倒産回避コンサルタントからの救命ロープ

倒産回避コンサルタント・中逵努のブログです。
恩師村松謙一弁護士ご本人のブログではないことを予めご了解ください。

連鎖倒産回避 1

2006年02月27日 | 企業再建について
担当先の売掛先が突然破綻した。
経営者の方と悪戦苦闘しながら2月末から数ヶ月の
資金繰りのメドをつけた直後だっただけに、
ご本人の落胆された姿が痛ましい。

しかしこのような状況でこそ倒産回避コンサルタントとしての
腕の見せ所である。
もともと資金繰りに余裕があった訳ではないので
更に厳しい資金繰り状況になってしまうのは間違いない。
でもこのような事態に直面した時こそ普段以上の冷静さが
必要である。

一般的に、このような緊急事態においては経営者は
冷静さを失うのは仕方が無いことである。
冷静さを失うだけでなく、より事態を悪化させてしまう
行動を取ってしまうケースも多分にある。
入金の当てがはずれたために、金融機関への返済や
仕入先への支払いのために慌てて金策に走る方が
圧倒的に多いだろう。

しかし、ここで以前のバスタブの話をもう一度思い出して
いただきたい。
入ってくる水の量が減少したときには、排出される水の量を
調整してバランスを取るという鉄則がこのようなケースで
まず大切なのです。
得意先の突然の破綻は不可抗力です。
与信管理を怠らないことは当然大切ですが、このような
不可抗力をすべて避けることはできません。
通常の資金繰りではショートしてしまうような場合は
金融機関などへの返済を一時的にストップすることが
肝心です。
突発的な資金繰り危機を金融機関へしわ寄せすることで
経営危機を回避するのは信用不安を発生させないために
重要な選択肢です。
さらに他から資金調達しないので傷口を広げる危険性も
最小限に抑えることができます。
金融機関はお客様との取引に守秘義務があるので、
信用不安が広がりにくいのです。

この続きは次回に続きます

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お詫び  出張続きで投稿頻度が大幅に低下して
      申し訳ありません。少なくとも週一回は
      投稿したいと思っていますのでご了承
      ください。
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連帯保証人問題への対応策 2

2006年02月21日 | 企業再建について
前回連帯保証人には何一つメリットがないことをお伝えしました。
私は常々連帯保証人制度こそが悲劇の根源だと考えています。
自分たち家族は自己責任だから裸一貫になっても仕方ない。
しかし、かけがえのない最大の協力者に迷惑をかけることだけは
人間として許されるものではない、という思考プロセスを経て
苦悩し追い詰められ悲惨な状況に発展するケースが
多いことを実務を通じて実感しています。
だからこそ、この連帯保証人問題の対応策を
この問題で苦しまれている方々・ご家族・ご友人に
読んでいただければ有難く思います。

経営危機に際して忍び寄る倒産と戦うには
債務者と連帯保証人の協力と理解が不可欠です。
債務者と連帯保証人がいがみ合っていては
倒産という悪魔の思う壺なのです。
債務者と連帯保証人の法的地位は同列であると言いながらも
実際の現場では債務者が逃げずに誠意を持って対処していれば
すぐに連帯保証人に保証債務の履行を請求するというケースなど
当初から連帯保証人からの弁済を当てにしているような悪質な業者以外、
ほとんど見受けられません。
債務者が真摯に返済努力を続けることが
債務者の債権者へ対する最大の誠意だからです。

ここで非常に大切なポイントをもうひとつお伝えしたいと思います。
真摯な返済努力とは、いかなる事情があろうとも
必ず約定(決められた日に決められた金額)通りに
返済することではありません。
返済の余裕があるのに返済しないというのは論外ですが、
返済原資が10万円しかないのに20万円返済するのは
正しい返済努力とは決して言えません。
以前コラムでバスタブの水に例えてお話しましたが、
入ってくるお金よりも出て行くお金が多いということは、
蓄えを取り崩すか他から借りたお金を当てているかの
どちらかしかありません。
蓄えがあるうちはまだしも、蓄えが底を尽き
他からお金を借りて返済している自転車操業は
被害を拡大しているだけで何の解決にもなっていないどころか、
大切な連帯保証人のためにしている行為が、
全く逆の方向に進んでいることだってあるのです。

