真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

理念の国がきしむとき オバマ・トランプ・バイデンとアメリカ 中山俊宏  2023/3

2023-08-01 | 読書-現代社会

理念の国がきしむとき

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R.I.P. 中山俊宏博士 - 真似屋南面堂はね~述而不作
「国際政治チャンネル」の中山俊宏先生を偲ぶダイジェスト(過去の出演場面ハイライト)だけでも

刊行にあたって 土屋大洋/加茂具樹 
01 「衰退するアメリカ」のしぶとさ――日米同盟を「再選択」する
02 トランプのアメリカと日米関係
03 オバマ外交とはなんだったのか
04 異形の大統領は世界をどこへ連れていくのか――トランプ外交の世界観 
05 トランプ現象とはなにか――アメリカにおける排外主義の淵源
06 アメリカン・ナショナリズムの反撃――トランプ時代のウィルソン主義
07 トランプ大統領は本当に異質な存在なのか?
08 中間選挙の喧騒を渦中で見て――共和党と民主党、それぞれの「いま」と「未来」
09 トランプ化する共和党――アメリカにおける保守主義運動の変質、もしくは終焉
10 極限化する政治的分断――中間選挙で浮かび上がったアメリカの政治的基層
11 トランプ後も続くアメリカ・ファースト
12 アメリカ・ファーストの系譜――それはトランプを超える現象なのか
13 トランプ時代に進む米国の地殻変動――「保守」と「リベラル」共に変容
14 アメリカに社会主義はない?――民主党の「左傾化」をどう考えるか 
15 二〇二〇年米国大統領選挙の外交的含意
16 トランプ外交のルーツ 
17 タフな対中路線に舵を切るアメリカ
18 大統領選後も続く復元なき政治風景
19 二〇二〇年代のアメリカにおけるイデオロギー状況の暫定的考察
20 政治的分断と「いい加減な二極化
21 バイデン政権の対中政策を信用できるか?
22 アフガン崩壊――「最も長い戦争」を強制リセットしたバイデンの「アメリカ・ファースト」
23 バイデン政権発足の意味
24 復元しないアメリカ――バイデン政権を拘束するもの
25 理念なき大国間競争時代の幕開け――理念国家アメリカの蹉跌とアフガン撤退という「諦め」が意味するものは何か
26 コリン・パウエルと共に「大きな合意」を喪くす分断のアメリカ
27 バイデン政権と中東――「九・一一戦争」の終結とその含意
28 バイデン政権が向き合った三つの危機――そして、新たに加わったウクライナ危機
解題 会田弘継
中山俊宏さんの思い出 久保文明

掲載論考を初出で読んでいたものもあったっけ。
芸能ニュース系の出来事で、「ナンシー関女史が健在だったら、どういう切り口で斬ってくれていただろうか」と思うことがしばしばなのと同様、米国関係の動きに関して、「中山先生だったら何と」と思う日々。
キジムナーじゃなくて、きしむなぁ。

土屋大洋さん
【書評】中山俊宏君の2冊の本|その他|三田評論ONLINE
どうしても2冊セットで語られる

三牧聖子さん
「アメリカ知識人の共産党」/「理念の国がきしむとき」 国家像と揺らぎ 根源から問う 朝日新聞書評から|好書好日

中山俊宏 おすすめランキング (24作品) - ブクログ

<印象深い一言またはつい語りたくなる一言など>
■p128(09 トランプ化する共和党――アメリカにおける保守主義運動の変質、もしくは終焉)ほか
トランプ大統領は、トランプ現象の設計者ではなく、むしろ彼自身がその症状である・・・
~まさにー!!
■p151(11 トランプ後も続くアメリカ・ファースト)
リチャード・ホルブルックの評伝の件
~雑誌掲載だったかの長~い書評?を評論のネタにしようと思ってずっと抱えていて(本自体を読まずに書評に便乗して語る便法というか手抜き手法w)、一通り目を通したものの、結局使わなかったことがあるので、頷く場面多数。
本人としては国務長官になりたかったので、最終ポストのオバマ政権のアフガン担当特使だった時に、ヒラリー・クリントン国務長官室に直訴に乗り込んだ最中に斃れたことを、「ギリシア悲劇のようでさえある」という記述が、中山博士らしい気がする。
Paddy Hirsch評
'Our Man' Provides An Inside Look At The Life Of Richard Holbrooke
'Our Man: Richard Holbrooke'について語る著者のGeorge Packer
George Packer on 'Our Man: Richard Holbrooke' - The John Adams Institute (Lecture)
David Klion評

Richard Holbrooke and the Lost Idealism of a Generation

Holbrooke’s public and personal life captures the contradictions of a cohort of liberals that came of age in the 1960s.

