倒産回避コンサルタントからの救命ロープ

倒産回避コンサルタント・中逵努のブログです。
恩師村松謙一弁護士ご本人のブログではないことを予めご了解ください。

お金の値打ちとバスタブの水

2006年01月30日 | 企業再建について
投資利回りや将来価値などを一切考慮しなければ、一万円札は
一万円の値打ちである。一万円以上でもなければ一万円以下
でもない。一見疑いのない当たり前の話である。

売上から仕入を引いた月間粗利益が100万円の八百屋
さんがあったとします。粗利益100万円の中から家賃・水道
光熱費税金・給料・保険という経費の合計80万円を引いた
20万円を今まで銀行の返済に充てていました。しかし近くに
安売りで有名なスーパーが進出してきて、月間粗利益が80万
円になってしまいました。どう対処するべきでしょうか?

真面目な中小企業の経営者の方ほど、銀行に経営悪化を知ら
れるのが怖くて、このような状況でもお金をかき集めてでも
最優先で銀行返済をしているのです。その後さらに親戚縁者・
友人だけでなくサラ金・闇金へと転落することもまれでは
ありません。勇気を出して銀行に相談しても、延滞になれば
事故扱いになりますよ・20万円くらい何とかできるでしょ?
と言われてしまいます。

多くの銀行マンにとってはまさに20万円なのです。20万円
以上でもなければ20万円以下でもないのです。しかし全く
別の見方をすれば、80万円の粗利益の中の20万円 つまり
その八百屋さんにとっては粗利益の25%なのです。金融
機関にとって20万円は大した金額ではないでしょうが、粗利益
の25%となれば話は全く別です。金融機関に説明する
際には金額という絶対価値ではなく、収入規模に合った相対
価値で説明しながら返済可能額を明らかにすることが重要
なのです。

毎分5Lの水が入り、毎分3Lの水が排出されるバスタブが
あったとします。毎分2Lのペースで水が溜まり始め、満杯に
なれば溢れ始めます。しかし入る水の量が毎分2Lになって
しまえば、バスタブの水はしばらくすると空っぽになって
しまいます。バスタブの水を維持しようと思えば、入る水の
量に合わせて排出される量を調整すれば良いだけなのです。

企業の資金繰りに当てはめた場合、この簡単な理屈がなかなか
できないのです。売上(収益)が低下したら、それに合わせて
経費削減しながら銀行返済も減らすということができないの
です。私たちのような倒産回避に携わる人間にとって、
資金繰りの検証と調整がまず最初にする作業になります。
プロの目で見た現状および将来予測に基づいて倒産回避に
向けた処方箋作りが始まるのです。

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中小企業経営者の苦悩

2006年01月29日 | 企業再建について
取引金融機関のみならず弁護士・税理士・会計士などの
専門家から倒産(民事再生法などの法的再生を含む)
止む無しと言われた方々への救命ロープになれればとの
思いでこのブログを開設しました。

メインバンク・取引銀行から見放された、手形の不渡りが
起こりそうだ、取引先が倒産して連鎖倒産しそうだ等
誰にも相談できず悩まれている中小企業の経営者は本当に
多いと思います。私が担当している案件は特に厳しい
案件ばかりですが(二ヵ月後の支払手形の不渡りが
確実だったとか、営業赤字続きで取引銀行の支店長から
恫喝され続けていた等)、緊急処置を施して処方箋に
沿ってゆっくりと回復していただいてる状況です。

役割分担・責任分担が明確な大企業と違い、中小企業は
すべての最終責任を経営者がひとりで背負われているケースが多く、その上親戚・友人を巻き込んだ連帯保証
問題、競売の恐怖などひとりで抱えきれない荷物を
背負われています。そんな時こそ一旦荷物を降ろして、
それぞれの状況に最適の処方箋を見つけることが必要
なのです。

中小企業経営者にとって自分の会社は、自分の子供であり
生活基盤であり、自分の歴史であり、生きた証です。
だからこそ絶対潰せない、潰したくないという気持ちが
あるのです。たとえ取引銀行から見放されても、顧問
税理士や巷の弁護士が無理と言っても、どうか最後の
望みは捨てないでください。詳しくは別の機会に譲り
ますが、私自身が絶望の淵から生還した実体験があり
正しい処置と決してあきらめない気持ちがあれば、
倒産という悪魔に打ち勝つことができます。絶望の淵に
立っている方にこそ、この救命ロープを掴んでいただき
たいと願っています。


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私的再建

2006年01月28日 | 企業再建について
民事再生法申し立てという記事を新聞で見かけられる
ことがあると思いますが、法律に基づいて裁判所に関与
してもらって再生を図ることを法的再建と呼ぶのに対し
金融機関など一部の債権者の協力を得ながら、秘密裏に
再建を図るのを私的再建と呼びます。大手コンサル会社で
企業再生チームの一員として勤務していますが、チーム
の中でも特に私的再建にこだわりながら日々仕事をして
います。

私的再建の最大のメリットとして信用不安を表面化
させずに再建を図ることができるということが挙げられ
ますが、私的再建を成功させるには債務者である社長様
のみならず、金融機関などの債権者の方々・連帯保証人の
方々等すべての利害関係人のご理解と協力が不可欠です。

大企業はともかく中小企業の倒産回避においては、連鎖
倒産防止の観点から仕入先などの一般債権者に負担の
少ない私的再建が効果的であるにもかかわらず、業務
効率性の追求(つまり法的再建で処理するほうが楽で
数をこなせる)のために私的再建にこだわる専門家が
ただでさえ少ない上に、中小企業の私的再建を的確に
こなせる方は数えるほどしかいないのが現状です。

日本経済を支える中小企業の経営者およびそのご家族、
従業員の皆さんとそのご家族、取引先の中小零細企業の
方々が将来に夢と希望を感じてもらえるよう最新の
再生手法をできるだけわかりやすくお伝えできればと
願っています。タイトルにあるように中小零細企業が
粘り強く生き抜くための救命ロープになれれば幸いです。


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はじめまして

2006年01月28日 | 企業再建について
みなさんはじめまして。consul-nと申します。倒産回避・企業
再生業務を通じて日々感じたことを書き留めていきたいと
思います。絶望の淵にいる方々と一緒に泥を被りながら、
悪戦苦闘しながらの毎日に隠された些細な出来事に一筋の
希望の光を見出していただければと願っています。
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