見出し画像

Retro-gaming and so on

シャイニング&ザ・ダクネス

かつてクライマックス、と言うゲーム製作会社があった。
元々、初期ドラクエをプログラミングしてたチュンソフトの社員が立ち上げた会社である。
一種離反だったのか?
このクライマックスは任天堂陣営に属さず、ライバルのセガ陣営に属する事となった。
これは当時、それなりのニュースになってゲーマーの間にまで広がった。
あたかもセガのマシンに、ドラクエの血が流れ込む事を称賛するが如く。

さて、セガ陣営。
こないだ書いた通り、ファンタシースターシリーズをセガは見限り始めてたのだろう。
そして、この辺の思想はメガドラユーザーと乖離している。温度差があったのだ。
セガが思い描いてた「RPGを発売する」と言う行為は、それにより任天堂の牙城を崩す程にハードの売上を伸ばす事、だったのだろう。そうそう上手く行くわきゃないんだが。
しかし、ぶっちゃけた話、「ファンタシースター」の存在は、セガユーザー以外には殆ど知られてなかったのだ。知られてなかった以上、「RPGを武器として任天堂の牙城を崩す」画が崩壊したのは、それはその通りなのである。もっとも、ファンタシースターをクソゲーの域に向かわせたのは、セガの上層部の判断せいだ、ってのも事実なんだけどな。だから知られん方がむしろ良かっただろ(笑)。
そこへクライマックスとの合流である。いささかスキャンダラス染みたニュースもあり、セガ+クライマックスのタッグによる新しいRPGシリーズの創出。これは確かに、当時、ニュースになったのだ。結果従来のセガファン以外のゲームマニアは、ファンタシースターは全く知らんが、このタッグに生み出されるであろうRPGに注目したのである。・・・・・・実は内情はまたもやセガ、制作費をケチりにケチってクライマックスにRPG製作を丸投げした、ってのが実態だったみたいだが。
そうやって作られたRPGがこのシャイニング&ザ・ダクネスである。「光と闇」だな。
ファンタシースター ~千年紀の終りに~サージングオーラはメガドラ(カートリッジ)だと1、2位を争う出来だが(っつーかメガドラでマトモに遊べるRPGは3本しかないんだが)、一方、このシャイニング&ザ・ダクネスは単純に第3位である。前出2本には敵わないが、メガドラで出た他の「RPGらしきもの」を引き離して3位、と言う事である。
いや、どっちにせよ、メガドラでマトモに遊べるRPGは3本しかないので、これでオシマイ、である。以上。

余談だが、シャイニング&ザ・ダクネスって名前はパッとしない、と判断されたのだろう。英語版タイトルはShining in the Darknessに改題された。「闇の中の輝き」である。こっちの方が確かにカッコいいのだ。



・・・しかし、スキャンダルで名前を売った割にはシャイニング&ザ・ダクネスは発売当時、あまり評判にはならんかったのだ。どういうわけか。
またしてもセガにとっては「思てたんと違う」となったわけだな。いや、実は理由はハッキリしてんだけど、それは後述する。っつーか画面写真見れば理由は誰でも一発で理解するだろう。
いずれにせよ、セガ+クライマックスは続編をRPGから、任天堂で大人気になったシミュレーションRPGへと路線変更する・・・・・・クライマックスは後に、「パクリじゃないんだ!」と強弁してるが、ぶっちゃけ、パクリだろ(笑)。
いや、これは商売なんで、クライマックスがどーの、っつーよりセガがそれを意識したのは全然悪い事じゃないんだ。いずれにせよ、シャイニングシリーズは二作目からシミュレーションRPGへと路線を変更して、路線を変更した途端にこのシリーズは大当たりするんだな。
理由は、全ゲーマーが任天堂の「ファイアーエムブレム」と言うゲームスタイルにポテンシャルを見出したんだが、実はまだファイアーエムブレムスタイルのゲームが市場にそんなに揃ってなかったのだ。
要は、ファイアーエムブレムの「面白さ」に目覚めた人が山ほどいて、見事第二作目の「シャイニングフォース」シリーズは彼らにアピールして大ヒット。一躍メガドライブの名作ソフトとして知名度を上げる事となる。
・・・そして、セガはシャイニングフォースの続編からは社内内製にして、めでたくクライマックスを解雇するのである・・・・・・。何やっとんねん(苦笑)。
いや、本当に解雇されたかどうかは知らんけどな。この後、クライマックスは独自にアクションRPGをメガドラ向けに出すのだが、別に完全にセガサードパーティ化するわけでもなく、後にスーパーファミコンにも参加し、でもあんまパッとせん会社になっていくのである・・・・・・。

