斎藤高順(さいとう・たかのぶ、1924-2004)は、小津安二郎監督の映画音楽を多く手がけた作曲家です。小津映画と一体と言ってもよいかも知れません。斎藤高順の音楽でなかったら映画はまったく異なった印象になるように思います。
私はその音楽を聴くと、その時代に戻ったような感じがします。
物がなくても清潔で、品位があり、よくも悪しくも社会規範がまだ残っていた時代。家々からもれる夕餉の支度の音や匂い、薄い煙がたなびいているのが目に見えるようです。そういった時代の気分がうまく写しとられています。
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実は、この曲集は、ご子息が偶然発見した本人演奏のカセットテープから譜を起こし、ピアニスト、青木美樹さんが録音したものとのこと。ピアノ・ソロということもあり、実際の映画音楽よりも一層繊細に、透明に聞こえます。小津監督もこれには何も文句はないでしょう。
昭和30年代の風景は、現実にはすでに失われてしまったと言ってよいでしょう。しかし、それは記憶の中に保存され、音楽によって風景のみならず、去って行った人たちのことまでが思い出されます。唐突ですが、「あの頃」、町内に一人くらいは原節子似のお姉さんがいたなあ(笑)。∎
Tokyo Story; Works by Takanobu Saito. [東京物語~斎藤高順・ピアノ曲集]小津安二郎映画の音楽(オリジナル・ピアノ版)[斎藤高順]「東京物語」~主題と夜想曲他7曲及び軍艦マーチ(瀬戸口藤吉作曲/斎藤高順編曲)、[斎藤高順]三つの宝石、三つの淡彩画、行進曲「ブルー・インパルス」(作曲者編ピアノ版)、「大宇宙のピアノ・ファンタジー」より.Miki Aoki, pf., recorded in 2017. Profil, PH17026.
今日もひどく暑い日でした。雑草さえ枯れそうです。
午後、少し雲が出てきたので雷雨を期待しました。しかし、遅くなって一雨あったものの、お湿り程度。まだまだ、この暑さは続きそうです。人間も枯れそうです。
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