アジア映画巡礼

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<インディアン・ムービー・ウィーク(IMW)2021 パート2>のお知らせ

2021-08-28 | インド映画

今年のインディアン・ムービー・ウィーク(IMW)第2弾の全容が発表されました。第1弾は4月末に「タミル・クライム映画祭」として行われる予定でしたが、コロナ禍のために予定が少々変更となり、6月に<IMW2021 パート1>として、少しラインアップを変えて実施されました。そして今回、9月半ばから開催される<IMW2021 パート2>は、新たに上映される作品4本に加えて、再上映が5本、アンコール上映が2本という、豪華11本のラインアップで開催されます。すでにあちこちの映画サイトで紹介されたりしていますが、少し前のニュースがそのまま掲載されたりもしていますので、公式サイトが整備されるのと期を同じくして、拙ブログでも全容をお伝えすることにしました。実施概要は下の通りです。(作品紹介部分で、一部、当サイトが手を入れたところがあります。悪しからずご了承下さい)

コメディから社会派ドラマまで、話題のインド映画を紹介する「インディアンムービーウィーク2021 パート2」 9月開催

インド映画専門の映画配給会社Space Boxは、インド映画の特集上映「インディアンムービーウィーク2021 パート2」を9月10日(金)より東京にて、9月24日(金)からは上映劇場を拡大して開催します。
今年6月に開催した「パート1」に続く今回のラインナップは、インド国内外で活躍し2020年に急逝したイルファーン・カーンの最後の出演作品『イングリッシュ・ミディアム』、少年院の更生に立ち上がる教師を描く大ヒットアクション『マスター 先生が来る!』など、4作品を初上映します。
このほか、女性嫌悪とヒンドゥー社会の「穢れ」観にメスを入れ、大手会社での配信を拒否された話題作『グレート・インディアン・キッチン』など「パート1」作品の再上映作品を含め、コメディからアクション大作、クライム映画、社会派ドラマまで、幅広いジャンルの11作品を揃えました。

【開催日程】
東京:キネカ大森 9月10日(金)~10月7日(木)

大阪:シネ・リーブル梅田 9月24日(金)~9月30日(木)

〔松竹マルチプレックスシアターズ系劇場〕 9月24日(金)~10月7日(木)
 東京:新宿ピカデリー、MOVIX 昭島
 埼玉:MOVIX三郷
 千葉:MOVIX柏の葉
 大阪:MOVIX堺、なんばパークスシネマ
 兵庫:神戸国際松竹
 九州:熊本ピカデリー

愛知:ミッドランドスクエア シネマ 9月24日(金)~10月7日(木
※上記日程は全会場にて、11作品を上映します。

新潟:高田世界館 10月16日(土)~10月31日(日)
※一部作品を上映します。

[全日程共通]
※ 感染症の発生状況により、開催の延期・中止の可能性があります。開催情報は、IMW公式サイトおよびSNSにてお知らせします。

【上映作品】
1. 『イングリッシュ・ミディアム』(原題:Angrezi Medium)  ※日本初上映
  2020年/ ヒンディー語/ 145分/ 映倫区分:PG12(未成年者の飲酒場面あり)

 

 ©️Maddock Films, ©️Skywalk Films, ©️The Crew Rajasthan,
 ©️Uniforms & Weapons Emporium

実力派俳優が勢揃いしたファミリーコメディ。英語教育熱を風刺した『ヒンディー・ミディアム』(2017)の物語上つながりのない続編(フランチャイズ作品)で、2020年に急逝したイルファーン・カーンの最後の出演作品。娘の留学を叶えようと奮闘する父を描く。
ラージャスターン州ウダイプルで老舗菓子店を営むチャンパクは、早くに妻を亡くし、娘ターリカーを一人で育ててきた。英国留学に憧れるターリカーは猛勉強し、ロンドンの大学への奨学金留学生に選ばれたが、父のうかつな一言でチャンスを失う。志望校の留学生枠は埋まり、残るは英国市民向けの入学枠のみ。チャンパクはロンドンに住む旧友バブルーを頼り、ターリカー、いとこのゴーピーと共にロンドンに向かうが、空港到着時にチャンパクとゴーピーの下手な英語が問題を起こし、ターリカーをロンドンに残したまま、二人は強制送還となる...。
 監督:ホーミー・アダジャーニア
 音楽:サチン=ジガル
 出演:イルファーン・カーン、ラーディカー・マーダーン、ディーパク・ドーブリヤール、カリーナ・カプール・カーン、パンカジ・トリパーティー、ランヴィール・ショーリー、ディンプル・カパーディヤー、ティロタマ・ショーム

