まず、南阿蘇鉄道のMT-4000形を目標に、熊本発6時15分の豊肥本線肥後大津行に乗って、西の方へと向かう。肥後大津着6時52分、7時00分の立野行に乗り換える。肥後大津から先は交通系ICカードのエリア外なので、改札を抜けて、券売機できっぷを買った。
熊本から1時間近くかかって、立野には7時14分に到着した。以前の立野駅は、構内踏切の先に小屋のようなJRの駅舎があり、そこから階段を上がることで駅前広場へ、その先に1階は土産物屋、2階は展望施設となっている六角屋根の建物があり、階段からの通路から直接2階に上がることができた。JRホームは復旧工事の際に120mから91mに短縮、駅舎も復旧前の2020年3月に取り壊された。また、ほぼ同時期に南阿蘇鉄道のホーム上駅舎も壊された。今年3月末に建てられた橋上駅舎は、県産のスギをふんだんに使った黒い屋根のログハウス風の駅舎となった。2階コンコースはベンチが4脚置かれ、それに面して待合室も整備されている。2階コンコースは、駅前広場より階段10段分高いため、長いスロープも整備され、その上屋はタクシーや送迎車のりばの上屋も兼ねている。1階はJRと南阿蘇鉄道の乗り換えコンコースで、南阿蘇鉄道ホームには小さな事務室が置かれた。
立野発7時20分の南阿蘇鉄道高森行は、JR直通でもないのにMT-4001が充当されていた。MT-4000形は今年4月に営業運転開始、7月の全線復旧に先駆ける形でのデビューとなった。外観は白に、細い青と緑の帯、内装はロングシートで、壁や天井は木目調となっている。前面は貫通、2両運用時は互いの車両の行き来が可能となる。前面の行先表示器はフルカラーLEDとなり、肥後大津行はJRのマークが付く。JR直通運用は1運用でやり繰りできるが2両あるので、この列車のように立野折り返しの運用に就くこともある。
立野を出ると、すぐにダム工事の現場が、さらにしばらく走ると第一白川橋梁を渡る。第一白川橋梁は川底との距離が約60mと、九州一の高さを持つ橋梁だ。2016年の熊本地震で、落ちるまではならなかったが、橋台と橋脚の間の部材が破損するなどして、上部工のみ建て替えられることになった。工事は地震から5年経った2021年から、2か月半かけて解体、翌2022年1月から夏にかけて新しい橋を架けて、今年2月に線路をつなげた。旧橋梁の設備を再利用しながら、新しい技術で橋を架けたため、工期の短縮が可能となった。
立野を出たころは、靄がかかっていて、進行方向右手に神秘的な景色を見ることができた。しばらく走ると、阿蘇の山々を朝日が照らす様子を左側に見ることができた。
見晴台駅は、午後の紅茶のCMに使われた結果、午後の紅茶のみの自動販売機が置かれれるようになった。立野から33分、終点の高森に7時53分に到着した。
高森は、今年7月の全線復旧に先駆け、GWに合わせて新駅舎の供用を開始した。新駅舎は旧駅舎の50mほど立野寄りの駐車場跡地に新設した。フランキー像は旧駅舎では立野寄りとなっていたが、新駅舎では終点の末端となっている。新駅舎は木造2階立て、木材はヒノキなどの地元のものを使用、木材同士が互いを支えあう相持ち工法を用いて、コンコースの天井は高くなっている。待合室はイスが並んでおり、机にはコンセントも付いている。土足厳禁の手目的スペースには高橋留美子先生や、青山剛昌先生など有名漫画家のイラスト入り色紙、ONE PIECEルフィ役の田中真弓さんのサインと寄贈したONE PIECEのコミックが置いてあった。駅前にはバス乗り場、駅舎の立野寄りに駐車場と小さいロータリーがある。旧駅舎は新駅舎の供用後に解体され、今は仮囲いに囲まれている。駅舎のあった場所に隣接して交流棟の工事をおこなっている。交流棟の方も駅舎扱いなのか、新駅舎と同じようなロータリーが整備される。来年の今頃には完成するから、再訪したいところだ。
ホーム横の留置線にはONE PIECEとのコラボ列車である『サニー号トレイン』が停車していた。『サニー号トレイン』は祝日でない月火水のみ運休、3往復の運転で高森発9時10分と立野発12時07分は単独運転だが、それ以外2往復は定期列車への連結となる。月火水は、立野発9時44分のJR直通が出ると12時42分まで列車がないが、木金土日はその間に11時40分の臨時列車と、12時07分の『サニー号トレイン』が加わることになる。熊本方面からの接続を見ると、臨時列車は『やませみ・かわせみ』から、『サニー号トレイン』は定期の普通列車からとなっている。『サニー号トレイン』来年夏までの期間限定なので、乗ることはないだろう。
乗ってきたMT-4001は既存駅舎のあった車庫の方へ一旦引き上げて、ホーム手前の留置線に入線した。8時18分に肥後大津からのMT-4002が入線してきた。行きに豊肥本線の瀬田で交換した車両だ。7分で折り返し8時25分JR肥後大津行となった。MT4000形は2両あるので両方とも乗った形だ。行きは観光案内の放送はあったが、帰りはなかった。立野に着く前で14人乗っていたが、5人降りて4人乗った。立野で降りる人もいれば、9時13分の宮地行に乗り換える人もいるのだろう。