資金繰りに窮するなどの経営危機に遭遇した場合、
まずは「お金の入と出」をチェックし調整することです。
無理してかき集めたお金で返済や手形の決済をしても、
それはあくまで対処であって根本的解決にはつながりません。
極言すれば収入と支出のバランスを取りさえすれば良いのです。
反社会性を持つ悪質な企業以外は
たとえどんな小さな零細企業であっても、
その会社を必要としている人が必ず存在し、
また倒産を喜ぶ債権者は誰もいないはずです。
ということは収入と支出のバランスを取って、
倒産回避をすることが、本人・連帯保証人のみならず
貸し手である債権者の利益にもつながることを考えても、
利害関係人全員が実情を理解して協力し合える関係を構築することが
何より大切なのです。
債務者と連帯保証人がこの理屈を共有しながら協力しあえば
債権者との交渉の道は開かれ、またそれこそが
債権者に対する最大の誠意なのです。

また連帯保証人になった方へお願いしたいことがあります。
決して債務者と決裂しないでいただきたい。
債務者との決裂は連帯保証人の方にとって
何一つ良い結果をもたらしません。
連帯保証人ご自身のためにも債務者を応援して
あげていただきたいのです。
債務者ご本人が手を挙げない限り、連帯保証債務の履行は
すぐには求められませんし、万一連帯保証の履行を求められても
交渉の余地や選択肢はあります。
連帯保証の履行請求が必ずしもすぐに連帯保証人の
家・財産を剥奪することを意味しませんし、
そのようなケースでこそ倒産回避専門家からのアドバイスが
救命ロープとしてお役に立てるのだと思います。


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連帯保証人問題への対応策 1

2006年02月16日 | 企業再建について
公的・民間を問わず金融機関から中小企業が融資を受けるに際し
ほぼ間違いなく要求されるのが連帯保証人です。
単なる保証人や物上保証人とは違いこの連帯保証人という地位は
「主たる債務者=融資を受けた人」
と同等の責任と義務を連帯して負う人です。
つまり連帯保証人が融資を受けたのと事実上
同じことになるのです。

私自身が周囲を連帯保証人に巻き込んでしまい
地獄のような苦しみを経験し、その地獄から生還しただけに
経営危機に陥った中小零細企業の経営者の
本当の苦悩が痛いほどわかります。
周囲を巻き込まず、自分だけの問題で済むのなら
どれほど楽でしょう。
連帯保証人になってくれるくらいの人ですから
融資を受ける人にとってはかけがえのない人のはず。
そのかけがえのない人に迷惑をかけるくらいなら死んだ方が
ましだと思うほど追い詰められている方が、
こうしている今現在も日本中にどれほどいるだろうと思います。
私はそのような追い詰められている方々にこそ、
このメッセージを届けたい、読んでいただきたいと念じながら
このコラムを書いています。

多くの中小企業経営者にとって、金融機関からの要求は
拒絶できない絶対的なものという大きな誤解があります。
まるで蛇ににらまれたカエルのように、
絶対履行しなければならない義務のような受け止め方を
してしまいます。
でも連帯保証人を断れば融資が受けれないという引け目があり、
現実的には連帯保証人を付けざるを得ないのが実情でしょう。

しかし一旦融資を受けた後に追加要求される連帯保証人や
サラ金・ノンバンクからの最初の融資に求められる連帯保証人
だけは断固拒否してください。
何故なら一般的な金融機関とサラ金・ノンバンクなどの
金利の高い金融機関では、連帯保証人への要求が
微妙に異なるからです。

