Linの気まぐれトーク

映画と小説の観賞日記

映画『トップガン マーベリック』

2022-06-29 20:10:00 | 映画
トム・クルーズがスタントを使わず、危険に挑んだとか、話題性には事欠かない新作。





昔だったら、まず観ない映画だ。
歳を取って理解力も忍耐力もなくなり、ひたすら〈わかりやすい〉作品を求めるようになった。
トム・クルーズと言えば、『7月4日に生まれて』に始まり、『ミッション・インポッシブル・シリーズ』『バニラ・スカイ』など、私の映画史と共にあった人。
もう若くはないのに、あり得ない挑戦をしていく姿勢に好感を持たない人はいないと思う。

100%エンタテインメントなので、過剰な期待はしない。
背景は気にせず、迫力だけを楽しんだ。
彼らの戦っている〈ならず者国家〉がどこかなんて、どうでもいい。
ちなみに正編は観ていない。続編ではなく、単発として観る。
戦争も、空中戦も興味なし。
戦闘機の名前などちんぷんかんぷん。
それでも130分の作品をハラハラドキで観てしまったのは、その迫力の凄まじさゆえ。まるでジェットコースター。

これがハリウッドか。
アメリカの国力を見せつけられた気がする。

本当はあまりに暑いので、避暑をかねてシネコンに逃げ込んだ。
映画の後はカフェで読書。



本屋大賞受賞作で、話題の本だ。
ナチスドイツを相手に狙撃兵として戦う赤軍の少女。
期せずして戦争ものが重なった。
『戦争は女の顔をしていない』も読みたいが…

少し世間がきな臭い。



映画『ベイビー・ブローカー』

2022-06-28 07:14:00 | 映画





淡白だった。
盛り上がりに欠けると言うべきか。
是枝作品ならそれでいい。
が、ソン・ガンホ主演の韓国映画ならもっとアクの強いキムチパワーを期待してしまう。
是枝作品なのに字幕。
監督以外は全て韓国映画って?
日本人としてどう受け止めたらいいのか、自分の立ち位置がわからなくなる。

ソン・ガンホは好きな俳優だ。
『殺人の追憶』
『グエムル 漢江の怪物』
『タクシー運転手』
の演技は彼ならでは。
日本人にはないアクの強さ、強引さ。

是枝作品なら、『歩いても歩いても』
『万引き家族』の樹木希林。
ソン・ガンホと彼女は似ているようで、全然違う。
どこまでも生きようとする生命力が彼の魅力なら、
去り際を心得るのが彼女のスタンス。

勝手なことばかり書いたが、
映画館を避暑地として利用する私が、大きなことは言えない。


最近の読書、映画

2022-05-25 16:35:00 | 映画
時間はいくらでもあるのだから、読書とDVD観賞の記録くらい付けておこうと思いつつ、不調の時は結局何もしたくない。ブログの更新さえも億劫で、コロナ鬱が高じたのか3月4月も生きてはいたのだけれど、記録がない。
DVDでは『学校 II〜Ⅳ』が印象に残った。
IIは吉岡秀隆が養護学校の生徒を演じる。
自身より障害の重い生徒の面倒をみながら、学校を脱出して安室奈美恵のライブに行く。
それを追う先生役に西田敏行。同僚にいしだあゆみ。

Ⅲは職業学校。
元エリート社員の小林稔侍と、団地の主婦を大竹しのぶが演じる。
大竹はシングルマザー、息子には障害がある。
芸達者な2人に加え、障害者の息子のピュアな行動にハッとさせられる。

Ⅳは『十五才』のタイトルがつく。
学校をサボり、ヒッチハイクで屋久島まで行く少年を描く。

読書では友人に勧められて『復讐の海』を県図書館から相互貸借で借りてもらう。



白鯨の元となったノンフィクションだ。
200年前のアメリカ・ナンタケット島は世界一の捕鯨の島だった。今は鯨を取る日本人が白眼視されているが、石油が発見される前は、鯨油が重宝されていた。男たちはその油を取るために2年も3年も捕鯨船に乗った。
これはそんな男たちが太平洋上で白鯨に襲われ、船を大破され、ボート3隻に6人ずつ分乗し、3ヶ月も放浪する話。
実話なのが恐ろしい。
それぞれのボートは、船長、一等航海士、二等航海士がリーダーとなる。
乏しい水と堅パンのみの食事、照りつける太陽に、やがて命尽きる水夫も。
しかし、それを水葬にせず、カニバリズムの一線を越えてしまったところから本当の地獄が始まったのかも知れない。
飢餓は癒されるどころか、一層激しくなってしまった。ついには生きている仲間をくじ引きで屠るところまで行ってしまう。

