もと「旅行人」編集長、蔵前仁一さんのコレクションの展覧会「インド先住民アートの世界 Art of Adivasi 旅行作家 蔵前仁一コレクション」が開催されます。蔵前さんのトークもあります。
「Adivasi/アーディヴァーシー」は「アーディ(始め、初めの)」と「ヴァーシー(住む人、住民)」から成る言葉で、「先住民」という意味になります。インドには「アーディヴァーシー」と呼ばれる人々が飛び地のような形で各地に居住しており、彼らはドラヴィダ系民族やインド・アーリア系民族がインド亜大陸に来る前から住んでいたと考えられています。これらの人々の多くは、行政側から「指定トライブ(指定部族)」と呼ばれているカテゴリーに属しており、農村部や山間部に居住しています。生活は貧しいのですが、独自の言語や文化を持ち、独特の芸術活動が注目されて、絵画やパフォーミング・アート等の芸術家として知られる人々も出てきました。
たとえば、インド西部のマハーラーシュトラ州とグジャラート州の州境あたりに居住するワールリーの人々は、ワールリー画と呼ばれる独特の線描画を描きます。下は、手元にあるワールリー画のカードです。カードの紙質がでこぼこしているせいか、色があまりよくなくてすみません。今回の展覧会には、ワールリー画は含まれていないようです。
蔵前仁一さんは雑誌「旅行人」でもアーディヴァーシーの芸術を何度か取り上げており、今回の展覧会はそのオリジナルを見ることができる貴重な機会です。展覧会の詳細は次の通りで、今回展示される作品の一部は、旅行・映画ライター前原利行さん(お知らせ、ありがとうごさいました)のブログ、それから蔵前仁一さんのブログで見ることができます。
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インド亜大陸に古くから住む先住民アディヴァシー。
ヒンドゥー教が広まる以前の文化を今も保つ彼らの絵画、工芸品は、原初的な力とカラフルな色彩に溢れています。
旅行作家であり、旅行雑誌「旅行人」の元編集長、蔵前仁一がインド奥地をまわって収集したアディヴァシー・アートの一端をご紹介します。
日本では滅多にない機会です。ぜひご来場下さい。
今回の展示は、蔵前仁一が長年インドを旅して各地で収集してきた先住民アートの一端である、ミティラー画、ピトラ画、ゴンド画など、日本ではほとんど知られていない絵画、工芸品などをご紹介します。
■日時:2012年11月20日(火)~25日(日)11:00am~7:00pm
毎週月曜日休館(※25日は16:00に展示終了)
※蔵前仁一さんは20日、23日、24日、25日午後から在廊の予定です
■会場:神楽坂・光鱗亭ギャラリー
〒162-0805 東京都新宿区矢来町41
TEL・FAX 03-6265-0630
http://www.kagurazaka-kourintei.com
■交通:東京メトロ・東西線 神楽坂駅下車 2番出口より徒歩3分
都営地下鉄・大江戸線 牛込神楽坂下車 A1出口より徒歩10分
蔵前仁一トーク&スライドショー
■11月23日(金)&11月25日(日)
蔵前仁一「インド先住民アートを求めて」
開場:16:40/開演:17:00~18:30
尚、両日ともには会場準備のためギャラリーは16:00に閉館いたします。
展示のみをご覧のお客様はご理解の程よろしくお願いします。
又イベントの内容は両日ともに同じですのでご了承ください。
定員: 各日30名 予約制
お名前と人数、ご希望の日にちを銘記の上、メールでお申し込み下さい。
mail: info@kagurazaka-kourintei.com
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私は残念ながら東京フィルメックスと重なってしまい、蔵前さんのトーク・イベントには行けないのですが、蔵前ファンの方はぜひいらしてみて下さいね。「ゴーゴー・インド」(凱風社、1986)から「わけいってもわけいってもインド」(旅行人、2009)までのたくさんの著作からもわかるように、お話の上手な面白い方です。著作に付いている似顔絵とは違い、すらっと背の高い方ですので、お楽しみに~。
わけいっても、わけいっても、インド | |
蔵前 仁一 | |
旅行人 |
ところで、松岡さんの記事を見て気がつきましたが、うっかりワルリー画のことを書くのを忘れていました。実はワルリー画も数点あります。ワルリー画、ピトラ画、ゴンド画、ミティラー画、それにM.P.のソーナバーイさんの家(写真)、サンタル・ポトゥア、真鍮工芸品などです。他にもあるんですが、なんと呼べばいいのか私もよくわかりません。そもそも先住民のアートじゃないものも含まれているし(ミティラー画やソーナバーイさんの絵は先住民アートじゃないです)、いろいろありますので、ご興味のある方はぜひおいで下さい。よろしくお願いします。
それはさておき、ワールリー画も今回入っているのですか。失礼しました。かなり広範囲に収集してらっしゃるのですね。さすが編集長!
おっしゃるとおり、ミティラー画(マドゥバーニー画)は先住民アートには含まれませんね。というわけで、図版を出す時ミティラー画はまずいな、と思ってワールリー画にしたのでした。
インドではこういった作品を見るためには、それぞれの土地を訪ねるしかないので、それが一堂に会しているのはとても貴重な機会だと思います。私も拝見にだけは行きたいので、ちょこっと寄せていただくかも知れません。20日午後はギャラリーにいらっしゃるんですよね....。
ところで、またまたうっかりして、この展覧会のためのイメージ画像を、ミティラー画にしてしまった。いちばん好きな絵だったので、ついうっかり。「インドの民俗アート展」というタイトルにすればよかった。こういうことは現場で断り書きを出すことにします。
南京虐殺問題の方のことは存じてます。まったく同姓同名で紛らわしいことですが、アジア映画の松岡さんでないことは自明だったので、とくに迷いませんでした。
この部分
「Adivasi/アーディヴァーシー」は「アーディ(始め、初めの)」と「ヴァーシー(住む人、住民)」から成る言葉で、「先住民」という意味
を、パネルの文章に引用させていただけますか。よろしくお願いします。
私が心配しているのは、同姓同名の方と間違われて、右翼などから間接的な脅しのようなものが来ることでして、事実、以前その手の郵便物(複数)が届いたことがあるのです。というわけで、万が一にもこのブログにヒットしたりしないよう、本名を一切使わない、ということにしているのでした。まあ、姓だけなら大丈夫とは思いますが、ぜひトラブル用心にご協力下さいませ。
「アーディヴァーシー」の説明は、インド関係者ならみんな知っていることですので、ご遠慮なくお使い下さい。今、鋭意パネルを制作中、でいらっしゃるのですね。ご苦労様です~。拝見できるのを楽しみにしています。
最初にコメントいただいた時にメールでのご連絡も考えたのですが、メールアドレスがわからず断念。今度お目に掛かった時、教えて下さいませ~。
20日は午後5時頃うかがえると思います。これを見てらっしゃる方、どなたかご一緒にいらっしゃいませんか? わいわい見る方が楽しそうな展覧会、という予感が....。