ノーベル賞の文学賞受賞者が発表されましたね。この時期いつも思い出すのは、アジアで初めてノーベル文学賞をもらったのが、インドの文学者ラビンドラナート・タゴールだったということです。タゴールに関しては、以前丹羽京子さんの好著「タゴール」について書いた記事の中でざっと紹介したのですが、1861年生まれなので、今年は生誕150年。それを記念して、日本でもいろいろな催しが行われています。今日は、その一つ、慶應大学で行われるシンポジウム「慶應義塾とタゴール」をちょっとご紹介します。
その前に、タゴールのお顔をアップしておきましょう。1976年に岩波ホールで公開されたサタジット・レイ監督作品『詩聖タゴール』 (1961)のチラシです。35年前のチラシ、取ってあってよかった....。
「慶應義塾とタゴール」の詳細は次の通りです。いただいた情報をそのまま貼り付けてあります。
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今年2011年は、インドの詩聖であり、アジア初のノーベル文学賞受賞者であるラビンドラナート・タゴールの生誕150周年にあたります。タゴールは今から95年前の1916年に初来日した際、慶應義塾で『Nationalism』について講演し、当時英文科教授の野口米次郎(ヨネ野口)とも親交を結びました。
慶應タゴール会並びにタゴール生誕150年記念会は、タゴールが当時の学生に与えた影響、日本とインドの知識人との関係など、タゴールについて多面的に検討するためにシンポジウムを開催いたします。
日時: 2011年10月22日(土) 午後2時30分 から 5時まで (受付開始:午後2時)
会場: 慶應義塾大学三田キャンパス北館ホール
〒108-8345 東京都港区三田2-15-45 アクセス
14:30- 開会の挨拶: 慶應義塾長 清家 篤
14:40-15:00 基調講演:『元駐日インド大使の立場からみたタゴール観』
アフターブ・セット 元駐日インド大使/元慶應義塾大学教授
第1部
15:00-15:20 臼田雅之 「慶應講演『ナショナリズム』をめぐって」
15:20-15:40 丹羽京子 「野口米次郎(ヨネ野口)とタゴール」
第2部
15:40-16:10 「タゴール詩の朗読と歌」: 丹羽京子(日本語朗読)
アジャンタ・グプタ(ベンガル語朗読)
リタ・カール(ベンガル語の歌)
第3部
16:10-16:30 外川昌彦 「コメント・タゴールと日本人」
16:30-17:00 ディスカッション
17:00- 閉会の挨拶: タゴール生誕150年記念会代表 河合 力
総合司会: 神田さやこ・慶應義塾大学経済学部准教授
定員: 240名
参加費: 無料
問合せ: 慶應タゴール会(kanda@a7.keio.jp)
なお、慶應義塾生・教職員以外の方は、お名前・参加人数をご記入の上、tagore150japan@gmail.com(タゴール生誕150年記念会)までお申し込みください。
主催:慶應タゴール会/タゴール生誕150年記念会
共催:慶應義塾大学東アジア研究所/JIPF(日印パートナーシップフォーラム)
後援:インド大使館/公益財団法人 日印協会
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発表者の先生方は私も知っている方が多いのですが、20分の発表なんてもったいなさ過ぎる!という方ばかり。臼田先生、丹羽さん(詩の朗読までオマケ)、外川先生なんていう豪華顔合わせはなかなか実現しないので、興味のある方はぜひいらしてみて下さい。場所も都内で便利ですし。
それから以前の記事にも書きましたが、ドキュメンタリー映画『詩聖タゴール』を撮ったサタジット・レイ監督には、タゴールの小説を映画化した作品もいくつかあります。日本公開された作品では、『チャルラータ』 (1964)と『家と世界』 (1984)がそうです。下にパンフレットの表紙をつけた『チャルラータ』は、正しいベンガル語読みをすると「チャルロタ」なのですが、この映画が公開された1975年にはインド研究者が映画の表記をチェックすることなど考えられもしなかったので、こんな英語訛り(日本語訛り?)の表記タイトルになってしまいました。
でも、この3本は字幕資料とかが残っているはずなので、DVDボックス「サタジット・レイ×タゴール」とかに構成して売り出してくれるといいのになあ。そうすると、タゴール文学の世界が日本語字幕付きの映像で堪能できますね。今回の生誕150年でも、インド大使館の文化担当官の人が「タゴール映画祭」を企画するとか言っていたのですが、その人が転勤になってしまい、お話は立ち消えに。インドもそろそろ、国際交流基金や韓国文化院のインド版でも立ち上げて、文化交流に力とお金を注いでほしいものです。
インドではこのほか、『3人の娘』 (1961/原題:Teen Kanya)がDVD(上の写真)になっています。これは、タゴールの短編3作をそれぞれ映画化してオムニバス映画にしたもので、「郵便局長」「なくした宝石」「終わり」の3作からなります。「終わり」には、これで女優デビューしたアパルナ・セーン(ベンガル語読みオポルノ・シェン)が主演しています。そう言えば、彼女の監督作品で、先日のアジアフォーカス・福岡国際映画祭で上映された『妻は、はるか日本に』 (2010)の反応はどうだったのかしら? 観客の皆さんが「ミヤゲ」さんにのけぞってらっしゃらなかったか心配です。
話がそれましたが、このインド版DVD、嬉しいことに付録が付いています。B6サイズ、28ページの小冊子で、中の解説がベンガル語であるのは残念なものの、たくさんのスチールとサタジット・レイ監督の製作ノート付きのスグレモノ。レイ監督の絵コンテは、以前から研究書などには紹介されていましたが、映画と共に見ると感激もひとしお。デザインの仕事をしていたレイ監督の絵コンテは、スケッチと言っていいぐらいの完成度のものもあります。小冊子の表紙両面を付けておきます。
今回の「慶應義塾とタゴール」では、タゴール・ソングも聞けるようです。タゴールの詩に曲を付けたのがタゴール・ソングですが、タゴールはさらに舞踊の先生に振り付けもさせて、タゴール・ダンスも作ってしまっています。ぢつは....私もずーっと昔、康米那(かん・みな)先生にタゴール・ダンスを習っていたのでした(汗)。タゴール・ダンスは、こんな踊りです。(肖像権の問題があるので、全員後ろ向きの写真になってますがお許しを)
私の人生もちょっぴり彩ってくれたタゴール。出会うと世界が広がりますよ。