2. 『マスター 先生が来る!』(原題:Master)  ※日本語字幕版初上映
  2021年/ タミル語/ 179分/ 映倫区分:PG-12(暴力シーンあり)

                            
©B4U Motion Pictures, ©Seven Screen Studio, ©X.B. Film Creators

2020年、新型コロナウイルスの感染が悪化したインドでは、各地の映画館がロックダウン(都市封鎖)のため長期にわたり休館した。劇場再開を待てず、多くの作品がオンライン配信での公開を余儀なくされたが、本作の製作陣は辛抱強く待ち続け、映画館が再開した2021年1月に公開。アメリカ、シンガポール、アラブ首長国連邦、オーストラリアなどでも同時に公開され、初週の興行成績は、インドだけでなく世界1位となる大ヒットを記録した(以上出典:DEADLINE 2021年1月17日記事)。公開初週の世界興収第1位作品で、荒廃した少年院の更生に立ち上がる、正義の教師が主人公。
名門大学教授のJDは、アルコール依存症気味だが学生には大人気。彼が実施を強く主張した学生会長選挙で暴動が起こったため、責任をとり休職し、地方都市の少年院に赴く。一方、その地方都市で生まれたバワーニは、少年時代にギャングの手で両親を殺され、その後少年院での生活で辛酸をなめ、冷酷非道な非合法ビジネスの大元締めに成長していた。バワーニが支配する荒廃した少年院で、JDは少年たちの更生のために立ち上がる。大人気俳優ヴィジャイと注目俳優ヴィジャイ・セードゥパティを主役に据えた、勧善懲悪のアクションドラマ。
 監督:ローケーシュ・カナガラージ
 音楽:アニルド
 出演:ヴィジャイ、ヴィジャイ・セードゥパティ、マラヴィカー・モーハナン、アルジュン・ダース

3. 『ラジニムルガン』 (原題:Rajinimurugan)   ※日本語字幕版初上映
  2016年/ タミル語/ 155分


 ©️ Thirupathi Brothers

人気俳優シヴァカールティケーヤンと『伝説の女優 サーヴィトリ』主演のキールティ・スレーシュによる、歌と踊りとラジニカーント愛が満載の、カラフルな「極楽トンボのハッピー・マドゥライ」的ロマンチック・コメディ。
南インド、マドゥライの街で毎日を遊び暮らす、のんきな無職青年ラジニムルガンは、大きな屋敷に一人住む祖父アイヤンガライに可愛がられていた。彼には幼少時から決められていた婚約者カールティカがいたが、婚約を取り消したくなった父親によって、彼女は遠い町に送り出されていた。成人してマドゥライに帰郷した彼女を見て惚れ直したラジニムルガンは、あの手この手の求愛を試みる。一方、孫が身を立てるのを助けようと、祖父は屋敷の売却を試みるが、そこに法定相続人を名乗る未知の男が現れて、一族に波紋が広がる。
 監督:ポンラーム
 音楽:D・イマーン
 出演:シヴァカールティケーヤン、キールティ・スレーシュ、ラージキラン、スーリ、サムドラカニ、アチュート・クマール

4. 『俺だって極道さ』(原題:Naanum Rowdy Dhaan) ※日本語字幕版初上映
  2015年/ タミル語/ 139分


©️ Wunderbar Films

人気者のヴィジャイ・セードゥパティとナヤンターラを配し、旧フランス領ポンディシェリのお洒落な街並みを舞台にした、ちょっぴりシュールで、ふんわりと軽い、異色の新感覚リベンジ・コメディ。インドの映画メディア「Film Companion」で、2010年代のタミル語映画ベスト25に選ばれた1作。プロデューサーは『無職の大卒』主演のダヌシュ。
ポンディシェリに住む青年パーンディは、警官の母親を持ちながら極道になることに憧れており、友達のドーシと一緒に「極道ごっこ」で小遣いを稼いでいた。ある夜彼は聴覚障がいを持つ女性カーダンバリに出会い、一目惚れする。何とか彼女の心を開こうとするパーンディに対してカーダンバリが求めたのは、幼少時に起こって以来彼女のトラウマとなっている襲撃事件の首謀者である大物極道への仇討ちだった。へっぴり腰で始まった仇討ち作戦は、想定外の勢力が脇から加わり、思わぬ方向に転がり出す。[ストーリー出典:25 Greatest Tamil Films Of The Decade/ Baradwaj Rangan/ Film Companion, December 2019]
 監督:ヴィグネーシュ・シヴァン
 音楽:アニルド
 出演:ヴィジャイ・セードゥパティ、ナヤンターラ、パールティバン、ラーディカー・サラトクマール、R・J・バーラージ

