アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

「手塚治虫のブッダ展」

2011-04-25 | 映画一般

明日から東京国立博物館で、特別展「手塚治虫のブッダ展」が開催されます。ついているコピーが「仏像と漫画、トーハクでまさかの共演!」。わははのナイス・コピーです! 東博、やりますねー。

 

さらに裏面の長文コピーは、「”漫画の神様”といわれる手塚治虫。その手塚漫画とほんものの仏像で「ブッダ=釈迦の生涯」をつづります。展覧会史上初となる、『ブッダ』の直筆原画と、日本やガンダーラの仏像が織りなす奇跡の空間を、あなたも体験しませんか?」という調子。英語のタイトル「BUDDHA - The Story in Manga and Art」もわかりやすいですね。

チラシの裏面には、手塚漫画の原画と仏像、それぞれ似たポーズの作品が並べてあります。実際の展示はどうなのかなー、と思って、内覧会にちょっとだけお邪魔してきました・・・・・ら、この展示がすごかった!

まず、手塚漫画の原画の魅力。展示の最初に「ブッダの一生」として、単行本の表紙絵が集められているのですが、カラー版原画の美しいこと、美しいこと。特に、そのデザインの力に惹きつけられてしまいます。そして、ブッダの生涯を辿って展示された墨の原画では、手塚治虫のタッチがつぶさに見られて漫画手法の秘密を見た気分に。スクリーン・トーンが使われていないというのも驚きでした。この背景、全部1本1本手で線が引いてあるんだ~。

それから、仏像の魅力がまたすごい。日本のものに、パキスタンのガンダーラ美術のもの、そしてカンボジアのアンコール・トムからやってきたものもあり、手塚漫画と響き合う仏像が上手に選ばれて一緒に展示されています。ガラスケースに入れられていないものもあって、像の息づかいまでもが伝わってくるようです。法隆寺献納宝物とある「摩耶夫人と天人像(ブッダの誕生)」などとても漫画チックで、手塚漫画と美術品の間に違和感がありません。前述したコピーのとおり、”奇跡の空間”が生まれています。 

4月26日(火)から6月26日(日)まで開催されるこの「手塚治虫のブッダ展」の詳細は、こちらの公式サイトをどうぞ。実はこの展覧会、5月28日(土)に公開予定のアニメ映画『手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-』とも連動しています。「手塚治虫のブッダ展」の主催者は、東京国立博物館、東映、TBS。おそらく、アニメ映画『手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-』の製作会社である東映が展覧会の企画をトーハクに持ち込み、トーハクが「おもしろい!」とノって実現したのでは、と思います(もし違っていたらゴメンナサイ)。企画を立てた方も偉いけど、受けて実現させた方も懐が深い、と感心してしまう特別展です。

森下孝三監督によるアニメ映画『手塚治虫のブッダ-赤い砂漠よ!美しく-』は、手塚治虫の漫画「ブッダ」を映画化した第1部で、シッダールタ王子が城を捨てて出家するまでが描かれます。予告編はこちら公式サイトもあります。

原画キャラ・デザインが手塚漫画のオリジナルと異なるのは残念ですが、原作はよく生かされていて、シッダールタ王子の物語と並行して奴隷階級の若者チャプラの活躍と苦悩が描かれ、なかなかの大河ドラマに仕上がっています。特に声優として出演している吉岡秀隆(シッダールタ王子)と堺雅人(チャプラ)の声がすごくよくて、吉永小百合(チャプラの母&ナレーション)の声ともども、もう惚れ惚れ~。こちらもぜひお楽しみに。

さーて、連休は、漫画好き、アニメ好き、仏像好き(いるよね?)の皆さんはトーハクへ。手塚治虫の原画が、修正ホワイトやネームの下書きまでくっきりわかるカタログもコレクターズ・アイテムです。あと私は早速、表紙絵原画のポスカも買っちゃいました。アメリカにいる友人の日本アニメ研究家に、アトムの切手を貼って出してあげようと思います。

あ、このポスカ、裏というか宛名&文面側のデザインもしゃれてるなあ。ああ、またコレクションが増えていく....。

 

 


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4 コメント

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英語版 (adansonian)
2011-06-30 06:37:44
はじめまして。アメリカ在住なのですが、手塚作品は英語版も売られています。ブッダは子どものころから大好きだったので、こないだ英語版を全巻そろえました。レビューを書きましたのでよろしければ。

http://adansonian.blogspot.com/2011/06/buddha.html

こちらの人も「面白い」と数日で読み終えていました。偉大です。ちなみにブラックジャックも買いました。
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adansonian様 (cinetama)
2011-06-30 08:31:12
あらまあ、アメリカから! コメントどうもありがとうございます。インド在住の方からいただいたことはあるのですが、アメリカにお住まいの方も読んで下さっているとは。

英語版はページの開きが逆になるので、ストーリーものは読みにくかったりしないかな、と思ったんですが、レビューを拝見してそんなことないんだ、と納得。「ブッダ」の中では台詞には出てこなかった(絵では登場していたはず)と思いますが、例の”ヒョウタンツギ”、英訳は何となっているのか知りたいです。パッチなんたらでしょうか? 「ヒョウタンツギだす」というような台詞のある作品の英語版を探してみたいですね。
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インドネシアでも読まれてます (アハマド)
2011-06-30 19:14:46
手塚治虫の「ブッダ」はインドネシアでも翻訳されてます。通常のマンガはペラペラの紙に印刷されていてボロボロになりやすいのですが、「ブッダ」は例外でかなりしっかりした製本です。全巻そろえると背表紙が一枚の絵になっているという凝りよう。他に翻訳されている手塚作品を知らないのですが、「ブッダ」に関してはマンガというより教養書あるいは宗教書として版元は出しているのかもしれませんね。
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アハマド様 (cinetama)
2011-06-30 20:18:25
コメント、ありがとうごさいました。

そういえば、アハマドさんはインドネシア在住の方。前のコメントに書き漏らしてしまいましたが、いろんな所にお住まいの方が見て下さっていますねー。

「ブッダ」のインドネシア語版、どんな人たちが読んでいるのでしょう? 若い人が読むのかしらん? 
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