1)
いや、クオラにしたって、いきなり、
「 こんにちは。よい子のみんなぁ、タフィお姉さんだよ♪」
なんて、某教育番組の子供用のコンテンツに出てくるような歌のお姉さんのような明るい声で、そんな自己紹介されても…、
などと言うことを、この一瞬の間に、彼女に考えがよぎってしまったのは、この場に居合わせたならば、誰でも考えてしまうことじゃないかと、
思うのもしかたがないことで、おまけに、その相手が、しゃべる風船だったりするのだから、散々、声の主を探しまくった後で、クオラは、対応に困ってしまった。
「 もう一度尋ねるんだけど、喋ってるのはアナタで間違いないのよねぇ?」
つんつんと、赤紫の風船の表面をつつきながら、クオラは訝しげに、その風船に尋ねた。
「 けひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!くす、くすぐったい。くすぐったいから、つつかにゃいで~っ!」
クオラが、なおも、つん、つん、つん・・・、つんつくつんと、暴れまわる風船を器用につついていると、
「 けひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!だか、だから、そ、そうらっていってりゅにょ~っ!」
風船の身体全体を揺らしながら、タフィと名乗った風船は、クオラの問いに答えた。
「 どういう魔法かしら?」
「 けひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!らから、ふ~せんまほ~なのぉ。いいかげん、つつくのやぁめぇてぇっ!」
「 とりあ、事情を話してくれたらね。」
喋る風船タフィを、つつくのが楽しくなってきたクオラが、譲歩するようにタフィに語りかけたのだが、件のタフィは、
「 けひゃ…っ。」
と、一言言ったきり、ぽてんと浮力をなくして、地面へと落ちてしまった。
どうやら、気絶したらしい。
「 全く、もお、世話がやけるなぁ。」
クオラは、責任を感じて、タフィを拾いあげて、優しく抱きかかえると、自宅のある寮へと歩いて行った。
2)
「 ふぅ。助かったぁ。」
そう一息ついたのは、クオラの自室に連れてこられたタフィだった。
「 そいえば、自己紹介がまだだったわね。ふうせん大好きだいまどうしのタフィ・テックスお姉さんよ。よろしくねん♪」
「 このアネモネ魔法学院の中学一年生で、ウンディーネ組の、クオラ・バロニア・ティルル・ポエニカだよ。ふ~せんさん。」
「 へぇぇ。クオラちゃんって言うのね。かわいい名前。ん?ばろにあ???」
この世界には、バロニア文明という古代文明があって、今でも、年月を数えるときには、バロニア皇紀で数えたりしているのだが、
その名を冠するクオラの名前に、タフィは、ふと気になったらしい。
「 ねぇねぇねぇ。クオラちゃん。尋ねたいことがあるんだけど?」
「 な、なに?」
「 クオラちゃんの名前、例の文明の名前が入ってるじゃない?どうして?」
「 あぁね。古代の偉大な文明に肖(あやか)って、つけたらしたらしいんよ。」
「 バロニアとは、関係ないのねぇ。懐かしかったのに、残念…。」
なんて、気になる一言を述べながら、タフィは本題に入った。
「 ところで、クオラちゃん。」
「 なぁに?」
「 あなた、魔法は得意なの?」
好奇心満々の口調で、タフィは、クオラに尋ねてきた。
「 ぅぐっ!そ、それはぁ~~~~っ。」
微妙にタフィから視線を逸らしながら、言葉を濁すクオラを見て、何を勘違いしたのか、タフィは、ずずずいっとクオラに肉薄しながら、感歎の叫びをあげる。
「 得意なのね? それも、言いよどむくらいに。すごいわぁ、流石、あたしの後継者。」
「 ちょっ!顔を押さないの。ち、ち、ち…、違うし。つか、そんなんじゃないし。」
クオラは、ぐいぐいと迫ってくるタフィを手で押し戻しながら、反論するのだが、タフィときたら、更に勘違いして、
「 しかも、奥ゆかしいし。す・て・き。」
完全にクオラに酔った声で、自分の世界に入り込んでしまっている。
「 こ、後継者って、勝手に後継者にされても、こ、困るというか。つか、何の後継者なわけよぉ。」
「 うふふ…、クオラちゃぁあん…。」
ピンクのLEDが入ってるような光を内から放ちながら、タフィは、彼女の身体である風船を、クオラのほっぺに押し付けてくるのだが、
その肌触りが、妙に心地よい触感で、元より風船好きなクオラは、なんだか、嫌らしい気分になってくる。
「 ちょ、そんな、すりすりしないでぇ。ぃやぁああああああん♡」
クオラが、たまらず嬌声をあげると、それが合図だったかのように、緊急アラートが、寮に鳴り響いた。
何か、事件が起きたようだ…。
【つづく】