※「日本語字幕版初上映」とある作品は、主催のSpace Boxが過去に英語字幕版で上映した作品です。

 

【再上映作品】(松竹系劇場では初上映)
5. 『グレート・インディアン・キッチン』(原題:The Great Indian Kitchen)
  2021年/ マラヤーラム語/ 100分

                                      ©Cinema Cooks, ©Mankind Cinemas, ©Symmetry Cinemas

グルメ番組のように始まり、家族制度の暗部に切り込む“ホームドラマ”。
ケーララ州北部のカリカットの町で、高位カーストの男女がお見合いで結婚する。夫は由緒ある家柄の出で、伝統的な邸宅に暮らしている。中東育ちでモダンな生活様式に馴染んだ妻は、夫とその両親とが同居する婚家に入るが、台所と寝室で男たちに奉仕するだけの生活に疑問を持ち始める。教育を受けた若い女性が、家父長制とミソジニー(女性嫌悪)に直面して味わうフラストレーションをドキュメンタリー的タッチで描く。同時に、2018〜19年に最高潮だった「シャバリマラ寺院への女性参拝問題」※もサブテーマとして現れ、伝統的ヒンドゥー社会での「穢れ」観にもメスが入る。公開後、多くの議論が巻き起こった話題作。第24回上海国際映画祭(2021年6月開催)でも上映された。
 ※同寺院は伝統的に女人禁制(初潮から閉経までの間の、子供を産める状態の女性の入山禁止)を敷いていたが、女性の法曹関係者による訴えが2018年に最高裁で結審し、女性参拝者の排除を違憲とした。
 監督:ジヨー・ベービ
 音楽:スラージ・S・クルップ、マチュース・プリッカン
 出演:ニミシャ・サジャヤン、スラージ・ヴェニャーラムード、T・スレーシュ・バーブ、アジタ・V・M、ラーマデーヴィ、カバニ、シッダールト・シヴァ
※松竹系劇場のほか、シネ・リーブル梅田においても初上映。

6. 『マーリ』(原題:Maari)
  2015年/ タミル語/ 138分                                         

©Magic Frames, ©Wunderbar Films

鳩好きマーリの爽やか極道コメディ。
チェンナイの下町に住むマーリは、身寄りなく育った若者。8年ほど前から土地を仕切る極道として皆に恐れられるようになっている。彼は鳩レースに入れ込んでおり、鳩の前では柔和な一面も見せる。そんな彼の前に、新しく地区の担当になったアルジュン警部とブティック経営者のシュリーが登場し、波乱が起こる。ダヌシュ(無職の大卒)のダンスも見どころの、極道コメディ。インドで大ヒットし、シリーズ2作目も製作された。
 監督:バーラージ・モーハン
 音楽:アニルド
 出演:ダヌシュ、カージャル・アグルワール、ローボー・シャンカル、ヴィジャイ・イエースダース、マイム・ゴーピ、カッルーリ・ヴィノード

7. 『女神たちよ』(原題:Iraivi)
  2016年/ タミル語/ 158分

                                     ©Thirukumaran Entertainment

鬼才スッバラージ監督が描く、悲哀の群像劇。
映画監督のアルルと幼なじみのマイケルは、内面に抱える問題のストレスを妻にぶつける日々。アルルの弟ジャガンが古寺の女神像の密売に手を出したことをきっかけに、彼らの運命は思わぬ方向に転がっていく。原題は「女神」の意。男性に振り回され苦悩する女性たちが、古寺に留め置かれた女神像に重ねて描かれる。ギャングスター・ミュージカル『ジガルタンダ』が高く評価された、鬼才カールティク・スッバラージ監督第3作目。「雨」を重要なモチーフとし、女性への敬意に満ちたラストが印象的なドラマ。
 監督:カールティク・スッバラージ
 音楽:サントーシュ・ナーラーヤナン
 出演:S・J・スーリヤー、ヴィジャイ・セードゥパティ、ボビー・シンハー、アンジャリ、カマリニ・ムカルジー、カルナーカラン

8. 『まばたかない瞳 バンガロール連続誘拐殺人』(原題:Imaikkaa Nodigal)
  2018年/ タミル語/ 168分/ 映倫区分:PG-12(暴力シーンあり)

