくしかない、 |
好んでこの世に生を受けた奴がいるのか、 |
まあ、もしかしたら |
チベットのあの輪廻の少年はそうして生まれたのかもな |
例えば前の記憶を持ったままいる 10歳の少女なんてのもいたりして |
そういう人もいるかもしれない |
なぜこの世の不調和な頭でっかちの邪で哀れな |
混沌と無秩序に苛まれたままの |
人間を好んで選ぶのか、俺にはわからないが。 |
虫けらでもいいのか、飢えた水草や稲妻や、動物園のパンダでいいか、 |
それもわからないが |
身悶える様な人間でいることは確かに骨折りだ |
しかし苦も無く世を渡る人間にありたいと |
そうも思えない |
人間として死にゆく |
その時間の過ぎる中 |
何も見つからなくても 何かを失っても |
生まれた以上は、生きるだろう |
そして |
全ては通過点でしかない |
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