The Nation

 

公開インタビュー動画とその書き起こしか(瓶を持って荷物台車に乗っているのは、南ベトナム勤務時代の若手外交官のホルブルックだった気がする)
Foreign Affairs Live with George Packer

Foreign Affairs Live with George Packer

One of the most celebrated diplomats of his generation, Richard Holbrooke helped normalize U.S. relations with China; served as U.S. ambassador to a newly unifie...

Council on Foreign Relations

 

毀誉褒貶の激しさw
リチャード・ホルブルック - Wikipedia
■p346(25 理念なき大国間競争時代の幕開け――理念国家アメリカの蹉跌とアフガン撤退という「諦め」が意味するものは何か)
理念の国といえば、故岡崎久彦大使が生前繰り返し語り、文章にも書かれていたと思うのだが、駐タイ大使在任中、恒例のクーデターが起きて各国が援助を停止した後始末の話が愉快。
日本はタイミングを見て援助を再開したが、アメリカは民政移管が済んでいない状態(クーデタで成立した政権に対して)ではそうできないという制約があり、米メディア記者が、「なぜ日本は早々に(軍人政権に)援助を再開してしまうのか?」と聞いてきたという。
それに対する大使の答えが、同国の場合、クーデタは政権交代の一つの形であって、「アメリカは理念の上に創った国だから(建前が邪魔して援助再開が)できないのかもしれないが、日本は島の上に創った島国だ。成り立ちからして違うのだ(理念に囚われずに現実に対応する)。」という話だったと思う。
妙に印象に残っていて。
■p372-373(27 バイデン政権と中東――「九・一一戦争」の終結とその含意)
「そもそもアメリカは中東において、留まってもらいたい存在ではなく、出て行ってもらいたい存在であり反米感情が強い」
(一方アジアは)「この地域からアメリカに出ていってもらいたいと感じている国は、中国と北朝鮮以外にはいないだろう」
~鮮やかな対比。
エネルギー自給率が改善したアメリカは中東地域の重要性が低下することは以前から予想されていた通りの展開で、なるべく足を抜こうとしたいことは隠せない。
冷戦時代は、世界各地で存在感の大き過ぎるアメリカに反発した若者らが「ヤンキー・ゴーホーム」のプラカードを掲げたものだった。
今の若い人にはその意味がぴんと来ないかもしれない。
現状、中東ではアメリカにゴーホームしてもらいたい意向が強いが、アジアのデモクラシー諸国ではそうではない。
ところが、日本の一部地域ではヤンキーもそうだし本土勢力も気に入らないという。
地理的な位置は動かせないんだけど、それがわから(文字数)
■p404(解題 会田弘継)
紹介されているエッセー(理念じゃないっ)

America Isn't an Idea - The American Conservative

It's a place with unique customs that people are proud of. Why do country singers get this but so many scholars don't?

The American Conservative

 

(06 アメリカン・ナショナリズムの反撃――トランプ時代のウィルソン主義)
「アステイオン」88号「アメリカン・ナショナリズムの反撃――トランプ時代のウィルソン主義」を、3回に分けて全文転載
トランプ外交はミードの4類型に収まりきらない──アメリカン・ナショナリズムの反撃(1)
普通の大国として振舞うトランプ外交誕生の文脈──アメリカン・ナショナリズムの反撃(2)
世界はウィルソンが提唱した方向に向かっている──アメリカン・ナショナリズムの反撃(3)
~会田氏は、ジャーナリスト出身で研究者(大学教員)になったことや、研究対象がアメリカ思想ということで、中山博士は、メールのやりとりで本音をぼやいてみせるなど師匠格の敬意を表していたことが分かる。適切な人物に解題を依頼したと思う。

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