アジア映画巡礼

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TIFF Day 9:昨日の続き『So Young』ヴィッキー・チャオQ&A

2013-10-25 | 映画祭

本日でTIFFも終わり。今、ライブの授賞式を見ながら、このブログを書いています。でも、とても楽しい授賞式なので、ついこちらの記事がおろそかになりがち。あとでも映像が見られると思いますので、ぜひご覧になってみて下さいね。授賞結果は昨日の記事の最後に付けてあります。

さて、それで、趙薇(ヴィッキー・チャオ)の『So Young』のQ&Aです。黒いドレスで登場したヴィッキー、やはりとても華やかで、目を奪われます。通訳は、水野衛子さんでした。

石坂プログラミング・ディレクター(以下、石坂):まず、観客の皆さんにご挨拶を。

ヴィッキー・チャオ(以下、ヴィッキー):皆さん、私の初監督作品を見に来て下さってありがとう。

石坂:どうしてまた監督を?

ヴィッキー:以前から、まだやったことのないことをしてみたいと思ってました。女優だけじゃなくて、一度監督をしてみたいと思っていたんです。

石坂:監督してみて、俳優と違っていた部分は何でした?

ヴィッキー:どちらも疲れる仕事だわ、と思いました(笑)。でも、監督は病みつきになる仕事だな、とも思いました。世界の見方とかが関わってきますからね。この『So Young』についても、未だに、これでよかったのかな、とつい考えてしまいます。

石坂:この作品は、北京電影学院の卒業制作として作られたとか。ということは、審査員である先生方が点数もつけたわけですね。

ヴィッキー:先生たちはすごいですよ。だって、見てもらったのは、オリジナルの4時間あった素材なんですから。点数は99点をいただきました。学生の卒業制作でこういう作品を作ったのは初めて、という意味で下さったんだと思います。

石坂:中国でのヒットの理由は何だと思いますか?

ヴィッキー:私が初めて監督した作品だ、ということから、見に行ってやろうと皆さんが思われたのでしょう。あと、今は若い人たちの関心は経済的な面にばかり向いていて、青春をムダなことに費やしたりしていられない、という感じです。生活のために奮闘努力する、という方向にしか関心がない若い人は、この映画を見て、学生時代にこんな風な恋愛をしておけばよかった、とか思ったりしたんじゃないでしょうか。

Q(大ファンだという女性):前半と後半が全然違っていて、後半は青春はもう終わってしまった、という感じになっています。工夫した点とかがありましたら教えて下さい。

ヴィッキー:前半と後半が違っているのは、今の私の年齢のせいですね。10年あとに撮っていたら、前半と後半はもっと近づいていたのでは、と思います。私は分裂的な性格なので、ドラマチックなものを好みます。それで、今回は前半と後半をガラッと変えて撮っています。前半は1990年代の初めという設定ですが、今の中国では90年代の雰囲気を残している所がもう少なくなっていて、大学のキャンパスのシーンも4つの大学を転々としながら撮りました。だからとても時間がかかりました。撮らせてもらった大学の先生方からは、「うちの大学にはもっときれいな所があるのに、もう壊してしまおうと思っている所でばかり撮影するんだね」と言われました(笑)。

Q:以前、日本であったイベントで、監督をしたいと言ってらしたことがありましたね。

ヴィッキー:え? あなたは私の夢の目撃者ですね。心の中で密かにそう思っていたつもりだったんですが、皆さんの前でしゃべっていたとは。しかも、日本に来てまでそう言っていたなんて。

Q:女性のキャラクターがたくさん出てきましたが、ヴィッキーさんを何人かに分散させたという感じでしょうか?

ヴィッキー:今回この作品を撮ってみて、自分は真面目な女優ではなかった、ということがわかりました。今回は何度も何度も脚本を繰り返し読んでみたんですが、そうするとそれぞれのキャラクターが自分の中で活きてくるんですね。ですので、俳優たちにもいろいろアドバイスしました。特に、主人公の女の子たちを演じる4人のうち、3人は歌手ですし、しかも1人は演技も初めてなので、あれこれ言いました。

Q:次作の予定は?

ヴィッキー:次はまた女優に戻ります。香港で、關錦鵬(スタンリー・クワン)監督の映画に出る予定です。スタンリー・クワン監督は、『So Young』のプロデューサーもやってくれています。それは、次の作品で私を使うので、もっとよく私を知るために引き受けてくれたのです。私の監督作品としての次作は、青春ものではありません。青春ものはもうこれで十分です。2作目は、もう少しアート寄りになると思います。

ここで石坂さんが、「中国からいらした人は?」と質問し、2割ほどの人の手があがったため「やっぱり多いですね」と言ったところ、「少ないですよ、あ、ジョーダン、ジョーダン」と笑わせてくれるヴィッキー。

Q(中国人女性で「アイシテル」と言ったあと):ヒロインの経験は、あなた自身の経験ですか?

ヴィッキー:(質問が中国語だったので、質問を聞きながら)ノー、ノー! 違います。少しぐらいは入っているかも知れませんが。

Q:どれぐらい自分がやりたかったことを表現できましたか? 他の人の意見とかも参考にしたのでしょうか?

ヴィッキー:実際には、そんなにたくさんの方の意見は聞きませんでした。撮った映像を見せて誰かの意見を聞く、ということもあまりしませんでした。一番よく意見を聞いたのは、脚本家の李檣(リー・チアン)とスタンリー・クワン監督でした。リー・チアンも長いつきあいの友人なので、この2人が私を支持してくれて、意見をいろいろ言ってくれたことが自信につながりました。ですのでこの作品は、1970年代生まれの監督と、60年代生まれの脚本家と、50年代生まれのプロデューサーが作った作品と言えますね。

と、ここで花束贈呈が。ファンの方でしょうか。ヴィッキーは壇上にいるのが3人なので、「花束、3人にありますよね?」と細やかな心遣いを見せます。いい人ですね~。

まだまだ質問の手が上がっていたのですが、「最後に観客の皆さんにメッセージを」と石坂さんが促します。

ヴィッキー:海外の観客と対話ができるとは思っていなかったので、今日はとても嬉しいです。TIFFのお陰です。自分が出演した作品が上映されるよりずっと嬉しかったです。アリガト!

あとはフォト・セッションとなりました。

会場から出たあとも、大勢のファンに取り囲まれていたヴィッキー・チャオ。こういうスターと会えるのも、映画祭の醍醐味ですよね。今年はたくさんのゲストが来てくれて、盛り上がった映画祭でした。

 


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