アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

『ジャッリカットゥ 牛の怒り』<4>あつまれケーララの森

2021-07-17 | インド映画

『ジャッリカットゥ 牛の怒り』、本日、とうとう水牛が野に放たれました。観客の皆さんの耳目と心に突進したらしく、公式ツイッターには熱いツイートがどんどんアップされています。公式ツイッターでも紹介してあったのですが、昨日の毎日新聞夕刊には、ベテラン勝田記者の「熱く渦巻く人間の本性 ▶ジャッリカットゥ 牛の怒り」と題する映画紹介記事がアップされ、「暑い日には熱い映画を。インド発、超高熱量の怪作だ。」と紹介して下さっています。その言葉にお天気までうなずいたのか、本日は今期最高の暑さになりました。「超高熱量の怪作」をご覧になった皆様、ぜひご感想をこのブログにお寄せ下さい。

それから、映画紹介サイト【BANGER!!!】には、「食欲、性欲、金銭欲......超クレイジーな牛追い地獄! 『ジャッリカットゥ 牛の怒り』は異才監督の異次元映画!!」というタイトルで紹介がアップされています。実はこれ、私が書いた紹介記事なんですが、読んで面白がってくれた編集担当者さんがこんな煽りまくる題を付けて下さいました。「羊頭狗肉」ならぬ「獅子頭水牛肉」ぢゃないのォ、と言わず、上の「紹介」をクリックしてご覧になってみて下さい。

©2019Jallikattu

ところでご覧になった皆様、登場人物の顔の区別は付きましたでしょうか? 昨年のアジアフォーカス・福岡国際映画祭上映時にもそれを心配して、寄せ集めの顔写真でキャラクター紹介を出したんですが、今回もちょっと内容を変えてアップしておきたいと思います。幸い今回は、配給会社さんが主要人物のキャラ画像を用意して下さったので、それにあと少し足して、『ジャッリカットゥ 牛の怒り』に登場するユニークなキャラクターたちの一覧を作ってみました。その前に、映画のデータも再度付けておきますね。

©2019Jallikattu


『ジャッリカットゥ 牛の怒り 公式サイト
 2019年/インド/マラヤーラム語/91分/原題:Jallikattu
 監督:リジョー・ジョーズ・ペッリシェーリ
 出演:アントニ・ヴァルギース、チェンバン・ヴィノード・ジョーズ、サーブモーン・アブドゥサマド、ジャーファル・イドゥッキ、シャーンティ・バーラクリシュナン
 配給:ダゲレオ出版/イメージフォーラム・フィルム・シリーズ
7月17日(土)よりイメージフォーラムにてロードショー上映中

<登場人物紹介&出演者紹介>

カーラン・ヴァルキ Kalan Varkey

©2019Jallikattu

肉屋の店主。ワケありの親に連れられ、村に移住。肉屋だった父親が不慮の死をとげたそのあとを継いで、水牛処理&販売に活躍。女性にも手が早く、村の女たちの噂になっている。妹ソフィとの仲は良好。演じているチェンバン・ヴィノード・ジョーズ(Chemban Vinod Jose)は2010年にリジョー監督の『Nayakan』でデビューした俳優で、リジョー監督作品の常連であり、監督の前作『Ee.Ma.Yau』(2018)や次作『Churuli』(2020)でも主演している。

アントニ Antony

©2019Jallikattu

肉屋の店員。昔は一番下っ端の骨処理要員だったが、現在は店員として肉処理と配達を担当。ヴァルキの妹ソフィに、もう長い間片思いしている。演じているのはアントニ・ヴァルギース(Antony Varghese)で、リジョー監督の『Angamaly Diaries』(2017)の主役でデビュー、いろんな賞の新人俳優賞を総なめにした。その華々しい経歴を引っさげて、本作では主役の1人として堂々の演技を披露。

クッタッチャン Kuttachan

©2019Jallikattu

以前ヴァルキの下で店員として働いており、ソフィといい仲だったが、それを妬いたアントニにチクられ、白檀泥棒と大麻栽培の罪でしばらく刑務所に入っていた。今は近隣の村に居住する鉄砲名人。演じているサーブモーン・アブドゥサマド(Sabumon Abdusamad)は2002年に映画デビュー、以後テレビ番組の司会等もやりながら、2013年以降は映画俳優として活躍。リジョー監督作では『Double Barrel』(2015)に出演しており、本作が2作目となる。

ソフィ Sophie

©2019Jallikattu

ヴァルキの妹。美人だが、尻軽女と評されている。中学校の頃、すでに教師と関係があったという噂あり。アントニの気持ちに気づいていながら、それをもてあそんでいる。演じているシャーンティ・バーラチャンドラン(Santhy Balachandran)はオックスフォード大卒の才媛で、舞台女優として活躍。2017年に映画デビューし、本作は3作目となる。

クリアッチャン Kuriachan

(モニター画面より)

ゴム農園主で、村の富裕層の1人だが、洒落者で大酒飲み。妻と10代の娘がいる。演じているのは、コメディアンやものまね俳優としても有名なジャーファル・イドゥッキ(Jaffar Idukki)。2005年以降多くの作品に出演しており、日本で映画祭上映された『アブ、アダムの息子』(2011)では、主人公夫婦が証明写真を撮りに行く写真店のおしゃべりな店主として出演している。