船長、一等航海士、1番若い少年が生還するが、生き残ったのは島の人間だけであったことは考えさせられる。
リーダーシップと仲間意識が、最後はものを言ったのも。

映画化もされていると知り、近所のショップで探した。



ロン・ハワード監督。
『白鯨』の作者メルヴィルが島へ話を聞きにくるところから始まる。
話すのはただ1人の生き残り、二カーソン。
彼はカニバリズムに苦しみ、誰にも話さず墓場に持っていこうとしていた。
船長も一等航海士も、口をつぐんでいたのだろう。
特撮なのかCGなのか、嵐に揉まれたり巨大鯨に襲われたり、漂流を続けたり、まともな撮影はできないのではというシーンの連続だったが、原作に寄り添った内容だった。カニバリズムも描かれて、人間の極限を見た思いだ。
助かって終わりではなく、生き残った人々の、その後の人生も描かれる。
再び船に乗ったが座礁、その後は夜警として生きた船長。
海の男として度々船に乗るも、最後は気がふれてしまう一等航海士。
映画に描かれた少年も苦しんだだろう。

これは『白鯨』を読まねば。
と、近所の図書館で見れば、全集しかなく、それも長く活字は小さい。



これでも1番まし(読み易そう)なのを選んだのだ。100年は長い。




こちらは読書会の顧問に勧められて予約したもの。
順番待ちだったが、I日で読めてしまった。
こんな読書に慣れてしまっては、100年前の小説は無理だろう。

さて、どこまで挑戦できるか。





映画『コーダ あいのうた』

2022-04-29 18:43:00 | 映画

2022年 アカデミー作品賞受賞に伴い、東宝シネマズで再上映された。
『ドライブ マイカー』は観賞済みなので、コロナ自粛明けを待って自転車を走らせたのが4月15日。
やっと感想を書く気力を取り戻せたのはありがたい。


噂に違わぬ良作だった。
ある意味、感動作の王道を行く作りだった。
聾唖者の家族、ただ1人の健常者であるルビー(エミリア・ジョーンズ)は家族のヤングケアラーであることを当たり前に感じてきた。
障がい者であることを少しも引け目に感じていない家族のあっけらかんとした明るさ、思春期に入り、外にも世界を持ち始めたルビー、いつかは起こる衝突を感じさせる不穏さだ。

家族(子ども)が代弁者(翻訳者)であるということは、子どもの忖度が入るということでもある。
実際、家族の悪口や自身のことは伝えられていなかった。
ある意味、温かく歪んだ情報でしかない。
家族がそれを真実と思ってしまったら、このおめでたく、あっけらかんとした人物像が出来上がるのかもしれない。
最後は父親の愛情で乗り越えていくのだが、第三者が時々イラッとさせられるのは事実だ。

音楽学校へ旅立つルビーを最後に、ハッピーエンド。
何よりもエミリアの自然体の演技が良かった。
フランス映画『エール』のリメイクだという。
こちらもDVD観賞した。



漁業と酪農の違い、フランス語と英語の違い、何よりも選曲の違い。
どちらも感動作には違いない。
ただこの年になると、その後の人生にまで思いがいってしまうのはどうしようもない。
彼女に幸あれ。

映画『ナイル殺人事件』

2022-03-03 16:22:00 | 映画
ウォルト・ディズニー配給作品なのに、吹替版で観てしまった。
上映時間の都合もあるけれど、年と共に画面と字幕の両方を追うのが億劫+映画観賞の娯楽化(あくまで私都合)で、是非とも画面に集中して犯人を突き止めたいというのが本音。



ナイル川を豪華客船で1,200円(シニア料金)でクルーズし、エジプト体験出来るなんて豪華過ぎるとほくそ笑んで出かけた。

最初の戦闘シーンはまるで『1917命をかけた伝令』のよう。
あれ、吹替版のはずなのに字幕が…
吹替は英語→日本語だけなのでした。
歌もそのまま。
(よかった〜)

ナイル川クルーズに至るまでの紆余曲折は想像以上に人間臭く、おしゃれなポアロにしてはリアル。
トライアングル・ミステリーを謳っているので、まあ三角関係は仕方ないにしても、人間の数だけ愛憎関係ありの感。

原作を読んでおこうとしたものの、近所の図書館にはなく、ぶっつけ本番だったが犯人はすぐに分かった。
その昔、読んだのを思い出したのだ。
あまりにも手口が突飛で意外な人だったため記憶に残ったらしい。
今は「意外な人」が一番怪しい、が定説だけど。

肝心の犯人探しは空振りだったが、これだけの名作でリメイクとあれば、犯人の意外性に驚く人はいないかも。

アーミー・ハマーは『君の名前で僕を呼んで』でティモシー・シャラメの恋人を演じた学生。あの青年も年輪を重ねていた。



美しい風景も堪能したし、コロナ鬱も少し紛れた。
ケネス・ブラナーのポアロは好み。
どこかシャーロック・ホームズを彷彿とさせるので。