40年の写真の移り変わりを知る。 ー木村伊兵衛写真賞 40周年記念展＠川崎市市民ミュージアム

 

 

9/23で終了してしまいましたが、川崎市市民ミュージアムで開催された

 

木村伊兵衛写真賞 40周年記念展

 

に行ってきました。

 

駆け込みでしたが、観に行って良かったなぁと思いました。40年分の受賞作を一挙にみることができ、とても見応えのある写真展でした。

 

 

 

（展覧会チラシ）

 

 

写真会の芥川賞とも呼ばれる「木村伊兵衛写真賞」ですが、どんな基準で選ばれているのかイマイチよくわからない…なんて思っていました。「アサヒカメラ」編集長・佐々木広人さんのインタビューでは「グラミー賞」のように、時代によって変わってくるもの、と答えられていましたが、実際に年代順に受賞作を見て行くと、その”流れ”がなんとなく見えてくるように感じました。

 

とはいえ、誰でもシャッターを押せば撮影できる「写真」を見ることって、本当に難しい！と感る展示でもありました。同じ賞を受賞していても、「これ好き！」って思える作品と「どこがいいのかよく分からないな…」って思う作品がありましたが、その中で扱っているテーマや思想は意外に近いところにあったり。

そこで琴線に触れるのか、ただの変わった写真と思うのかは、本当に紙一重のところかもしれないなぁと、並べて見ていると感じました。

 

私が「いいな！」って思う作品も少し感覚が違ったら「何で？」って思うかもしれないし、私が「分からないなぁ…」って思う作品も人によっては「これは！！」って思うんだろうなぁと。

 

 

有名な写真家の方の作品でも、プリントを改めてじっくりと観てみると面白いですね。

例えば、蜷川実花さんの撮影される花の写真は、彩度が高くてポップなイメージが強かったけれど、受賞作を見ているとぞっとするような美しさを感じたり、

HIROMIXさんの写真は今見ると、インスタグラムなどの感覚に近いのかな？なんて感じつつも、その可愛らしくて遊び心にあふれた作品に思わず笑顔になってしまったり、

そして、畠山直哉さんの作品は、スナップショットが多いこの展覧会の中で、被写体の面白さだけでなく、構図・色・光のバランスなど、本当にとても丁寧に撮影されているのが伝わってくる美しい写真で、じっくりと見入ってしまったり。

 

 

こうして見てみると、90年代〜00年代の入賞作は、テーマも技法もバラエティに富んでいて面白いなぁと思いましたが（近年の受賞作がドキュメンタリー性の強いものが多かったためかもしれませんが。）、コンパクトカメラや写ルンですが普及して、気軽に写真が撮られるようになり、00年代にはデジカメも登場し…と撮影方法が多様化してきた時期だからなのかもしれません。

 

ひょっとしたら、今後はiPhone写真やインスタグラムに投稿された写真から受賞作が出てきたりしてもおかしくないのかもしれませんね。

 

 

 

なお、今回の展示は年代順になっていましたが、「ネイチャーフォト」「海外の風景」などといったテーマ別に巡ることができる案内もいただけました。全部見て回るのはかなりのボリュームだったので、こんな観点で作品を巡れる工夫も面白いなぁと思いました。

 

 

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■ DATA ■

 

木村伊兵衛写真賞 40周年記念展

 

 

会期：2015年7月18日（土）～9月23日（水・祝）(月曜休)

会場：川崎市市民ミュージアム

時間：9:30～17:00

料金：一般　700円、学生・65歳以上　600円、中学生以下　無料

 

「写真界の芥川賞」とも称されている『木村伊兵衛写真賞』は、写真家・木村伊兵衛の業績を記念して1975年に創設され、プロ、アマチュアを問わず、毎年優れた作品を発表した新人写真家に贈られている。これまでの受賞者には、藤原新也、石内都、畠山直哉、都築響一、ホンマタカシ、蜷川実花、HIROMIX、川内倫子、佐内正史、梅佳代、本城直季、長島有里枝、浅田政志ら名を連ねており、2014年度は石川竜一と川島小鳥が受賞している。

同展は、『木村伊兵衛写真賞』の40周年を記念して開催される展覧会。これまでの受賞作品を数多く収蔵する川崎市市民ミュージアムを会場に、第1回から昨年度の第40回までの受賞作品と、木村伊兵衛の作品が展示される。