 

©Cameo Films India, ©Drumsticks Productions

連続殺人犯 vs. 執念の捜査官。
バンガロールを震撼させる連続誘拐殺人事件。富裕層の子弟が誘拐され、身代金が払われるにもかかわらず惨殺されるのだ。捜査に当たる中央捜査局のアンジャリは、犯人を自称するルドラという男に肉薄しながらも取り逃がしてしまう。犯人、警察、中央捜査局が三つ巴となっての息詰まる追跡劇。主役である捜査官役を演じたのは、人気、実力から「レディ・スーパースター」と称されるナヤンターラ。ヒンディー語映画界の異才監督、アヌラーグ・カシャップの怪演が印象的。
 監督:R・アジャイ・ニャーナムットゥ
 音楽:ヒップホップ・タミラー
 出演:ナヤンターラ、アタルヴァー・ムラリ、アヌラーグ・カシャップ、ラーシー・カンナー/ ヴィジャイ・セードゥパティ(特別出演)

9.『双璧のアリバイ』(原題:Thadam)
  2019年/ タミル語/131分

©RedhanThe Cinema People

殺人容疑者の男には、確かなアリバイがあった。
大雨の夜に静かな住宅街の一軒で起こった殺人事件。犯人を特定できる遺留物は見つからず、被害者の交遊関係にも怪しい人物は見当たらなかった。しかし、同じ夜に隣家の住人が偶然撮影したセルフィーの片隅に、怪しい人影が映り込んでいた。土木技師のエリルはその人影と同一人物であるとして拘束される。法の抜け穴をきわどく攻める犯罪スリラー。アルン・ヴィジャイが二役を熱演。インド公開時に高評価を受け、他の言語にもリメイクされた秀逸なスリラー。
 監督:マギル・ティルメーニ
 音楽:アルン・ラージ
 出演:アルン・ヴィジャイ、タニヤー・ホープ、スムルティ・ヴェンカト、ヨーギ・バーブ、ジョージ・マリヤーン、ヴィディヤ・プラディープ、ソニヤ・アグルワール


[アンコール上映]
2021年以前に上映し、いまも多くのリクエストが寄せられる2作品を追加上映します。
10.  『サルカール 1票の革命』(原題:Sarkar) ※初回上映:IMW2019
2018年/ タミル語/ 162分/ 映倫区分:PG-12(焼身自殺のシーンあり)

 ©️ Sun Pictures

社会を変える1票。痛烈な政治ドラマ。
米国在住の大富豪スンダルは、タミルナードゥ州議会選挙への投票のため一時帰国でチェンナイを訪れる。投票所で彼が知ったのは、何者かが彼に成りすまして既に投票を終えていたということだった。スンダルは司法に訴えて再投票の権利を勝ち取るが、その過程で既存の政治家たちの腐敗を目の当たりにして、さらなる行動に打って出る。「1票の重み」のテーマから始まり、現実世界の既成政党への批判を縦横に繰り広げたため、現地での封切り時には物議をかもした。強面なヴァララクシュミ・サラトクマールの迫力ある悪役ぶりも大いに注目された。IMW2019上映の人気作品。
 監督:A・R・ムルガダース
 音楽:A・R・ラフマーン
 出演:ヴィジャイ、キールティ・スレーシュ、ヴァララクシュミ・サラトクマール、ラーダー・ラヴィ

11. 『マジック』(原題:Mersal)※初回上映:ICW2018
    2017年/ タミル語 / 169分/ 映倫区分:R15+(殺傷シーンあり)

Mersal film poster.jpg

医療をめぐる社会派スリラー。
チェンナイの低所得者層地域で開業するマーラン医師は、低額で患者を診る人徳者で、国際会議でも表彰される。しかしその周りで医療関係者の不審死が起こり、警察は彼を拘束して尋問する。そこで浮かび上がったのは、ヴェトリという名の彼と瓜二つの奇術師だった。V・ヴィジャエーンドラ・プラサードが脚本に加わり、娯楽性がある社会派スリラーに仕上がっている。インディアン・シネマ・ウィーク2018上映の人気作品。

 監督:アトリ
 脚本:アトリ、V・ヴィジャエーンドラ・プラサード、ラマナギリーヴァーサン
 音楽:A・R・ラフマーン
 出演:ヴィジャイ、サマンタ、カージャル・アグルワール、ニティヤ・メーノーン、S・J・スーリヤー、サティヤラージ


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