真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

[完訳版]第二次世界大戦 1 湧き起こる戦雲 ウィンストン・チャーチル著,伏見威蕃 訳 2023/082-2

2024-04-17 | 読書-歴史

[完訳版]第二次世界大戦 1 | 湧き起こる戦雲 | みすず書房

ノーベル文学賞を受けた英宰相が語る大叙事詩。全6巻の原典より新訳開始。1巻は20年に及ぶ前史から大戦勃発をへて首相となるまで。

みすず書房

 

第2編 不分明な戦争(トゥワイライト・ウォー) 1939年9月3日-1940年5月10日

第22章 戦争
第23章 海軍本部の責務
第24章 ポーランド滅亡
第25章 戦時内閣の問題点
第26章 フランスの陣頭
第27章 戦闘激化
第28章 磁気機雷 1939年11-12月
第29章 ラプラタ沖海戦
第30章 スカンディナヴィア、フィンランド
第31章 暗澹たる新年
第32章 嵐の前 1940年3月
第33章 海上での衝突 1940年4月
第34章 ナルヴィク
第35章 トロンヘイム
第36章 ノルウェーでの挫折
第37章 ノルウェー:終盤
第38章 チェンバレン内閣が倒れる

2回目の海軍卿として、やたらと軍事に詳しいトップから色々示唆され指示された職業軍人らはどう思っていたのだろうと思うなどした。
議会演説はもちろん、省内メモ、他の政治家への手紙等々、これでもかと出てきてドヤるというか、「自分は当時こう主張した、これが証拠だよん」攻撃。

第23章 海軍本部の責務
p498 ローズヴェルトとチャーチルが「海軍人」として頻繁に文通していた件

Why was he a ‘Former Naval Person’?

Anyone who cares knows that Churchill, in writing personal messages to President Roosevelt during World War II, signed himself “Former Naval Person.” The assumpt...

Foreign Policy

 


Churchill and the Presidents: Franklin Roosevelt

Read Warren F. Kimball's study of the relationship between Winston S. Churchill and U.S. President Franklin D. Roosevelt.

The Churchill Project - Hillsdale College

 

まあ、あれだよね。当時の英国にとって、米国を戦争に引きずりこめるかどうかが、帝国の存亡にかかる重大テーマだったはずなので、相手トップの好みの分野で共通項を大げさに取り上げて、「ぼくら、一緒だよね~」と(だよね~攻勢で)共感を高めつつ援助を引き出すのは当然ではあっただろう。
といってしまうと身も蓋もないかもだが。
ルーズベルト一族と日本 谷光 太郎 2016/02 - 真似屋南面堂はね~述而不作

Former Naval Person: Winston Churchill and the Royal Navy - The Naval Review

(originally published by Cassell, 1968)

The Naval Review

 


第25章 戦時内閣の問題点
p529 捕鯨船のキャッチャーボートが建造可能な各地の小規模船台で急造された対潜捕鯨船(A/S whaler)、のちにフラワー級コルベットの件
「英国海洋小説の古典的名作」を読む① - 真似屋南面堂はね~述而不作

第27章 戦闘激化
p558
チェンバレンが若い時に、西インド諸島の小島でサイザル麻の栽培に当たっていたことがあった(失敗したけど)件は、知らなんだ。
Neville Chamberlain - Wikipedia
In an effort to recoup diminished family fortunes, Joseph Chamberlain sent his younger son to establish a sisal plantation on Andros Island in the Bahamas.[9] Neville Chamberlain spent six years there but the plantation was a failure, and Joseph Chamberlain lost £50,000[a][10] (equivalent to £6,144,000 in 2024).[11]

第31章 暗澹たる新年
p637 補給艦アルトマルク
アルトマルク (船) - Wikipedia
なんと、同艦はその後改名し、はるばる日本で最期を迎えたのだとは、知らなんだわ。(検索して知る)
『帰れなかったドイツ兵―太平洋戦争を箱根で過ごした誇り高きドイツ海軍将兵』 (新井恵美子さん) - 真似屋南面堂はね~述而不作
『横浜港ドイツ軍艦燃ゆ』(石川美邦さん 1995年) リンク切れ修正など - 真似屋南面堂はね~述而不作

第33章 海上での衝突 1940年4月
p686 ジョージ6世国王よりチャーチル国防調整相・海軍卿への手紙1940/4/12
第2次ナルヴィク海戦 - Wikipediaの戦果を嘉賞し、語り合いたいと召された。
映画「Darkest Hour (2017)」だと、 国王は1940年5月に、「あんな輩を首相に指名しないといかんのか?」(大意)などと言って、手の甲にキスされると背中で拭ったりしてあからさまに嫌がっていたけどw

第34章 ナルヴィク
p690 スノーシューの訳注に「和かんじき」との差異説明があるが、「輪かんじき」が正当であろう。
訳注は概ね適切で読者の理解を大いに助けているが、たまにはご愛敬レベルでw

第37章 ノルウェー:終盤
p741 HMS Acasta (H09) - Wikipediaほかの奮戦の件。

刑事フォイル - Wikipediaで部下のミルナーは、出征してノルウェーで負傷して義足になって戻ってきた設定だったよね。

第38章 チェンバレン内閣が倒れる
映画「Darkest Hour (2017)」で、チャーチルに組閣を命じるために召し出した国王が、「週次の奏上/政務報告は月曜にしようか、4時では?」と尋ねると、昼寝優先の新首相が拒否して昼食時にしてもらったくだりには爆笑。
実際にそのようなやり取りがあったわけではないだろうが、チャーチルの(深夜まで働くための)昼寝重視と、奏上時間の設定を巧みに結び付けた?
チャーチルが国王に組閣を命じられた際の会話(どうして呼ばれたのかわからないだろう?/いえまったくわかりません陛下)は、本書によると着席して交わされたようだったが、映画ではドラマチックな効果を狙ってか、両名起立のままと描かれた。

補遺
II 海軍卿覚書(承認・進言)
トロール船徴発
なるほど、各国で漁船が徴発されて戦時任務にあたったのだわね。
漁船の手も借りないと、とても間に合わない。
なお、独海軍が気象観測用に徴発していた漁船(偽装トロール船)は、英側で暗号解読に徴用されていた院生?(後年、国際政治史の大先生に)のアイデアで、襲って暗号表を奪取したのは既報のとおり。
Inside histories エニグマ・コード―史上最大の暗号戦 ヒュー・S=モンティフィオーリ/小林 朋則訳 2007/12 - 真似屋南面堂はね~述而不作

p870 サーモン (イギリス潜水艦) - Wikipedia
1932/12/19付
将校と乗組員の昇級と叙勲に賛成のメモ
なるほど。

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