香港映画ファンの方なら、「クリストファー・ドイル」と聞いただけでもビビッと反応して下さるでしょうね。彼が撮影を担当した、日本映画『UNDERWATER LOVE-おんなの河童-』が今日から公開されます。まずは、インパクトのある画像からどうぞ。
©2011 国映株式会社/Rapid Eye Movies/インターフィルム
左がお馴染み、巻き毛のクリストファー・ドイル、右は『UNDERWATER LOVE-おんなの河童-』のいまおかしんじ監督です。撮影中のスナップだそうですが、2人とも河童になり切ってますねー。河童が出てくるというだけでも面白そうな映画なのに、さらにこの映画のキャッチコピーは、「世界初!日独合作ピンク・ミュージカル」なんだそうでして。一体どんな作品なのか、大いに気になります。まずは、作品データをどうぞ。
『UNDERWATER LOVE-おんなの河童-』 公式サイト
監督:いまおかしんじ
脚本:いまおかしんじ、守屋文雄
撮影監督:クリストファー・ドイル
主演:正木佐和、梅澤嘉朗、成田愛、吉岡睦雄、守屋文雄
10月下旬~ドイツ6都市他全国順次ロードショー
日本映画には疎い私なので、公式サイト(すぐに予告編が始まるのでご注意下さい)の解説部分をコピペしてご紹介に代えます。
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ピンク映画を中心としたそのフィルモグラフィーに、男女問わず熱狂的なファンを持ついまおかしんじ監督の最新作は、前代未聞の日本×ドイツの合作ピンク映画。しかも日本の誇る偉大なる妖怪「河童」をテーマにしたミュージカル映画である。さらに撮影にはウォン・カーウァイ作品を始めとしたアジア映画からハリウッド映画まで幅広く活躍、日本の映画ファンにもその名前を響かせて来たクリストファー・ドイルを迎え、音楽にはドイツの人気ポップデュオ”ステレオ・トータル”が担当(歌詞はすべて日本語!)。共同脚本に大作『キツツキと雨』(沖田修一監督作品)が控える守屋文雄が参加。本作が本格的な主演映画となる正木佐和がヒロイン・明日香を熱演。そして河童役にはかつて松江哲明監督のドキュメンタリー映画『童貞。をプロデュース』への出演で一躍脚光を浴びた梅澤嘉朗を抜擢。Vシネマなどで活躍中の成田愛、いまおかしんじ作品の常連俳優・吉岡睦雄(『婚前特急』)などが脇を固める。未だかつて誰も観た事の無いエロス×河童×ラブストーリー×ミュージカルのコラボレーション、ここに誕生!
©2011 国映株式会社/Rapid Eye Movies/インターフィルム
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さーて、この変てこりんで面白そうな映画を、クリストファー・ドイルのカメラはどう料理しているのでしょうね。今日から公開が始まるポレポレ東中野では35ミリ・プリントでの上映だそうで、クリストファー・ドイルの腕前の冴えがよりよく楽しめるのではないかと思われます。3連休、ぜひ河童見物にいらして下さい。
でも、インド映画とは関係ないんでしょ、と思っているアナタ、実はこの映画、インド映画ともご縁があるのです、多分。というのは、ドイツ側の製作会社というのが上のコピーライトに出ているラピッド・アイ(Rapid Eye Movies)だと思うのですが、私が知っている同名の会社だとすると、これはもう、インド映画とは関係ありまくりの会社なのです。(10/9追記:ビンゴ!でした)
ドイツでここ数年ボリウッド映画が大人気、というのは私もあちこちでしゃべったり書いたりしていますが、その仕掛け人がこのラピッド・アイ社なんです。それまで日本や韓国等東アジアのインディーズ系作品をドイツに紹介していたこの会社が、何かの機会にボリウッド映画を紹介し始めたところ、それが大当たりした、というわけなんですね。「東アジアのアート・フィルムを紹介し続けて出た赤字を、ボリウッド映画のDVD売り上げで埋めた」という話も洩れ聞こえているほどです。ラピッド・アイ社のインド映画カタログの表紙を付けておきましょう。
これは2008年のカタログですが、ラピッド・アイ社の公式サイトを見ると最新のラインアップがわかります。ドイツ語なので私もよくわからないんですが、「kino」とあるのは映画館で公開、ということかな? だとすると、『ドービー・ガート』 (2011)が公開されてるようです。やっぱりすごいですねー、ドイツ。インド映画先進国です。
あと、日本で2008年に「ボリウッド・ベスト」という特集上映がありましたが、あの時上映された3本『DON 過去を消された男』 (2006)、『たとえ明日が来なくても』 (2003)、『家族の四季 愛すれど遠く離れて』 (2001)も、ラピッド・アイ社が仲立ちしてくれて、パンドラの配給が実現したのでした。ですので、DVD上映された『たとえ明日が来なくても』 と『家族の四季』は、最初映像が日本に到着した時には、歌のシーンにドイツ語字幕が入っていました。幸い下部の黒みの部分だったので、それを消すという画像処理をして上映され、DVD化されたのです。ドイツで発売されるインド映画のDVDは、音声が原語とドイツ語吹き替えが選べるようになっているのですが、歌の部分はすべて原語のままなので、そこだけ字幕が付いているのですね。
もう一つバラしてしまうと、『家族の四季』はドイツ公開時に映画のタイトルもドイツ語のものが付けられています。日本版DVDをお持ちの方は確認してみて下さい、開始から4分10秒ぐらいの所にタイトルが出るのですが、ヒンディー語のローマナイズ「Kabhi Khushi Khabie Gham...(時には喜び、時には悲しみ)」ではなく、「In guten wie in schweren Togen」とドイツ語が出てきます。多分、元の題名の直訳では、と思いますが(違っていたらゴメンナサイ)、こんな風にプリントの中にドイツ語タイトルを焼き込んでしまうぐらい、ドイツではインド映画が儲かっているんですね。うらやましいです~~~。
こんなご縁もある『UNDERWATER LOVE-おんなの河童-』、ラピッド・アイ社応援のためにも、ぜひ劇場に見にいらして下さいね。