極端に言えば、金利の高い金融機関は融資をする相手よりも
むしろ連帯保証人の信用力や返済能力を考慮して融資する
ところが少なからず存在するからです。
債務者本人でなく、最初から連帯保証人の返済能力を
あてにしているケースも数多くあります。

反面、一般的な金融機関にとっての連帯保証人は
同列の地位とは言いながらも、主たる債務者が
一定期間以上滞納しても(通常3~6ヶ月の滞納)
連帯保証人へすぐに保証債務の履行を請求するのではなく
金融機関は連帯保証人へ延滞の事実の通知をすることで
債権者と共に連帯保証人からも督促してもらうような行動を取ります。
金融機関は督促に対し様々な制限がありますが
(早朝・深夜および営業妨害になるような取立ての禁止)
連帯保証人は行動制限なく金融機関の代わりに督促してくれます。
この連帯保証人からの督促こそが債務者にとって
最も精神的苦痛をもたらす原因なのです。
連帯保証人の方ご本人は勿論のこと、
かけがえのない協力者である連帯保証人を苦しめている
という罪悪感が債務者本人に重くのしかかるのです。

しかしここで冷静に客観的に考えてください。
連帯保証人は連帯保証をすることによって
何かメリットはありますか?
連帯保証人になってメリットなんて何一つありません。
重大な義務と責任を負う連帯保証人は金融機関にとっては
自分たちの利益追求のための無償かつ最高の協力者である
にもかかわらず、金融機関から返済状況の説明どころか御礼の
ひとつも言われずデメリットばかりの立場です。
だからこそ、万一の場合には連帯保証人は金融機関と徹底的に
交渉することができるのです。
債務者と連帯保証人が協力して債権者と交渉することが、
悲劇を生まないポイントなのです。

次回に続きます。

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貸し手からの視点

2006年02月14日 | 企業再建について

倒産危機に瀕した経営者の方々が冷静な判断を失うのは
仕方ないことであり、そのような状況の中で客観的に最善の道を
ご提案するのが私のような再生コンサルタントの役割です。
債務者の立場から見れば、資金がショートした・手形が決済できない
という問題で皆さん苦悩されているのですが、
ここで客観的に貸し手(債権者)の立場から債務者を見てみましょう。

債権回収のプロにとって一番困難なのはお金の無いところから
お金を取り立てることなのです。
つまり真面目に経営を実践され返済のために
親戚縁者からかき集めたお金も底をついたような方からは、
担保物件からの回収以外はほとんど回収できません。
債権者・債務者双方にとって最善の道は、債務者の倒産回避と事業再生を
実現して、債務者の生活基盤を確保した上で、たとえ時間がかかっても
債権を回収できることなのです。
中小零細企業の皆様にとっては、
自分たちの事業と生活が守られていさえすれば資金繰りの中での返済は
さほど気にならないのです。
また債務者が破綻してしまえば、債務者だけでなく、
債権者も大きな影響を被ります。
体力のある金融機関であれば、償却して終わりかもしれませんが
仕入先など本業での取引関係にある業者にとっては
得意先がひとつ無くなるという大問題なのです。
得意先の破綻は取引業者の資金繰り・売上低下による収益力低下など
重大な問題に直結します。
そのような理由から体力のなり地銀・信金という金融機関を含め、
誰も中小零細企業の破綻を望んでいません。
資金繰りが厳しくなるような経営危機に瀕したら迷うことなく
企業再建・財務に精通したプロに依頼することをお薦めします。
というより絶対その道のプロに依頼してください。
間違っても普通の弁護士・会計士・税理士に相談した結果、
倒産止む無しと言われても決してあきらめないでください。
教科書通りの通り一遍の分析で再建不可と判断されても、
再建のプロから見れば、再建の可能性が残されているというケースは
非常に多いのです。
事業は人間の営みである限り、正しい処方箋に基づいて
全員の力を結集すれば、不可能が可能になる奇跡が生まれるのです。
私のある担当先でも予想外の天候不順で万全を期したはずの資金繰りに
支障をきたしてしまい、緊急処置により2~3月にかけての資金繰りを
組み替えました。
今年は特に2~3月に資金繰りが厳しくなるケースが
例年以上に増えていますので、できるだけ早いタイミングで
ご相談いただければと願います。