いや、クオラにしたって、いきなり、
「 こんにちは。よい子のみんなぁ、タフィお姉さんだよ♪」
なんて、某教育番組の子供用のコンテンツに出てくるような歌のお姉さんのような明るい声で、そんな自己紹介されても…、
などと言うことを、この一瞬の間に、彼女に考えがよぎってしまったのは、この場に居合わせたならば、誰でも考えてしまうことじゃないかと、
思うのもしかたがないことで、おまけに、その相手が、しゃべる風船だったりするのだから、散々、声の主を探しまくった後で、クオラは、対応に困ってしまった。
「 もう一度尋ねるんだけど、喋ってるのはアナタで間違いないのよねぇ?」
つんつんと、赤紫の風船の表面をつつきながら、クオラは訝しげに、その風船に尋ねた。
「 けひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!くす、くすぐったい。くすぐったいから、つつかにゃいで~っ!」
クオラが、なおも、つん、つん、つん・・・、つんつくつんと、暴れまわる風船を器用につついていると、
「 けひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!だか、だから、そ、そうらっていってりゅにょ~っ!」
風船の身体全体を揺らしながら、タフィと名乗った風船は、クオラの問いに答えた。
「 どういう魔法かしら?」
「 けひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ!らから、ふ~せんまほ~なのぉ。いいかげん、つつくのやぁめぇてぇっ!」
「 とりあ、事情を話してくれたらね。」
喋る風船タフィを、つつくのが楽しくなってきたクオラが、譲歩するようにタフィに語りかけたのだが、件のタフィは、
「 けひゃ…っ。」
と、一言言ったきり、ぽてんと浮力をなくして、地面へと落ちてしまった。
どうやら、気絶したらしい。
「 全く、もお、世話がやけるなぁ。」
クオラは、責任を感じて、タフィを拾いあげて、優しく抱きかかえると、自宅のある寮へと歩いて行った。
2)
「 ふぅ。助かったぁ。」
そう一息ついたのは、クオラの自室に連れてこられたタフィだった。
「 そいえば、自己紹介がまだだったわね。ふうせん大好きだいまどうしのタフィ・テックスお姉さんよ。よろしくねん♪」
「 このアネモネ魔法学院の中学一年生で、ウンディーネ組の、クオラ・バロニア・ティルル・ポエニカだよ。ふ~せんさん。」
「 へぇぇ。クオラちゃんって言うのね。かわいい名前。ん?ばろにあ???」
この世界には、バロニア文明という古代文明があって、今でも、年月を数えるときには、バロニア皇紀で数えたりしているのだが、
その名を冠するクオラの名前に、タフィは、ふと気になったらしい。
「 ねぇねぇねぇ。クオラちゃん。尋ねたいことがあるんだけど?」
「 な、なに?」
「 クオラちゃんの名前、例の文明の名前が入ってるじゃない?どうして?」
「 あぁね。古代の偉大な文明に肖(あやか)って、つけたらしたらしいんよ。」
「 バロニアとは、関係ないのねぇ。懐かしかったのに、残念…。」
なんて、気になる一言を述べながら、タフィは本題に入った。
「 ところで、クオラちゃん。」
「 なぁに?」
「 あなた、魔法は得意なの?」
好奇心満々の口調で、タフィは、クオラに尋ねてきた。
「 ぅぐっ!そ、それはぁ~~~~っ。」
微妙にタフィから視線を逸らしながら、言葉を濁すクオラを見て、何を勘違いしたのか、タフィは、ずずずいっとクオラに肉薄しながら、感歎の叫びをあげる。
「 得意なのね? それも、言いよどむくらいに。すごいわぁ、流石、あたしの後継者。」
「 ちょっ!顔を押さないの。ち、ち、ち…、違うし。つか、そんなんじゃないし。」
クオラは、ぐいぐいと迫ってくるタフィを手で押し戻しながら、反論するのだが、タフィときたら、更に勘違いして、
「 しかも、奥ゆかしいし。す・て・き。」
完全にクオラに酔った声で、自分の世界に入り込んでしまっている。
「 こ、後継者って、勝手に後継者にされても、こ、困るというか。つか、何の後継者なわけよぉ。」
「 うふふ…、クオラちゃぁあん…。」
ピンクのLEDが入ってるような光を内から放ちながら、タフィは、彼女の身体である風船を、クオラのほっぺに押し付けてくるのだが、
その肌触りが、妙に心地よい触感で、元より風船好きなクオラは、なんだか、嫌らしい気分になってくる。
「 ちょ、そんな、すりすりしないでぇ。ぃやぁああああああん♡」
クオラが、たまらず嬌声をあげると、それが合図だったかのように、緊急アラートが、寮に鳴り響いた。
何か、事件が起きたようだ…。
【つづく】