墓石クリーニングの女

お墓と向き合うことで『大切なもの』を日々感じながら、あつく生きる女…それが、アタシ。

喜びも切なさも

2014年04月25日 | 息子たち
次男のチームが、春季大会地区予選を勝ち抜き、県大出場権をgetした!

一回戦は、秋にコールド負けをした強豪チームと対戦。
父兄の中では、「くじ運悪いね…」「厳しいね…」「この試合で終わるかもしれないし、見に行こう。」など、かなり悲観的なムードが漂っていた。

しかし!この日の彼らは違かった!

朝、ボールまわしやシートノックを見た瞬間、応援席のアタシ達に伝わってくるものがある。
気迫だ。
「いけるかもしれない…」と思った。たぶん、応援に来ていた親御さん皆んなが。

予想通り、初回で4点を取り油断していた相手チームを焦らせ、エースがストライクが入らなくなるようなプレッシャーをかけた。
高校野球ってものは、どんでん返しがつきもの。ちょっとしたことで、勝敗が左右されるものだ。
しかしガタガタ崩れたものの、さすが強豪チームだけあり、じわじわと調子を取り戻し着実に点数を稼いできた。向こうの流れに押されてくると、いつもならそのまま崩れる我がチーム。
今日は違うぞ!!!
6回、気合いで2人塁に出た。次のバッターが塁にでれば満塁。
そこでベンチのアツシが、素振りを始めた。代打だ。

応援席のお父さんお母さん達が、まるで我が子のようにざわつき、「今アツシは当たってるからな!大丈夫!打てる!!」と声が聞こえてくる。
アタシは、さすがに手に汗握り、振りかえることができなかった。
ただ、アツシに念を送った。「自信持っていけ!!」

カキーン!!!

と打ったのは、バッターボックスに既に入っていた後輩だった。
2塁打。2人を返し、追加点だ!

続けとばかり、アツシが代打指名を受けバッターボックスに入った。
前日ホームランを打っているほど調子は上がってきていた。が、スタメンには入れてもらえないアツシ。

このバッターボックスの期待と、プレッシャーが嫌いだ。
アタシなら緊張しすぎて、固まる。
この子達は、本当に凄いなっていつも思う。

カキーン!
凡打だった。
でも、ファーストの選手が打球をはじき、なんとかつなげ塁に出た。

その後、もう一人帰り、3点追加。
4対7で、勝った。

この日は、選手も、ベンチも、応援席も、心を一つにし盛り上がった。
久しぶりに、興奮し皆んなで抱き合った勝利だった。

一回戦なのに…(笑)



使ってもらえた3年生は、たった5人しかいない。
キャプテンと、4番バッターと、ピッチャーと、3塁コーチャーと、代打のアツシだ。
この時期に来て、それだけ。

ここにいる選手は、少年野球で活躍し、シニア等で期待され、エースや4番やキャプテンだった子もいる。
親御さんは、そんな息子に夢を見て、毎週朝早くから弁当をつめ、お茶当番や世話人等をし、何年もの間グランドに息子を見に通って来たと思う。

野球は、そうやって親御さんに支えられ、二人三脚又は三人四脚でやるものなんだ。

親バカと言われても、息子がバッターボックスに入る姿にドキドキし、打てば喜び、勝てば涙する。
打てない時、守備でポロッとした時は、悔しくて悔しくて…負けても涙する。

適当にやっているなら、そんなに感情移入しないのかもしれないけど、みんなムチャクチャ頑張ってるんだもの。
ずっと、土日に遊びにもいかず、家族旅行もしたことも無く、グランドに通ってきた。
眠くても、疲れていても、宿題してなくても、素振りはした。

付き合うのは大変だけど、アツシが野球をして頑張っているから、喜びも悔しさも一緒に味わって来れたんだよね。たとえヘッポコでも、アタシのヒーロー。自慢の息子だ。

でも、このチームでは監督が3年をあまり使わない。2年との差が大きくある訳でもないのに。

あと3ヶ月で終わる野球生活なのに。
チャンスすら与えてもらえない事に、本人達も、親御さんも、悔しくてたまらないだろうと、痛いほど感じる。

なのに…

アツシが代打で指名されると、みんな「大丈夫打てる!!」「アツシ頼むぞ!」と、心から応援し、打ったら喜んでアタシとハイタッチまでしにきてくれる。

嬉しい。

でも、切ない。

ありがたい。

でも、悔しい。

みんなであそこに立って欲しかったよ。

彼らが今までの集大成を発揮するところを見たかったよ。





人生とは、思い通りにならないことの方が多いことを、あの若さで既に悟ってしまっている選手達。

パワハラに耐え、握った拳をふるわせて耐えている選手達。

どうか神様、この子達に野球を続けてきて良かったといつかどこかで思わせて欲しい。

報われなかった努力が、のちに意味のあることだったんだと感じられるようにして欲しい。

そして、あの優しい親御さん達が、息子の成長に喜び安心できる日が来ることを、心から願っている。




さあ、明日の県大会もいい試合ができますように。

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