わが子にもう一年幼稚園に通ってもらうか、Prep(1年生になる前の準備コース)に入学させるか。
豪州在住の親にはよく迫られる選択。
LHは今年4月で6歳になりました。
日本だと年長さんの年だけど、こちらはだいたい入学です。(少なくともVic州では)
去年、また色々と悩みましたが、LHは1月末から毎日元気に学校に通っています!
去年の6月の時点では、LHはまだまだ他の子と比べて精神的に幼いというのと、言葉の遅れから、今年から学校は無理かもと思っていました。
4歳幼稚園では6月頃になると、幼稚園側は色々と書類のことがあるので、来年もリピートするかどうか決めるよう親に促してくるのです。
幼稚園の先生に相談すると「就学のための準備ができていないと思う」と言われ、もう一年4歳幼稚園に通わせようかと思案していたところだったので、難問の回答が出された感じでした。
が、GやGの家族、SPの先生や小児科の先生に言うと、No, no, no!
3歳と4歳幼稚園と、2年も幼稚園行ったんだから、もう行かなくてもいいというのがみんなの意見でした。
(私自身も周りの友達も昔は4年行くのが普通でしたが・・・。^^;)
幼稚園の先生たちが目安として使う「就学に適しているかどうか」という基準のようなものがあるのですが、うちのLHは精神的にすごく幼いのと、言語発達遅滞のことを主に挙げられました。
が、徐々に色んな人の話を聞くに従い、4歳幼稚園をもう一年リピートさせるのはLHにとってあまりメリットがないように思えてきました。
就学児を持つ先輩ママさん達によると、4歳幼稚園の6月以降の後半半年で精神的にも肉体的にも、ものすごく発達するわよーと聞き、先生に催促されながらも、もうちょっと様子を見ることにしました。
それに、もしLHをもう1年4歳クラスに通わせるとしたら、クラスメート達が5歳のお誕生日が来るまでは4歳の子達ばっかりになることに。
LHは4月で6歳になるのに、下手したらクラスの半分くらいが4歳児ということもありえるんだと気づいたら、もう幼稚園はいいや!と私も思うに至りました。
言葉の発達に関しても、やっぱり同年代でしっかりした子達にひっぱっていってもらうくらいがいいと思い、学校にやることに決めました。
それになにより、幼稚園が大嫌いになってたLHにもう一年同じ場所に通わせるなんてかわいそうでできないので、もしもう一年幼稚園にすると決心してたとしても、別のところか、PrePrepという幼稚園はリピートさせないけど準備学校にも通わせるには早いという子達のための1年コースに通わせることも考えました。
などど色々試案しながらも、先輩ママさん達が言ったように、去年の後半のLHの発達の様子を見てたら、11月、12月には学校にやっても大丈夫だと思うようになっていました。
学校選びにはまた色々と考えましたが、教育方針がすごく気に入った学校があったので去年8月に見学。
これはものすごくいい!と(私が)興奮するほど感激し、早速入学願書を送り、校長先生と面接して、9月頃には入学がきまり、今年1月28日からPrep生として通っています。
この学校は国内でもめずらしいデモクラティックスクールというものに分類される私立学校です。
日本でいう自由学校の一種です。
カリキュラムがなく、教育方針はSelf-directed learningという自主学習方法。
1年の終わりには国が定めたレベルまで到達できるようにはなっています。
ただ、個人個人に合ったスタディプランに添ってやっていくだけ。
低学年のうちは先生がスタディプランを立てますが、上級生達は先生と一緒に決めるようです。
学校の哲学は、子供たち主体で平等主義。
先生に対しても児童間でも上下関係がなく、全員ファーストネームで呼び合います。
集会中に先生でもおしゃべりしているとホールから追い出されたりするし、昔ながらの教育方針を取る学校から転任してきた先生が自主学習のやり方を放棄して自分のやりたいようにクラスをコントロールしだしたら、児童達が一丸となって抗議したことがあったんだそうです。