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想像による恐怖・苦しみ・絶望感

2006年02月12日 | 企業再建について
倒産の危機に瀕している経営者の方々が一番恐れているのが
手形不渡りでしょう。
「銀行取引停止処分」がまさに死刑宣告のような響きとなり
経営者の方々を苦しめられているのだと思います。

私の担当先の一社は従業員数人の家族的企業で、知り合った
ときには2ヵ月後の手形不渡りが確実な状況でした。
銀行への元金返済だけでなく、利息の返済も凍結したと
しても支払手形の決済ができない状況です。
手形不渡りになれば、即倒産して全員が路頭に迷うということを
恐れられていました。
この恐れこそがタイトルにあるように
想像による恐怖・苦しみ・絶望感 なのです。
手形不渡り→差押→すべての財産を失う→生活できない
という思考プロセスが即座に脳裏をかすめて、
恐怖感・絶望感で経営者やご家族の皆さんが苦しまれるのですが、
私はここにきっぱりと断言します。
そのような想像による(正確に言えば妄想による)
恐怖の悪循環に苦しむ必要、ましてや大切な命を投げ出す必要なんて
全くありません。
不渡りなんて怖くない・差押なんて怖くない・正しい
対処さえすれば何も恐れる必要なんてありません。

このケースでは、取引銀行から追加融資を断られ、
倒産止む無しとまでとすでに言われていたため、
新たな資金調達に頼らず倒産回避を行う、
私的再建の道を選択しました。
先日も書いたように、唯一戦うべき相手は倒産という悪魔であり、
債権者・債務者が協力しなければ退治することができません。
倒産を回避することは債務者だけでなく
債権者にもメリットがあるからなのです。
すぐに正確な各種資料を作成し、倒産回避に向けて行動を
起こしました。
銀行は全く当てに出来ないので、手形決済資金を確保するために、
まず銀行への返済をすべてストップしました。
また経費をプロの目ですべて見直してから、
収益状況の徹底的な検証を実施。
固めの収益予測に基づき返済能力を正確に計算してから、
すべての数字を資金繰り予定表に入れ込んで
今後の対応方針を決定しました。

守秘義務のある金融機関への返済凍結は止む無しとしても
信用不安の問題で、できれば仕入先への支払にまで手を
つけないほうが良いのですが、
このケースでは仕入先にも協力を要請しました。
ただ闇雲に支払を延期したいでは信用を落とすだけで逆効果です。
綿密にシナリオを練ってから協力をお願いするのがポイントなのです。
問題先送り・延命行為的なお願いではなく
このような協力をしていただければ、貸し倒れの迷惑を掛けずに
済むのですという計画を作成します。

この続きはまた次回に書きます。


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人間模様

2006年02月08日 | 企業再建について
経営危機に陥った企業が私的再建で立ち直るまでには
社長様だけでなくご家族・従業員の方々を始めとして
すべてのステークホルダー(利害関係人)を巻き込んだ
幾多の人間模様が生まれます。
人間模様と言っても当然良い話ばかりでなく、
厳しい試練・葛藤・衝突といった辛い話もたくさん存在します。
しかし幾多の試練を逃げることなく、
ひとつひとつ乗り越えるたびに
その時夢中でわからなくても、後で振り返ったら
それが小さな信頼回復の積み重ねとなり、いつの間にか
それが大きな信頼回復につながり、経営危機を迎える
前より、信頼されるということが起こりえます。
まさに「災い転じて福となる」のです。かつてどん底で
苦しむ私をこの言葉で師匠は励まし続けてくれました。

