かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

お漬物

2013年11月21日 | がん病棟で
夜中や休日に病院で亡くなると、入院費はご家族が後日支払いに来てくださることになっている。

その際に、会計窓口だけでなく、わざわざ改めて私にご挨拶に来てくださる方もいらっしゃる。

元気に表玄関から帰ることができず、裏口から寝台車に乗せられて帰っていく人を、もう何人見送っただろうか?


そんな最期でも、「お世話になりました。ありがとうございました」と言っていただけると、もやもやと舞っていた心の澱が静かに沈んでいく気がする。



先日、亡くなった患者さんの奥様がいらっしゃった。

このあいだ、亡くなってから一度ご挨拶にきてくださったのに、またどうしたのだろうと訝しく思っていたら、保険の診断書をとりにきたついでに寄ってくださったという。


「あたしが漬けた漬け物持ってきたのよ~♪センセイ、独りでしょう?秋刀魚も煮たから、こういうの酒のツマミになるかな~と思ってー。美味しかったらまた持ってくるから~」



キュウリに大根、かぶ。
丁寧にプラスチックバッグにパックしてあった。

どれも絶妙に薄味で美味しい。


ご臨終の場で、「うまれかわってもまた一緒になろうね」とお別れの言葉をかけていた奥様。


旦那さんは毎日こんな美味しい漬物や手料理を食べていたんだなぁ。


ご馳走さまでした。
ありがとうございます。

でも、独り者ではあるけれど、漬物をサカナにして酒飲むってタイプじゃないんですけどね(笑)
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