大人に対する基本的な礼儀を教えないことに賛同しない方もいるかと思うのですが、大人も子供も分け隔てなく、お互いが礼儀を持って尊重し合あう行動を取れば、小さい子達も自然にそういう言動を学んでいくんだと、児童たちを見ていて実感しました。
自主学習スタイルに関しては、何かネガティブな点はあるのかなと思って、ニュースのコラムなどで見られる学者さん達の意見をざっとネットで読んでみました。
すると、「自由」とか「自分で選択する」をはきちがえて、「勉強しない」「何もしない」という選択をする子が出てくるんじゃないか、とか、そういうスタイルが将来の「つらいこともがまんしてやる」という社会生活においてネガティブに出るのではということを危惧しているようでした。
LHが通っている学校を見ただけですが、勉強はみんな楽しいものとしてやっています。
上級生達も熱心にそれぞれの課題に取り組んでいるようです。
同じ課題をするということはないのですが、仮にあったとしても、A評価の子もいればB評価の子もいるというグレードでの評価はありません。課題を仕上げて発表した時点で学んだことになっているので、その学んだ行為をグレード評価しない、ということです。
1年の終わりには、国が定めたテストを受け、国全体の平均点に対して生徒がどのあたりにいるのかということを示すテスト結果は出ます。
が、基本的にはこの学校の勉強の仕方に「標準」的なものはありません。
子供の可能性を「標準」で考えない、というやり方なのです。
子供たちの義務に関しては、掃除とか面倒だと思うことも多少はあるようですが、「何もしない子」って一人もいないです。
先生とか学校の方針で強制的に生徒が何かさせられるという環境とは全く違うので、先生の目を盗んでさぼるとか、嫌々何かをするとかということはないんです。
みんな進んで何かやっていて、暇そうな子やさぼってそうな子は一人もいません。
勉強に関して言えば、実は私もLHが「勉強つまらん」と思ったら何もしなくなるんじゃないかという心配はありました。
(日本の普通の学校教育しか知らない私には、こういう学校の教育方針は全体的に心配といえば心配でしたが^^;)
が、Prepの1学期が終わった時点では、私の心配をよそにLHも他の子達も様々なことを大量に学んでいるのを見てただただ驚くばかりでした。
数字はあっという間に書けるようになり、数を数えるのもスラスラで、指を使った計算もするようになっていました。
読み書きはマイペースでやっているようですが、2学期の終わり頃には1音節の簡単な単語なら初めて見る語でも発音できるようになってきました。
ABCのアルファベットではなく、Phonicsといって、Cは/k/と発音するという音声の法則から学んでいきました。
3学期の現時点では先生や私が言った簡単な文章を子音だけで書くことができるようになり(怪文^^;)、「よく使う語」のカードやチャートを使ったりして、読みの知識を構築しています。
苦手なことに関しては、みんな決して後回しにはしていません。
自分のペースでコツコツと、しかも楽しみながらやっているだけ。
先生のやり方も「うまい!」の一言に尽きます。(笑
みんな入学時点でできなかったことが、ものの数週間でできるようになったのには親の私たちはびっくり。
年齢とかスピードじゃなくて、黒板も教科書もノートもない、遊びだけの環境で、というところに驚きました。
毎日持っていくバックパックの中身は、着替えとランチとスナックだけ。
勉強道具は教室に置いてくるんです。
大人社会での生活においてこの学校のやり方がどう影響するかなんて、今の時点では正直なんともかんとも予測も想像もつきません。
が、「標準教育」に合わせるために型にはめようとした幼稚園の教育方針のせいで徐々に萎えていき幼稚園大嫌いになってしまったLHが、今では2歳3歳の頃のようにケタケタとよく笑う、面白いこと大好きでハチャメチャ(!)な性格が戻り、仲のいい友達もできました。
幼稚園の先生からはまだ無理だと思われてた就学基準である「人の話を聞くこと」も「読み書き」も担任の先生からは「全然問題ない」の太鼓判をもらい、毎日楽しく学校に通っています。
きっと本人よりも親の私が一番、とてもいい学校に出会えてすごく幸運だと思っています。(笑