〜かたることばが歌になる風になる〜

コーラス花座コンサート終わる⑥

「木下牧子女声合唱曲選」

『夢』(吉行理恵 詩)


僕は
白いパジャマを着て
寝床で 眠っていました
藁のはみでた縫いぐるみの
兎を攫って(さらって)
浜辺をかけて行ったのは 風
真珠のように 白い光に包まれていました

僕は
海辺の 家の
二階の窓から
真っ白い翼の風を見つけました
すると 砂たちは叫びました
 「くるな くるな くるな」


詩人吉行理恵は、昔NHKの連続テレビで見た「あぐり」の次女で、兄が吉行淳之介、姉は女優の吉行和子。
非常にナイーブな人で生涯独身だったそうだ。

ピアノの前奏は、8分の6拍子と8分の5拍子が1小節ごとに繰り返され不完全さを醸し出す。
これは夢の中で「夢から冷めたような」不確かな心象を誘う(いざなう)。
今回伴奏してくれたKさんは、この曲のピアノ連弾版を弾いたことがあると言っていた。
フォーレのピアノ連弾曲「ドリー」やドビュッシーの「アラベスク1番」を思い出させてくれる。

 次の『むらさきの』も吉行理恵の詩。

知っている?
小さな私のふるさとを
暗闇の中に幽かな光にいろどられる
水たまりの世界を・・・・・
そこはむらさきいろのはらっぱ
うちあけたこころをそっとうつす水鏡
はりつめた胸はやわらかい歌声にかわる
 笹の葉船は郷愁の家


目の前にある「水たまりの世界」や「むらさきいろのはらっぱ」に幼い頃の思い出が蘇るのか。
今の自分の思いを水鏡に映して「小さな私のふるさと(笹の葉船)」の郷愁と重ねて合わせているのか。
 この詩も、幻想的な夢のような心象詠なのかもしれない。

活動を終了した「女声合唱団風」のこと、「コーラス花座」のこと、韓国ドラマ、中国ドラマなど色々。

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