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Retro-gaming and so on

アウトラン

1980年代半ば。
当時の友人の1人にすんげぇゲーム好きがいて。学校の帰りがてらにしょっちゅうゲーセンに誘われた。
僕自身は全くビデオゲームはプレイしなかったんだけど、付き合いで、彼が良く行く行きつけの、一種デパ地下なゲーセンに行ってた。そこは地下一階丸ごとゲーセン、ってぇんで結構デカかったんだよな。
まぁ、殆ど「ゲームセンターあらし」時代以降全くビデオゲームなんざせんかった、んで、知識的にはパックマンとかギャラクシアンとかディグダグ程度で止まってたわけだよ。
それで、ゲーセンでゲームはプレイせんものの、

「へぇ、随分とカラフルになってんだなぁ。」

とか見てて感心してたクチだ。その友人がプレイしてたゲームのウチの1つが、ナムコのワンダーモモだったりしてたわけだけどな(笑)。



まぁ、ワンダーモモはゲームのコンセプトがフザケてるんで爆笑してたわけだが(笑)。それはそれで良い。
それはともかく、そこに置いてたゲームで度肝を抜かれたのがセガのアウトランだった。あまりにも有名なゲームだろう。



これも、友人がプレイしてるのを見てただけなんだけど、後ろから見てるだけで楽しめるってのは凄くないか?つまり、風景とかがキチンと作り込まれてて美しい。こんな「見せる」ゲームなんて、記憶になかったのだ。
これだけ「ドライビング」をテーマにしてるゲームってのは珍しい。っつーかほぼこのゲームが最初で最後なんじゃなかろうか。
とか書くと「レースゲームとかあるじゃん」って言う人が現れる。いや、待て、アウトランはレースをしてないんだ。「単に走るだけ」、そして走る事を「気持ち良い」と思わせるゲームだ。
そして、実はビデオゲームでは、知ってる限りで言うとこの時点では「レースゲーム」なんぞ存在せんかった。
ちと説明しよう。例えば「将棋ゲーム」なら将棋をプレイするゲームだ、と言う事だ。基本的に、実際の将棋とビデオゲーム上での「将棋」にルールの差はない。
ところがこの辺までの「レースゲーム」ってのは実際に行われるレースとは全く違う。スタートするのは自車だけだし、敵車と呼ばれるものも殆どランダムで「いきなり」邪魔する為だけに登場するモンだし、とてもじゃないけど、「現実のレース」と同じモノとは言えない。「ビデオゲームならではのお約束」に立脚した「マネーインカムの為の」システムを押し付けるだけのシロモノだったんだよ。


F1のスタートの例。当然車はスタート地点に「並んで」一緒にスタートするわけだが、こういうスタートはこの時点だと全く実装されていなく、敵の車は「画面にいきなり現れて邪魔するだけ」の障害物の域を超えなかった。

そう、アウトランが凄かったのはまずコンセプト部分であって、それまでの「レースゲーム」と言われるものが実は「レースでもなんでもない」お約束の下でしか成り立たないゲームだ、と言う事をバラした事。そして「その上で」、「どうせレースゲームって実際のレースの斜め上なんだから、競争を止めて、単に"走る"だけで気持ち良いゲームにしない?」と言う方針を明確化した辺りだ。
こんなゲーム、それ以前にはあり得なかったんだ。体感ゲームであるか無いか、よりまずはコンセプトが素晴らしい。家庭用コンソールビジネスだとダメダメだったセガだが、さすがアーケード屋、と思わせる凄さがあった。

もう1つこのゲームで重要なのは「BGMを選べる」と言う辺りだった。
当時は全く良く知らんかったんだけど、少なくとも

「ゲームの要素として音楽が極めて重要だ」

と言うメッセージを出した初めてのゲームじゃないか。「ラジオ局を選ぶギミックでBGMを選ぶ」と言うスタイルにしたのも凄い。



これ以前のゲームの殆どは、BGM = 効果音の延長線上、ってモノが殆どだった。
その無機質な「面白さ」ってのはあった事はあったけど、「楽曲としてキチンと聴ける」と言うモノは殆ど無かったと思う。
一応、元Y.M.O.の細野さんが「ビデオ・ゲーム・ミュージック」と言う初の、ナムコのゲーム音楽をベースとした編集アルバムを出した事があった事はあったが、まだ「音楽」として確実には捉えられてなかったと思う。

細野晴臣 Video Game Music Haruomi Hosono Video Game Music

(ちなみに、このアルバムが、初めての「ゲーム音楽のアルバム」であり、この後、「ビデオ・ゲーム・ミュージック」のヒットに続いて、リリース元のアルファ・レコードはゲーム音楽専門レーベルみたいに変質していく)

いずれにせよ、ナムコのマッピーとかパックランドとか、この辺からゲームBGMが発展しだすが、まだ短いループが基本なんだけど、アウトランで初めて「数分の楽曲として一曲キチンと作曲・編曲されている」と言うモノが出たんじゃないか。しかもそれが4曲だ。このゲームがゲームにおけるBGMのクオリティを爆上げした一本なんじゃないか、と思うわけだ。

さて、なんだかんだで、メガドライブを買っちまったワタクシですが、かなり初期の段階で、結果「あの思い出のアウトラン」のカートリッジを買っちまう。アーケードゲーム版デビューからかなり経ってるが、懐かしさにかまけて買っちまったわけだ。移植具合の出来はかなり良かった方なんじゃないか。
まぁ、相変わらずヘタクソではあるんだけど、それでも懐かしくてかなりプレイしまくった記憶がある。
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