私の師匠については、書き出したらキリが無いほど
あまりに多く思い出・エピソードがあるので、今後
機会があるごとに書いていきたいと思います。
私の師匠について簡単に説明すると、幾多の著書があるので
名前を聞けばご存知の方も多いと思いますが、
再建指導弁護士として倒産回避の第一人者としてご活躍中で
スキル・知識・ノウハウのみならず、誰よりも暖かくて
熱いハートを持った人間味あふれる方で、
私の命の恩人でもあります。
師匠に救っていただいた恩を少しでも世の中に
お返ししたいという気持ちで、この道を志しました。
過去を思い起こせば、確かに精神的に辛いことも数多くありました。
命を絶とうと考えたことも数知れず。
しかし師匠と出会えて、多くのことに気づかせてもらい
何より人間として救っていただくことができました。
師匠から学んだイズムを忘れることなく、心の通った
アドバイスを心掛けながら日々担当先の皆さんと
真正面から向き合っています。
お金より命、借金の整理より食い扶持の確保、
中小零細企業のみなさんにとって何が大切で
どうすれば大切なものを守れるのかを
これからも発信していきたいと思います。

いつもの地下鉄の駅で、ある広告を見かけました。

命は大切だ。命を大切に。
そんなこと何千何万回言われるより、
「あなたが大切だ」
誰かがそう言ってくれたら
それだけで生きていける。

私も本当にそう思います。
だからこそ中小零細企業の皆さんにも言いたい。
「あなたの会社が大切だ。」

追伸  明日から地方出張のため日曜日まで投稿
    できませんのでご了承ください。

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ターンアラウンド マネージャー 5

2006年02月07日 | 企業再建について
倒産回避・企業再生にとって現場の徹底的な検証は
経営者が考える以上に重要です。
資金繰り管理と並び再生に必要な両輪である
本業の収益力回復のためには
緻密で徹底した検証作業が不可欠なのです。

財務諸表に現れる数字の帳尻合わせだけで倒産回避や
再生が実現しないのは当然ですが、たとえファンドや
サービサーを利用して借入金を減らせたとしても、
抜本的解決が実現したとは私は思いません。

何故なら、ある時点でたとえ固めの事業計画に基づいて
作成された再生スキーム実行後の債務償還がスタートしても
システム上の問題や社内に潜む大きな無駄にメスが
入れられていなければ再度経営危機に直面する
可能性が高いのです。
利益確保のために経費削減なども必要で有効ですが、
経営危機に陥るまでにほとんどの経費削減は終了しているはずです。
必死になって確保した利益が隠れた無駄によって
帳消しになっている事実を中小零細企業のみなさんに
気づいていただきたいのです。

かつての私自身を振り返っても見事に当てはまるのですが、
中小零細企業経営者の皆さんだけでなく
従業員の方々の普段の何気ない動きの中に
大きな無駄が潜んでいるのです。
世界中の大企業でさえトヨタのカンバン方式を
今なお研究しているように、隠れた人件費の無駄を
排除することが必要なのです。
わかりやすい具体例を挙げると、
事務所から少し離れた場所に倉庫があるとします。
たった車で5分の距離です。
ある商品を1ケースだけ倉庫に取りに行くために車を使用して、
その上、倉庫のスタッフと世間話を15分したとしたら、
1ケースのためにどれだけの経費が掛かってしまうのでしょうか。
その経費こそが大きな隠れた無駄なのです。

財務面は当然として、本業のSWOT分析(強み・弱み分析)
などの教科書的な分析だけでは不十分なのです。
私の担当している案件では、特にこの隠れた無駄にまで
メスを入れて再生プランを練ることを常に心がけています。
この隠れた無駄に経営者の方だけでなく、
スタッフも含めたすべての人に気づいてもらい
その無駄を改善できる仕組みができれば、
業績は一気に改善します。
現場の中で担当先の皆さんと悪戦苦闘しながら、
その無駄が排除できたときの喜びを
他の中小零細企業の皆さんに味わっていただきたく思っています。

