アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

2015年度のインド映画製作本数

2017-07-30 | インド映画

夏の集中講義の準備をしていて、情報更新のためインドのCentral Board of Film Certification(中央映画検定局)のサイトをチェックしました。すると、2015年度(2015.4.1~2016.3.31)の検定結果報告書がアップされていましたので、すぐにプリントアウト。このレポートによると、2015年度のインド映画の言語別製作本数は次のようになっています。

2015年度(2015.4.1~2016.3.31))言語別検定通過数
(2桁以上の製作言語のみリストアップ)
  ヒンディー語(Hindi)・・・・・・・・・・340本
  タミル語(Tamil)・・・・・・・・・・・・・・291本
  テルグ語(Telugu)・・・・・・・・・・・・・275本
  カンナダ語(Kannada)・・・・・・・・・204本
  マラーティー語(Marathi)・・・・・・181本
  マラヤーラム語(Malayalam)・・・168本
  ベンガル語(Bengali)・・・・・・・・・・149本
  ボージプリー語(Bhojpuri)・・・・・・67本
  グジャラーティー語(Gujarati)・・・45本
  パンジャービー語(Punjabi)・・・・・45本
  オリヤー語(Oriya)・・・・・・・・・・・・・41本
  アッサム語(Assamese)・・・・・・・・・20本
  ラージャスターニー語(Rajasthani)・・・・・・10本
  チャッティースガリー語(Chattishari)・・・・10本
  トゥル語(Tulu)・・・・・・・・・・・・・・・・10本
  他は1桁台/計41言語/合計1,903本

2013年度の1,966本よりは減りましたが、2014年度は1,845本だったので、また本数がアップしたことになります。マラーティー語1本のみがフィルム製作(レポートでは「Celluloid」と表記)で、あとはすべてデジタル製作となり、次年度ではフィルム製作はゼロになるのでは、と思われます。レポートでもこれが顕著な変化としてあげられていて、1,274本(2010年)→1.255本(2011年)→744本(2012年度)→188本(2013年度)→18本(2014年度)→1本(2015年度)と、この数年でデジタル化が一挙に進んだことを示す表が付けられています。

「バーフバリ 伝説誕生」予告編

2015年にインドで一番ヒットした作品は、上に予告編を付けたテルグ語映画『バーフバリ 伝説誕生』ですが、この映画はヒンディー語、タミル語、マラヤーラム語にも吹き替えられたので、それぞれの言語で検定を受けているため、1本ですが製作本数は4本分を占めています。ヒンディー語の製作本数が多いのも、吹き替え版が多く作られたためかも知れません。先日インタビューしたファラー・カーン監督は、「ヒンディー語映画の製作本数は減っていると思う」と言っていましたので、純粋にヒンディー語映画として作られる作品は減少傾向にあるのでは、と思います。

Bajrangi Bhaijaan | Official Trailer with English Subtitles| Salman Khan, Kareena Kapoor, Nawazuddin

2015年のヒンディー語映画の興収トップは、上に予告編を付けた『Bajrangi Bhaijaan(バジュランギー兄貴)』ですが、この映画は残念ながら、日本では公開されていません。サルマーン・カーン主演、カビール・カーン監督ということで、『タイガー 伝説のスパイ』(2012)コンビの作品でもあるし、ぜひ公開してほしかったのですが...。日本の配給会社さんも、インド映画の動向には常に注目して下さっており、インド側の製作会社と交渉したりなさっているのですが、特にヒット作はインド側の事情もあってなかなかすんなりと契約成立にまで到らないようです。そのあたりの裏事情は、またインド映画連続講座の折にでもお話したいと思います。

Lipstick Under My Burkha (2017).jpg

明るい話題としては、昨年東京国際映画祭で上映されたアランクリター・シュリーワースタウ監督の『ブルカの中の口紅』が、目下インドでじわっとヒット中。ポスター↑も一新して(これはまた、過激なポスターですね~)7月21日に公開されたこの作品、すでに製作費の3倍近い1億8,400万ルピーの興収を挙げています。『ブルカの中の口紅』をご覧になった方はおわかりのように、相当過激な性表現があり、本年1月には中央映画検定局から検定を拒否されました。そこで監督側は映画検定控訴機関(Film Certification Appellate Tribunal)に訴え、プロデュ-サーが仲立ちとなってやり取りをした結果、監督・製作側から16箇所の自主的カットを申し出て受け入れられ、さらに数カ所のカットを加えて無事検定を通過することができたそうです。レイティングはもちろん「A(アダルト)」指定ですが、こういった経緯も興味を引いたのか、全国400スクリーンで上映されたとのことで、まずは観客の目に届いてよかったですね、シュリーワースタウ監督。どこがカットされたのか気になりますので、来月行くシンガポールでやっていたら見てみましょう。(シンガポールはインド以上に検閲が厳しいので、上映してないかな...)

インド公開に向けた『ブルカの中の口紅』の予告編を付けておきます。検定を逆手に取っていて、面白いですねー。

LIPSTICK UNDER MY BURKHA | Official Trailer 2 | Releasing 21 July | Konkona Sensharma, Ratna Pathak

 


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