まぁ、「シャイニングシリーズ」と呼ばれるシリーズは一般的に第二作目である「シャイニングフォース」が礎として捉えられていて、第一作のシャイニング&ザ・ダクネスは「無かった子」扱いになってる。そこ、目を背けるな(笑)。そうだろ?実際問題。
ところが、第一作のシャイニング&ザ・ダクネス。実は予算不足の割にはこのゲーム、手堅く作られている良RPGなのだ。言わば「隠れた名作」になっている。
じゃあどうしてシャイニング&ザ・ダクネスはパッとしなかったんだろう?理由は明白である。まず一つ目。このRPG、Wizardryタイプの3DダンジョンRPGなんだよな。これが一般ウケしなくて「無かった子」扱いになった原因だ。


ドラゴンクエストはUltimaファンだった堀井雄二とWizardryファンだった中村光一が作った「UltimaとWizardryのいいトコ取り」したゲームである。
一方、シャイニング&ザ・ダクネスとは。平たく言うとWizardryファンがWizardryだけを使って作ったドラクエ、と言って良いだろう。ドラクエのUltima部分を欠いたRPG、それがシャイニング&ザ・ダクネスである。
従って、パーティメンバーもドラクエIIを彷彿とさせる。最大3人でのパーティプレイである。


もう一つ理由を挙げるとしたら、とにかくこのゲーム、キャラクタデザインがダサいのである。
これも理由が明白。このゲーム、当然ファンタジーなワケだが、ファンタジー世界を演出する際に「絵本」をキーワードにしてるんだな。
つまり、絵本のような世界を案内する為に絵本のような絵柄にする・・・まぁ、コンセプトは分からなくはないんだけど、どっちかっつーとやっちゃダメな事をしちゃったって言った方が正しいだろう。


ゲームを起動した冒頭から登場する爺さんが既に絵本のノリである。
・・・歴戦のゲーマーが絵本世界に共鳴するのか?どうもこの辺戦略ミスだ、と思わざるを得ない。


分かる(笑)?この辺の絵柄のノリの近さが(笑)。
ホンマ、往年の、小学館の少年少女世界の名作シリーズのノリ、なのである。
それじゃダメだろと言いたい。
いや、マジでコンセプトは分かるんだよ。この辺クライマックスのゴリ押しなんかなぁ。でもセガってこの辺のキャラデザを嗅ぎ分けるセンスってぶっちゃけねぇと思う。だからこれでゴーサイン出したんだろうなぁ・・・ファンタシースターのキャラデザは素晴らしかったのに、あれもやっぱ偶然なのか・・・・・・。
いや、最近のシャイニングシリーズとか、かなり垢抜けていて、やっとキャラデザが売上に関わるんだ、って遅まきながらセガも理解した、と思うんだけど。っつーか、ぶっちゃけ、サクラ大戦やるまで全く理解してなかったんとちゃうん?
セガって伝統的にゲーム性重視で、それ自体は悪い事じゃないんだけど、キャラデザインも重要なんだ、ってちっとも分かってなかったんだよ。その辺が同じアーケード屋でもナムコは良く分かってたわけ。
っつーかナムコが圧倒的に強かったってのは両方を良く理解してたから、なんだよな。タイトーなんかも分かってなかったし、そして前言ったけど、アーケードに比重を置いてたカプコンなんかも分かってなかった。大体アーケード屋はキャラデザインの重要性ってのを分かってないんだよ。っつーのもアーケードゲームの性質として、どうしても一過性である、ってのが原因だから、なんだろうけど。一過性な商売である以上、キャラの使い回しの重要さってそこまで分かんねぇんだよな。
やっぱ分かってたのはナムコだけ、である。

とまぁ、大まかに「一般ウケしなかった」理由を書いたけど。
とは言っても。
ゲーム自体はやっぱ面白いのだ。特に、Wizardryを好きな人や、Wizardryみたいな3DタイプのRPGやってみたいんだけど、難しそうで手が出そうにない、って思い込んでる人。そういう人向けなのがこのシャイニング&ザ・ダクネスである。
本当に、ドラクエがRPGの良い入門だったのと同様に、3Dスタイルのダンジョンクロール型RPGの良い入門になってくれると思う。
超オススメ。フィールド型RPGに飽いた人にもオススメしておこう。

現在一番入手が易しいのはやっぱSteamで配信されている英語版だろう。
そして、日本のユーザーを無視してるようなセガの態度に怒りを覚えながらプレイするのが吉、だ。
セガはどれだけ経ってもユーザー無視のセガなのだ。


  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「メガドライブ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事