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ターンアラウンド マネージャー 4

2006年02月06日 | 企業再建について
中小零細企業が倒産危機に瀕する大きな原因に社内に
おける経理システムの問題が挙げられる。
特に資金繰りなどの管理会計に問題がある場合は
深刻な問題の根本原因になってしまう。
例えて言えばメーター無しで飛行機を操縦するようなものである。
かつての私は管理会計が全くわかっていなかっただけに、
わからない経営者の気持ちが本当に理解できる。

財務諸表はすべて顧問税理士任せで、
決算打合せの時に通期実績を事後解説いただくような
レベルからスタートしたので、初歩の初歩の疑問点
言い換えれば何がわからないのかわからない段階からの出発だった。
簡単に説明すれば、経理は少なくとも月次決算と
月次資金繰りの二つの側面から見る必要がある。
月次決算が黒字でも手形を振り出していれば不渡り(黒字倒産)の
危険性があるし、月次資金繰りがついていても、
月次決算が赤字であればどこかで出血しているのである。
この記事を読まれた方で、わかりやすい具体的方法論に
ご興味がある方は是非お問い合わせください。
月次決算と月次資金繰りの両面を見るだけで経営状況が
一目瞭然になり、自社の問題点が浮き彫りになってきます。
いかにシンプルな帳票を使って管理会計を行うのかが
大きなポイントなのです。
シンプルな帳票であっても少なくとも3ヵ月~半年後の状況が
予測できるようになり突然の資金ショートなどがほぼ確実に防止できます。

それだけでも中小零細企業経営者のご負担は一気に
軽減され、今まで資金繰りに駆け回っておられた時間を
本業に使っていただくことができ、
収益力の改善につなげていただくことができると思います。
月末の手形決済資金を確保するための自転車操業という悪循環から
逃れる最善の方法は、融通手形でも資金調達でも
根本的な解決は望めません。
会社の置かれた正確な状況を把握して、
問題先送りの延命行為ではない抜本的解決に着手することが
倒産回避を実現する唯一の道なのです。
たとえどんな状況に置かれてもどうか望みは捨てないで下さい。
教科書通りの対応で倒産しかないと見捨てられた会社であっても、
適切な処置でしぶとく生き抜いている会社もたくさんあるのです。
どんな小さな会社・個人商店であっても
誰かに必要とされていることを忘れないで欲しいと思います。

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ターンアラウンド マネージャー 3

2006年02月05日 | 企業再建について
ターンアラウンドに必要な解決すべき三つの問題点の
中で、まず最初にスタッフ全員の意識問題について
ですが、この問題は永遠のテーマと思われるほど
難しい問題だと日々案件を通して実感しています。

まず経営理念・社是ありきとおっしゃられる方も
おられますが、あってもそれらが機能していない
ケースが圧倒的に多いと思います。箱があっても魂が
入っていなければ、その理念は根付きません。
経営理念等のある会社ではその理念の根付き方を、
無い会社であれば経営者の方と一緒になって本当に
進みたい道の確認・模索から始めます。

ターンアラウンド業務を通じて、私は常に意識して
緊急性を有してかつ絶対悪と言えること以外お客様の
価値観を最大限尊重することを大切にしています。
「今まで一度も私から叱られたことがないけど、
それが一番効いたし、気づきと反省につながった」
と初めてお客様から言っていただいた時の嬉しさは
今でもはっきり覚えています。

自分を否定されて嫌じゃない人間なんて普通
いないですよね。まして自分なりに必死で
経営されている経営者ほどプライドを持って
おられます。絶望の淵に立って、かつての
プライドも勇気も存在意義も粉々に打ち砕かれた
人の心に希望という灯りが燈るお手伝いをすることが
非常に大切だと考えています。同じ人間であっても、
習得速度や理解できるペースは全員違います。
その人の心の状態を冷静に観察しながら、次の
一歩・二歩程度のアドバイスをいつも心がけています。
資金繰りの緊急止血をしてからが私的再建の本当の
始まりなのです。

