りゅういちの心象風景現像所

これでもきままな日記のつもり

ギャラリーやさしい予感

2010-07-21 03:37:20 |  日 記 
秀春氏の個展の準備のため「やさしい予感」を訪れた時のこと。
ここはたたずまいというか、光の加減といい、空気感が心地良いのですが、外の椅子に腰掛けていても目黒駅から徒歩5分ほどのところにあるようには思えないほど。静かでよいところ。

   

よくよく耳を澄ませば、そりゃあ近くには山手線の線路が走っているわけなので、音は聞こえてくるのですけど、静けさっていうのは単に「音」の問題というだけではなさそうです。建物のたたずまいがもたらしていることが大きいのだ、と思っています。
1Fのカフェには、カウンターテーブルの端っこの方にアルバムが何冊も置いてあります。いままでに「やさしい予感」で開かれた個展、展示会がアルバムで記録されているのですが、その中に特別なアルバムが3冊ほどあります。ギャラリーに生まれ変わる前のこの建物の写真。それが残されているのです。もともとはオーナーである母君のご実家を建築家の旦那様が全面的にリフォームすることでギャラリーとして生まれ変わらせた、という素敵なエピソードを持っている場所。ギャラリーであるので本当にすっきりとした空間なのですけど、いわゆるギャラリー特有の「冷たさ」はないのです。数十年、人の暮らしを包み込んできたことで、人間に寛容な空間になったのか。あるいは経営されているディレクターのお人柄が空気を満たしているのか。押し付けがましくない、自然なやさしさはちょっと他では経験したことがありません。「やさしい予感」ならでは魅力なのです。

   

1F展示室のガラス窓が大きいので、大きな展示物も難なく搬入可能です。窓際一間半ほどのスペースには床に石材が敷き詰めてあるので、少々重量があるものでもそこでなら大丈夫。実際、個展「約束と貌(かたち)」のときにはアップライトのピアノを運び入れて、この場所に設置しました。
大きな窓を取り付ける時の職人さんたちの手際の良さについて、設計者であるお父様のお話を聞かせてもらったのですが、この大きな窓は設計者のこだわりの窓であると同時に、ギャラリー「やさしい予感」の性格を象徴する「窓」であるとおもいます。
とにかく、建物の中に入ってくる光の美しさは、特筆すべきです。
もちろん、各種の照明が用意されているので、多様な展示に十分に応えられるのですが、このギャラリー自体がはじめから美しい光を取り込んでくれるので、造形物の展示には本当にうってつけです。ガラス作品などは特に映えるのではないか?なんておもうのですけど。
長い板が潔い直線を引いて、来場者を奥へ奥へと案内してくれます。この板張りの後ろにも秘密があって、はめ殺しの大きなガラス窓から光を導き入れています。それが直接ではなく、板張りのスリットから差し込んでくる。様々に屈折し、干渉しあって差し込んでくる光が心地よいのですが、その心地よさが存分に味わえるのは強烈な光が印象的な季節。。。夏であることはまず間違いないであろうと思います。ちょうど、いまの季節。お散歩がてらにギャラリーをのぞいてみるなら、おすすめの季節なのです。

   

二度目の人生を歩み始めた建築にはフェニックスの植え込みはこれ以上なく似合っています。ギャラリーではオーナー手作りのジュースやおいしいコーヒーもいただくことができますし、生ビールも味わうことができます。外の椅子に腰掛けて、暑い季節に吹く涼しい風を待ちながら、展示していた作品のことをあれこれ話しつつ、フェニックスのそばで生ビール。。。いいですよぉ~。

   

昨年、「魚展」にお邪魔したときに、カフェのカウンター横の窓にあらわれたヤモリ。「やぁ、またいらっしゃいましたね」とディレクター大藤氏はニコニコしていました。どうも常連さんのようです。
夜8時まで開いているのもこのギャラリーの魅力で、お仕事のあとにふらっと立ち寄られるお客様も多いとか。この季節、ビールを飲んでいると、ヤモリがふらっとあらわれるかもしれません。

   






ギャラリーやさしい予感について、すこしだけ


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