アジア映画巡礼

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王大陸クンの『鮫珠傳』が楽しい!+α

2017-08-22 | 中国映画

久しぶりに、九龍塘(ガゥロントン)のショッピングモール又一城(Festival Walk)に行きました。ここは割と早くに出来た新型ショッピングモール(真ん中が吹き抜けになっていて、買い物もできれば食事もでき、映画も見られる、という形のもの)で、今調べてみると1998年の秋に開業していました。今はこういうショッピングモールが大きな駅毎にできていて、地元の人がそれまで各地区の平面で行っていた、街市での買い物、地元の茶樓等での飲茶や食事、そして地元の映画館での映画鑑賞を一つのビルの中で済ますことができてしまいます。こういうショッピングモールにはスケート場を設けているところも多く、又一城のスケート場も賑わっていました。昔はアイススケートだったような憶えがあるのですが、今はローラースケートになっていました。

そのスケート場の近くにFestival Grand Cinemaがあり、見たい作品を2本やっていたので、ここでハシゴすることにした次第です。チケット売り場の前では、インド映画『Dangal(レスリング)』(2016)の予告編が流れていました。中国での大・大ヒットを受けて、香港でも24日から公開されるようです。予告編に続き、メイキング映像も流す力の入れようで、香港でもヒットが期待されているようです。


私が見たい作品は、『私の少女時代』の王大陸(ダレン・ワン)が主演している時代劇ファンタジー『鮫珠傳(英語題:Legend of the Naga Pearls)』と、中国国策映画『建軍大業(英語題:The Founding of an Army)』でした。後者は全然期待していないのですが、ダレン・ワンの『鮫珠傳』はポスターの笑顔がとっても素敵なので、期待度マックスで見に行きました。それにしても、「鮫」って「ナーガ」のことなの? 「ナーガ」はどっちかというと蛇ですが...。

この作品、ファンタジー度がすごく高くて、CGがアニメのように駆使されて背景が描かれていました。それと、人間とは別に羽族/羽人という種族が出て来るため、今シリーズで人気を呼んでいる日本の小説、阿部智里の「八咫烏シリーズ」を連想させてくれました。ひょっとして、中国語にも訳されていて、その影響を受けたとかかしら? あと、ダレン・ワン演じる若者の相棒でアルマジロが出てくるのですが、その感じが『モンスター・ハント』(2015)のウーバそっくりで、それも楽しい要素の一つでした。上のポスターでも大きな顔をしていますね。ポスターの上部で横顔を見せているのが任達華(サイモン・ヤム)で、ものすごいメーキャップだったため、最期まで彼とはわかりませんでした。エンドロールのキャスト表で、初めてわかった次第です。(ヤムさん、スミマセン)

最初アニメで、「人間と羽人は以前は仲良く暮らしていたが...」と過去のいきさつが説明されます。その後、泥空空(ニィ・コンコン)の子供時代のエピソードが描かれたあと、成長した泥空空(ダレン・ワン)が登場。彼は凄腕の泥棒になっていて、お供にはいつもアルマジロのオーカが従っていました。郡王の所で珍しい品々が展示される、というので盗みに入った泥空空でしたが、そこに羽人の戦士たちも姿を現し、郡王の屋敷にいた人々を皆殺しにします。明くる日捜査に来た宮廷護衛隊の隊長は、勝手に動こうとする女性隊員黒羽(張天愛/クリスタル・チャン)を叱りますが、実は彼女は羽人で、殺人者たちである羽人の中には、黒羽の兄もいたのでした。羽人たちは首領雪烈(サイモン・ヤム)の指示で、人間たちを殲滅するために鮫珠を捜しており、それは泥空空が一歩先んじて手に入れていました。その後、泥空空と黒羽が知り合い、それに護衛隊の陽気な若者蛤蜊(盛冠森)も加わって、雪烈の本拠へと乗り込んで行くことになります...。


細かいツッコミどころは多々あるのですが、大活躍を見せるダレン・ワンや、人間の姿から羽人になって飛ぶ美しいクリスタル・チャンを見ているだけで物語に引き込まれ、こちらも体が浮かぶような感覚を味わえます。日本で「八咫烏シリーズ」を実写で映画化する時は、ぜひ参考にして下さい。また、出会いは最悪というのがヒーローとヒロインのお約束なのですが、後半、ここにちょっとヘンテコリンな若者蛤蜊が加わってバランスが実によく、蛤蜊を巡るお笑いシーンもなかなかの「搞笑(お笑い)」ぶりで、とっても面白かったです。でも香港ではあまりウケてないみたいなのですが、なぜでしょう? 予告編はこちらです。日本の配給会社様、お買いになりませんか?

《鮫珠傳》先導預告


Jian jun da ye.jpg

もう1本の作品『建軍大業』は、『建国大業』(2009)、『建党偉業』(2011)に続く三部作の第三作目で、中国の人民解放軍の記念日8月1日に合わせて公開されたようです。1927年の南昌蜂起(中国語では「南昌起義」)と、それに先立つ上海クーデターを描いており、『建党偉業』と同じく劉[火華](リウ・イエ)が毛沢東を演じているほかは、周恩来、朱徳らは前の作品よりもさらにそっくりな人が選ばれていて、それだけに有名な俳優はあまり出ていません。ゲスト出演の扱いで出て来た、杜月笙の張涵予(チャン・ハンユー)、周恩来が香港で療養する時に世話係として姿を現す周冬雨(チョウ・ドンユィ)ぐらいが有名俳優で、あとは若手俳優が何人か、例えば蒋介石夫人の宋美齢を演じた張天愛や、鄧小平を演じた董子健(ドン・スージェン)、蜂起の中心若手となる葉挺役の欧豪(オー・オウ)らが顔を知っている人たちでした。

ただ、驚いたことに監督が、『インファナル・アフェア』の劉偉強(アンドリュー・ラウ)なのです。何だかやけくそみたいに爆破シーンが派手で、しかも何度も登場するため、中国では「革命の歴史を娯楽にしてしまった」と批判も出ているようです。こんな国策映画、作らなければよかったのにね、アンドリュー・ラウ監督。予告編を付けておきます。

《建軍大業》先導預告



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