その会社にとって最適な姿を試行錯誤しながら、
アドバイスするのは次の一歩・二歩。また「頑張る」
という言葉は案件初期には意識して使いません。
倒産の危機に立たされている方にとっては「頑張って
ください」というのは、絶対に禁句なのです。
自分なりにここまで頑張ってきて、どうにもならないから
相談に来られたのです。「ここまで自分ひとりでよく
頑張ってきたね」と言って救ってくれたわが師匠の言葉の
中に含まれた様々な思いこそが、現職での私の原点なの
です。

経営者の方々に限らず、社員・スタッフの方々の
意識改革を実現するのは並大抵のことではありません。
しかし担当先の皆さんの仕事・職務に対する意識が変わって、
心に笑顔を取り戻していただくために、また担当先の
皆さんと一緒に泥を被って悪戦苦闘しながら、会社にとって
最善のゴールを目指して進むのが私のポリシーです。
その過程でその企業オリジナルの文化が育まれ、
企業という器に魂を入れることとなり、結果的に社内で
強い連帯感と自浄作用が生まれ、厳しくても暖かい魅力ある
人間中心の会社になるのだと思います。


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ターンアラウンド マネージャー 2

2006年02月04日 | 企業再建について
以前からこのメインバンクの支店長は社長に対して
対応が非常に厳しく、恫喝されることもあったようで、
社長や経理担当者はビクビクして震え上がっていた。

以前木村剛氏の講演を聞いたことがある。
竹中大臣の金融ブレーンで現在の日本振興銀行会長である。
同氏は長年金融機関の常識は世間の非常識であったと
明言されていた。
お客様を恫喝することなんてあり得ないはずなのに
金融機関の中には今でもこのようなことが
ごく頻繁にあります。
真面目な経営者ほどそのようなお門違いの恫喝に震え、
罪悪感に苛まれ、最悪のケースでは自殺にまで
追いやられてしまうことがあるだけに、
金融機関の心無い対応には強い憤りを感じる。
倒産回避に必要なのは、債権者・債務者の対立ではなく
相互理解・相互協力であるはずだ。
債権者・債務者が同じ方向を向いて手を携えて協力
し合ってこそ、倒産という唯一の悪魔を退治することができる。
私が師匠から身を持って学んだこの原則こそ
私的再建に必要な最初の意識改革なのです。
透明性を追求した情報開示と甘さを排除した正直ベースでの
資金繰り・事業計画を共有することで、
金融機関の理解と協力が得られるのです。

支店長から鋭く指摘された営業赤字解消に向けた対応策を練るために
社内のあらゆる分野のチェックから始めた。
営業部門・製造部門・物流部門・経理部門から
社員からパートまでの動き・役割をこと細かにチェックした。
このような事態になるまで経営者が決して指をくわえていたわけではなく、
当然リストラ・経費削減策は既に実行されていた。

徹底的に検証した結果、問題点が浮き彫りになってきた。
  1.スタッフ全員の意識の問題
  2.システム上の問題
  3.見えない無駄

やはりこの会社も行き着くところは同じ問題だった。
この三つの問題こそがこの会社だけでなく、中小企業
を経営危機・倒産に招く問題なのです。
この三つの問題について次回から
ひとつづつ具体的事例を元にしながら
私の考えを書いていこうと思います。
資金面での時間的猶予を作って、この三つの問題を解決すれば
中小零細企業は必ず復活できます。


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ターンアラウンド マネージャー 1

2006年02月02日 | 企業再建について
営業赤字に赤字収支という会社から約一年前に相談を受けた。
潤沢にあった資産を食い潰しながらここまで来たが、
その資産も底を尽き、駆け込んで来られた。
財務諸表をチェックすると非常に厳しい状況が確認できた。
スキームを決めるときに重要視するのは、
計数もさることながら、経営者のやる気である。
膝を突き合わせてゆっくり話を聞くと、
今までよく頑張ってこられたのが痛いほど理解できた。