肥後大津着9時09分、27分の熊本行に乗り換える。肥後大津発車時点で席のほとんどが埋まっていたが、武蔵塚でさらに学生が乗り込み、つり革の半分以上が埋まる。普段は学生のいない時間だけど、冬休みの部活があるのだろう。
新水前寺着9時56分、市電への乗り換えるには便利な駅だけど、乗り換えるの市電でなく高速バス、駅から市電通り沿いを歩いて5分のところにある味噌天神バス停へ向かった。
宮崎行高速バスは味噌天神に到着したのは5分遅れの10時17分、ルフィ像のある県庁を通り、20分ほどで高速に入る。11時過ぎに八代に近い宮原サービスエリアに立ち寄った。30分で人吉インターに到着、12時15分のくま川鉄道代行バスを待つことにした。
くま川鉄道は、2013年GWの駅巡り以来10年ぶりの乗車となる。現在、営業運転しているKT-500形がデビューしたのは駅巡りの翌年の2014年なので、今回が初乗車となる。駅巡りの時に乗ったロングシートのKT-202形は2014年1月から2月にかけて、クロスシートのKT-100形は同じく2014年の年末に引退、2016年には「KUMA1」「KUMA2」も引退してKT-500形に統一された。10年も乗ってない間に車両が全て置き換わった形になった。
くま川鉄道は2020年7月に豪雨災害で被災、球磨川第四橋梁流出等といった路線への被害だけでなく、人吉温泉駅に留置していた車両全てが浸水する被害も受けた。肥後西村から終点の湯前までは2021年11月に復旧したが、人吉温泉と肥後西村の復旧は遅れ、代行バスの運転となった。平日は昼間の列車はなし、日曜、祝日は代行バスがなしということで、昼間に代行バスも列車も走るのは、土曜日だけになる。2025年度頃の復旧を目指すが、肥薩線復旧の目途は立ってないので、他路線と接続しない状況はまだ続く。
くま川鉄道の代行バス乗り場であるファミリーマート近くに行ったのだけど、乗車位置がわからない。目印は電柱の時刻表ぐらいだ。そろそろバスが来る頃に通りすがりの係員に声をかけられ、停止位置の案内ときっぷの販売が行われた。客は数人にも関わらず、代行バスは、大型2台、マイクロバス1台で運行となった。数人に対しては過剰だけど、通学時間帯はこれくらいの需要があるのだろう。
15分間バスに揺られて、肥後西村着12時30分、42分発の列車に乗り換える。肥前西村の駅前はバスの折り返せるスペースが確保され、バスを停めておくこともできる。バスの客以外にマイカーで来た家族連れも乗った。列車は2両で、湯前寄りが黒いKT-501 「冬」、人吉寄りが赤いKT-502 「秋」となっていた。KT-500形は、先述した通り2014年にデビュー、「KUMA1」に続いて水戸岡鋭治のデザインとなっており、内装には地元のヒノキを使用している。水戸岡デザインなので、シートは木にカラフルなモケット、ドア付近には民芸品を飾る棚がある。また、運転室後部には子供用の展望席がある。デビュー当時はボックスシートだったが、2019年の多良木高校閉鎖で沿線から人吉へ向かう学生が増加したため、ロングシートに改造された。なお、観光列車『田園シンフォニー』としての運用は翌年3月にとりやめ、その4か月後に豪雨災害となった。
くま川鉄道は、田園地帯をことこと走行、主要駅に近づくとある程度町になる。あさぎり駅には仮設の車両基地があり、ベージュのKT-503「春」が停車していた。人吉温泉駅から陸送されたのは、今乗っているKT-501、KT-502、そしてこのKT-503の3両、KT-504、KT-505は人吉で全線開通を待っている。多良木駅からは14系を使った客車ホテルを見ることができた。
南阿蘇鉄道と同じく33分かかって湯前着13時15分、 折り返しは10分しかないので、駅の周りを軽く散策した。帰りは車両が貸し切り状態となったので、シートが曲がってクロスシートのようになっているところに座ることにした。肥後西村には、13時57分着で14分接続、帰りのバスはさすがに1台になった。
人吉ICでは、14時26分着の代行バスから32分の新八代行『B&Sみやざき』への6分乗り換えでギリだったが、バスが3分早く着いたので余裕で間に合った。バスは一番先頭だったので、行きとは違う景色を見ることができた。新八代着は定刻より4分早い15時10分となった。
新八代発15時31分、熊本を過ぎ、一気に博多へワープする。目的地が小倉に対し、持っている『B&Sみやざきネットきっぷ』が博多なので、この先在来線に乗り換えるか悩んでいた。結局、乗っていた新幹線が博多に停車している間に指定席から自由席のデッキまで移動した。のぞみが全席指定席で、さくらの自由席は座れないのは確実だが、1400円余計に払うよりは、15分立った方がいいと判断したのだ。
小倉着は予定より1時間早い16時38分、スーパーと銭湯で時間を潰した。門司駅発19時の送迎バスに乗車、新門司港フェリーターミナルで降りて、19時50分発の名門大洋フェリーで出港した。
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