シャング Shangu

©2019Jallikattu

村の若者の代表格その1。赤シャツが目印。スケベ男で、初登場した早朝のボヤのシーンでは、他人の家のバスルームを屋根から覗いている格好で出現。ガタイがいい割りにはやることは子供っぽく、商店の軒先に下がっていたスナックの小袋をくすね、勝手に食べたりする。演じているのはサントーシュ・ピーター(Santhosh Peter)。経歴が不明のため、エキストラかも知れない。

サニ Sunny

(モニター画面より)

村の若者の代表格その2。早朝の野グソからバイクで戻ってきたところをシャングにつかまり、水牛捜索隊に参加。頭は切れるようで、クッタッチャン招へい案にも関わったり、のちには警部補と言い合いをしたりする。細長い顔と横シマのポロシャツが目印。演じているのはプラシャーント(Prasanth)。こちらもエキストラかも。

ポール Paul

(モニター画面より)

信心深いキリスト教徒で、牛の尿の効用を信じている頑固な老人。畑を荒らされ、警部補の所に訴えに行ったものの相手にされず、地方長官に訴えるためわざわざバスに乗って町へと出かけて行く。演じているのはジョージ・クッティ(George Kutty)。

オーマナ Omana

(モニター画面より)

村で一番やり手の女性、という感じで、鶏を飼い、村人に売っているほか、近所の女性たちとタピオカを大鍋で茹でたりするのも何か商売のため? ファッションが面白く、村に戻ったクッタッチャンが親しげに呼びかけるなど、姉御的存在のよう。演じているのはソニヤ・ジョセフ(Soniya Joseph)で、こちらもエキストラか。ただ、エキストラと言ってもどの人もお芝居が上手で、それぞれに味があるため、地元の劇団で活躍、というような、演技経験のある人ではと思われる。

(俺の紹介は? と不満げな水牛クン↓)

©2019Jallikattu

写真の悪いのがあってすみません。画面で登場した時に、おお、この人か、とわかる程度ですが、ご参照下さい。以上のような皆さんがケーララの森に集まって、あれやらこれやら騒動を繰り広げるわけですが、ストーリーなどは最後にはどうでもよくなりますので、映画のエネルギーに身を委ね、水牛の疾走に伴走しながら映画を楽しんでいただければと思います。そうそう、先日「公開直前配信第1弾」の水牛カレー編をご紹介しましたが、第2弾、第3弾がアップされています。貼り付けておきますので、お楽しみ下さい。

7/17(土)公開!『ジャッリカットゥ 牛の怒り』公開直前配信 第2弾:「日本一牛に詳しい(?)映画監督・村上賢司と牛三昧トーク」

 

7/17(土)公開!『ジャッリカットゥ 牛の怒り』公開直前配信 第3弾:「知られざる南インド・サブカルチャー:映画とポップ・ミュージック」

 


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2 コメント

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Unknown (Neko)
2021-07-20 23:54:13
動画の安宅さん全然マラヤーラム語映画の現状全然知らないのでは。OTTでコロナ以降は全世界に注目されているし、2次製作じゃなくてヒットしている映画もたくさんあります。アップデートされてない感じであまりに違和感が多すぎたので、投稿しました。タミル映画とかボリウッドとかの中身のない映画よりも骨のある意味のある映画多くてマラヤーラム語映画は今のインド映画で最も素晴らしい。

ジャッリカットゥよりも野性感溢れるやばいマラヤーラム語映画があります。トヴィノ・トーマス主演のKala。
返信する
Neko様 (cinetama)
2021-07-21 12:20:58
コメント、ありがとうございました。

安宅さんはマラヤーラム語映画もよく見ていて、現在の状況への理解ももちろんあると思いますよ。
私もいつもいろいろ教えてもらっているのですが、今回の配信ではNekoさんにそれが十分伝わらなかった、というわけですね。

Nekoさんのおっしゃった『Kala』、予告編を早速見てみました。
https://www.youtube.com/watch?v=9b9MovPPewk
トヴィノ・トーマスは『ウィルス』(2019)の地方長官役が印象に残っていますが、全然違う感じですね。
この予告編では、『ジャッリカットゥ 牛の怒り』に似た編集や音響処理が見られますが、このローヒト・V.S.監督、調べてみると以前の2作から作風が変わったような...(予告編しか見ていないので、違っていたらゴメンナサイ)。
確かにおっしゃるとおり、今のマラヤーラム語映画界は、私の大好きな『Kumbalangi Nights』のマドゥ・C・ナーラーヤナン監督ら、若手監督が競うように輩出していて、とってもいい感じです。
『ジャッリカットゥ』のリジョー監督は彼らの兄貴分という感じかな、と思うのですが、Nekoさんが最先端マラヤーラム語映画にお詳しいのなら、もし、どこかに書いていらっしゃるブログとかがあったらぜひご紹介下さい。

OTTはインドのもご覧になっているのですか?
そういうワザを高倉嘉男さんが「新たなるインド映画の世界」にも書いてくれているのですが、実行に移すとなるとハードルが高いです...。
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