金融機関や税理士・会計士などの中には中小企業経営者の
財務理解力・管理会計の甘さを嘲笑される方が少なからずいる。
しかし中小企業経営者の置かれた現実的な立場を
私は知っているだけに、そんな経営者を必死になって応援したい。
責任分担・役割分担が明確な大企業しか知らない人たちに、
中小企業経営者の抱える本当の苦悩が
わかってたまるかというのが正直な気持ちである。
自社のすべての分野の最終責任を一人で担い、個人保証まで取られて
オンオフの区別なく頑張っている中小企業経営者で
すべてを完璧にこなせるようなスーパーマンが
いるわけないじゃないですか。

時間をかけてじっくり話せば話すほど、この社長の
やる気・潰したくないという気迫が感じられ、
非常に厳しい状況でもやるだけやってみようと決心した。
執念が不可能を可能にする場面を何度も見てきただけに
やると決めたら徹底的にやりましょうと社長と約束した。
甘い期待は一切持たれないよう私的再建成功の確率は
非常に低いことを説明し、納得してもらった上での結論であるのは
言うまでもない。

早速現状の資金繰り状況のわかる資料と今後の事業計画
プランを作成の上、社長と共にメイン銀行に説明に伺い
元金のみならず利払いの一時凍結をお願いした。
ひと通り説明を聞き終えた支店長は激高して、
「今まで何人ものテレビに出るような方も含め専門家を見てきたが、
このようなケースで私的再建を果たした方にお会いしたことがない。」
とキッパリ言われ、営業赤字の会社に対して
あなたは何ができるのですか?
とまで呆れ顔で言われたのを今でもはっきり覚えている。

その言葉が私の闘志にさらなる大きな火をつけることになり、
「営業面まで踏み込んで徹底的にやりますので
どうか時間をください」とお願いして長く厳しい
全身全霊の戦いが幕を開けた。

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社長の決断

2006年02月01日 | 企業再建について
企業再生勉強会で名刺交換した税理士と会い
意見交換をした。中小零細企業の問題点は
よくご存知であったが、顧問先の倒産回避に役立つ
ノウハウを勉強して地元企業の赤ひげ先生になりたいと
おっしゃられていた。

一言で税理士と言っても千差万別である。
税理士に限らず、会計士・弁護士であっても
実は専門分野は各人違う。
医者と同じように資格取得までひと通りは勉強するが
実務での専門分野となると話は別である。
倒産回避案件でも医療と同じで、外科的処置と内科的処置があり、
案件によって両方の処置を施すこともある。
私的再建は内科的処置に入り、
法的再建や債権売却・営業譲渡・M&Aなどは外科的処置に入る。

外科的処置は確かに派手で即効性があり、最新スキーム
などと注目されやすい。
日々実務に携わる人間として少なからずその恩恵に預かっている。
しかし私なりにいつも意識しているのは
企業は人間の営みによって支えられているということである。

金銭面などの経済合理性考えたら、外科的処置のほうが
メリットがある場合が多い。
しかし外科的処置を常に優先的に考えてスキームを作ることが
正しいのかと聞かれたら、私はNoと答える。
私の担当先で私的再建に徹底的にこだわられた社長がいる。
外科的処置による倒産回避(この案件では民事再生法申立)
でないと、再建できる可能性はかなり低くなると
説明したにもかかわらず、仕入先が零細企業ばかりで
民事再生を申し立てたら彼らのほとんどが路頭に迷う
ので、何とか私的再建でお願いしたいと懇願された。
わずか数パーセントの可能性に賭けて私的再建に
全力を尽くした結果、一年近くかかってようやく
集中治療室から出て一般病棟に移れるくらいに回復してきた。
社長の勇気ある決断で金融機関とごく一部の債権者にしか
この会社の経営危機を知られずに済みそうである。
社長の価値観・人間性を見据えた上で最適のスキームを
提案することの重要性をこの案件を通して改めて気づかせていただいた。
きっとこの社長は以前経営状態が順調だった時より
輝いていると思う。


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