アジア映画巡礼

アジア映画にのめり込んでン十年、まだまだ熱くアジア映画を語ります

久しぶりのデリー<3日目>”映画館”を見に行きました

2024-02-28 | インド映画

デリーで見たい映画がなくなり、他の映画は高い料金のデリーで見るより安いチェンナイで見ようと、早々に映画鑑賞は予定からドロップアウト。今日は、どうしても行きたかった映画館アンバー(Amba)に行ってきました。前にも書いたように、1975年12月末から1976年1月初めにかけてデリーには2週間滞在し、その間に6本の映画を見たのですが、その中で一番印象に残っているのがアンバーで見た『炎』(1975)です。アンバーはオールドデリーのカシミーリーゲートよりもまだ北にあるので、その後にデリーに来た時もなかなか再訪できなかったのでした。今回、カシミーリーゲートで降りて駅前でオートをつかまえようとしたら、「アンバー・シネマ? 350ルピー」と言われ「ウソでしょ!」と叫んでしまいました。地図で見ると、この距離なら100ルピー行くか行かないかだな、と見当を付けていたのです。昨日の友人のドライバーさんが元オートの運転手、ということで、初乗り料金は31ルピーと教えてもらったのですが、さすが首都、ムンバイの初乗り23ルピーよりもだいぶ高いのね、ということから、それぐらいかな、と思っていたため、350ルピーなんてお呼びじゃない! となったのでした。

毎回思うのですが、インドではいつも新種の乗り物が誕生していて、感心します。今回は、こんな4シーターの乗り物が登場していました。運転手さんに聞いたら「E-リキシャ」と言うんだそうで、「オート」が「E-」になったのね、と面白かったです。それで近寄ってきたE-リキシャの運手守さんに「アンバー・シネマ」というと「150ルピー」と言うではありませんか。「よし、乗った!」と内心ではガッツポーズしながら、顔は「えー、高いなあ、でもまあいいや、乗るわ」という風情にして、この4シーターに一人でのりました。面白いのは、この車、4人分の吊り革がついていることで、下写真のように掴んでいる人も多いですが、座席3人がけとかやる場合のセイフティバンドでもあるのでは、と思います。このE-リキシャはまさにライド・シェアで、同じ方向に行く人が乗り、どういう料金設定にしてるのかはわかりませんが、次々と客を降ろしていくようです。

この時はちょうど昼頃で、道は大渋滞。乗用車にバス、オート・リキシャ(最近はタイの真似でトゥクトゥクと呼ばれる)という黄色と緑のミゼット型タクシー、さらに人力車も走ります。大渋滞の道を長時間かかって抜けてくれたのですが、まともに走れるようになると今度は道が悪くて、座席から飛び上がる状態になることもしばしば。いやー、大変だわ~、オールドデリー。

すごい道に揺られながら、やっとメトロのプルバンガシュ駅までやってきましたが、その先に昔あった映画館パレスは取り壊しの真っ最中でした。地下鉄工事の一環のようでもありますが、敷地が広いので将来はショッピングモールにでも生まれ変わるのでしょう。

そうしてやっと着いたのが、アンバー・シネマ。運転手さんも道を知らないようで、上記のポイントを通ったあとは、いろんな人に「アンバー・シネマは?」と聞き回って連れて行ってくれました。これは、ひょっとしてアンバーももう閉まっているのかしら?

ありました! 昔見た時の記憶はなかったのですが、本や記事などで見るアンバー・シネマそのものです。しかも、しっかり現役で、この時も聞いてみると『Article 370(370条)』が上映中。

1日4回の上映も、しっかりあるみたいね、と嬉しかったです。窓口にいた人に聞いてみると、「12時半から始まったばかりだから見ていけば?」と言われ、大いに心が動いたのですが、上映中の『Article 370』は結構シリアスな映画みたいなので、頭から見ないと楽しめないかも知れない、と思ってやめました。バルコニーで見てみたかったなあ。

この窓の人はヒマーンシュさんといい、こんな形で写真も撮らせてもらったのですが、「50年前にここで『炎』を見たのよ」と言っても「ふーん」という感じ。うう、おばさんの思い出に付き合ってくれる人がいない(泣)。

外に出ると門番さんと常連客らしい若者がいて、こちらもお名前を聞いてみました。下写真の左はディパーンシュさん、右はプラカーシュチャンドラさんで、プラカーシュチャンドラさんは50がらみだったことから、「勤めて何年ですか?」と聞いたら「7ヶ月か8ヶ月」というこれまた全然ドラマが出てきそうにない新参の方でした。

その辺りを歩き回ってみると、セメントと漆喰を売っているお店が並んでいたり、小型ペットボトル飲料の問屋さんがずらっとあったり、オールドでリーはやはり面白いです。そんな中、店頭にDVDみたいなものを飾っている店を発見。お店の名前も「ナルーラー・カセット」というカセットテープ屋さんのようです。

行ってみると、電気コードなどを売っているかたわら、DVDやCDというかMP3の音楽ソフトを売っているお店でした。店番していたのはなかなかイケメンのティルタク・ナルーラー君。「DVDは最近は全く出回らないよ。このCDみたいなMP3には、新しい映画の曲も入っているけどね。うん、みんな元のオリジナルの曲だよ」と教えてくれ、ものは試しに149ルピーの1枚買ってみました。さて、日本の機械でかかるかな?

このあとはメトロの駅までオートで運んでもらい、同じ路線のスバーシュ・ナガルにあるショッピングモールに行ってみました。オールドデリーのショッピングモールはどんな感じかな、と思ったのですが、細長い土地にほそながーく立っているパシフィック・モールはこぢんまりしているものの、地元の人たちの憩いの場になっているようでした。地下がフードコートで、いろんなお店が入っています。若いカップルが目に付くモールでしたが、皆さんとても感じがよく、見ていて飽きませんでした。で、フードコートで昼食を食べたのかって?

いえいえ、実はスバーシュ・ナガル駅で、立ち食いのモモを食べたのです。モモはチベット風餃子で、すっかりスナックとしてインドで定着しました。結構なボリュームのあるモモが8個乗っていて、チリーソースを付けてくれ、これで50ルピー。街角の屋台や、映画館の中のスナックコーナーでもよく見かけます。お味はいまいち、いまに、でしたが、これにイチゴ牛乳ドリンク40ルピーでお昼は十分。モールで食べると高いので、地下鉄の通路にあるこういうところで食べてしまった次第です。

モールではマンゴーアイスを食べたのですが、あまりマンゴー風味がしなかったものの、コーンがおいしいクッキー風で、こちらも満足。お値段は112ルピーでした。というわけで、映画館を見る小旅行は終わり。1975/76年にデリーで映画を見た映画館は、前述のアンバー、『Geet Gata Chal(歌、歌いつつ)』を見たゴールチャー、『Khamoshi(沈黙)』を見たオデオン、それから『Haathi Mere Saathi(象は僕の友達)』を見たグリーンパークのカマル、あと見た作品は忘れましたがセクター8のサンガムという劇場(今はシネコンになったらしい)ともう1軒、ほとんどの劇場が姿を消した中で、アンバーはよくぞ生き残ってくれたものよ、と思います。これら劇場のいろんなエピソードもいつか本に書きたいので、それでアンバーの写真を撮りに来たのですが、無事ミッション完了。明日は最後のミッションに臨みます。

 


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