「8月25日(日)」
「自転車屋の生き物歳時記」
「バテイラ(貝)」
関東では
シッタカと呼ばれている巻き貝。
夏に良く捕れて
流通しているようです。
バテイラ(馬蹄螺)、
学名 Omphalius pfeifferi pfeifferi は、
古腹足類のクボガイ科に分類される巻貝の一種。
北海道南部~九州の太平洋沿岸の岩礁海岸に生息し、
海藻類を餌としている。
本州の日本海側と朝鮮半島南部に分布する
オオコシダカガンガラ(大腰高岩殻)は
本種の亜種 O. p. carpenteri (Dunker, 1882) とされている。
しばしば食用にも漁獲され、
市場に出回るときは近縁種と同様に
「シッタカ」「しったか貝」(尻高貝の意)などの名で
売られることが多い。
他にカジメダマ、サンカクミナなどの地方名がある。
成貝は
殻高50mm、殻径55mmほどになるが、
さらに大きくなることもあり、
本州の磯に棲む古腹足類としては比較的大型の種である。
貝殻は正円錐形で周縁は明瞭に角張り、
底面は平坦で少し凹む感じになる。
約7層の螺層はほとんどふくらまず、
輪郭はほぼ正三角形。
ただしおおむね2cm以下の小型個体は
大型個体に比べて平べったく、
一見別種に見えることもある。
殻表には弱い斜めの肋があるものから
ほとんどなめらかなものまである。
殻色は黒褐色~灰褐色で、
生きている時は真っ黒に見えるが、
時に紅藻のカイノカワ Peyssonnelia japonica に
おおわれて全体に茶褐色に見える個体もある。
また打ち上げられた古い殻は赤紫色になることもある。
潮間帯下部から水深30mまでの岩礁の、
主としてカジメやアラメなどの
大型褐藻の生育域に棲息する。
岩の表面や大型褐藻類の表面に付着し、
海藻や岩上の無節石灰藻などを餌にしている。
摂餌は主に夜間に行われ、
日中は日の当たらない岩の裏側や
石の下縁近くにいる個体が多いが、
日中でも摂餌行動をする個体もあり、
明瞭な日周活動は観察されていない。
生活史は十分に明らかにされていないが、
千葉県における研究では、
次のようなことが報告されている。
雌雄異体で海水中に放卵放精して受精し、
浮遊幼生を経て底生生活に入る。
千葉県での産卵期は初夏から秋にかけて
長期間にわたると推定され、
生殖線の発達のピークが
6~7月と9~10月に2度見られることなどから、
産卵の最盛期が年2回ある可能性もある。
秋に産卵期が終わり、
11月になって海水温が低下すると、
生殖線は急激に縮小し、
翌年の1月頃から徐々に回復する。
稚貝は1年目で殻高約10mm、
2年目で殻高20mm前後まで成長する。
また、殻高が8~13mmに成長する段階で
生殖線も発達し、
殻高17mm以上になると生殖線で
完全に雌雄の識別できるようになる。
この性的成熟に伴うように、
若齢期に過ごした比較的小さな転石環境から、
直径1m以上の岩の表面や岩礁域にまで
棲息範囲を広げる。
しかし
2年目に殻高20mm前後に達したあとの
成長や寿命などに関してはよくわかっていない。
日本の北海道南部から
九州南部の大隅半島および甑島列島までの
太平洋沿岸に分布する。
ただし北海道南部や津軽海峡付近では非常に少なく、
ある程度まとまった個体群が見られるのは
宮城県~福島県以南の地域である。
瀬戸内海の大部分には生息しないが、
太平洋から豊後水道を経て流入する
海水の影響が強い場所では見られることがある。
亜種とされるオオコシダカガンガラは、
本州~九州の日本海沿岸部、
済州島、朝鮮半島南部に分布する。
標準和名は形が馬の蹄に似ていることによる。
類似種とともに、
シッタカ(尻高)、しったか貝、
サンカクミナ(三角蜷)、カジメダマ、
カジメッタマなどと呼ばれることがある。
尻高とは殻の"尻"(殻頂)が高いことを指す。
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