Linの気まぐれトーク

映画と小説の観賞日記

原田ひ香さんの小説

2022-11-22 15:11:00 | 読書
『一橋桐子の犯罪日記』が面白く、原田ひ香さんの本を読んでみます。
世知辛く、近所の図書館の蔵書頼みですが。
ひ香さんは1980年生まれ。
私より28歳若い。
ということは42歳?
そんなことはどうでもいいけど、気になりませんか? 



まずはこれから。
第31回すばる文学賞受賞作、作家デビュー作でもあります。
会社で結婚相手を探しても、いい男はみんな既婚者、ならば既成事実(妊娠)を作って略奪すればいい、なんて。
そんな略奪婚を巡って、男の伯母とその娘、男の元妻を描く救いのない小説でした。

個人的に元妻・佐智子の部屋巡り?に興味。他人の家にピッキングで忍び込み、その飾らない暮らしぶりを眺める。ものは盗らない。眺めるだけ。
でも犯罪です、勝手に忍び込むから。

子供の頃、友だちの家に遊びに行くと、子どもだから油断するのか、散らかったままの室内をみることがありました。
あのドキドキ感、何だったのだろう。
佐智子は警察には捕まらなかったと思いますが、そういう日常の犯罪をさりげなく書いてしまうのが、原田ひ香。



『東京ロンダリング』
32歳で離婚し、着の身着のままで追い出されたりさ子は、すぐに住む家に困る。訳アリの女に物件はなく、ひょんなことからアパートのロンダリングをすることになるのです。
ロンダリングとは「洗濯」、事故物件を賃貸する時、直後の借主には事故の説明をする義務があります。
そこでロンダリングという仕事が生まれるわけ(らしい)です。
1ヶ月ほど彼女が住めば、次の借主に事故物件の説明は不要になるので。

この仕事も面白そうです。
というか堕ちなければ出来ない仕事。
寂しいとか、孤独とか、惨めとか、
そんな感情からも自由になったところに何があるのだろう。
人間、堕ちるところまで堕ちれば、見えてくるものがある?



こちらも不倫して離婚、職も家もなくして実家に戻れば、男にだらしない母、がめつい祖母、介護に明け暮れる隣人・美代子などがいる。
それだけでも絶望的な状況なのに、犯罪まで絡んでくるのです。
惹句は「堕ちていく女の果ての果て」

けれど、悪は感じません。
クライムノベルかも知れないけれど、
誉田哲也とか貫井徳郎とは全く違う。
貧しいから、法を犯してでも生き抜くしかない女たち。
一橋桐子がムショ活したのと基本的に変わらないのです。


こちらは読み終えたばかり。
バブル期に青春時代を過ごし、モテてモテていい思いしかしてこなかったミチルが40半ばになり〈おばさん〉を自覚する話。

バブル期は子育て期だった私に、その時代のいい思い出は殆どなく、へぇ、そんな時も日本にあったのだとしみじみ。

今は団塊の世代も高齢者、世の中にもう活気はなく。
それでも生きていかねばならない私たち。
はあ、そんな感想をため息と共に。

まだまだ本は続きます。
原田ひ香さん、読みやすいのをいいことに、夢中になってます。







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