京アニ事件、弁護側が被告の責任能力争う見通し公判で最大の争点に
36人が犠牲になった2019年の京都アニメーション放火殺人事件で、殺人などの罪で起訴された青葉真司被告(45)の弁護側が、被告は事件当時、心神喪失か心神耗弱の状態だったとして、刑事責任能力を争う見通しであることが、関係者への取材で判明した。
被告は過去に精神疾患で通院歴があり、公判では責任能力の有無や程度が最大の争点になるとみられる。
京都地検が10日、遺族らを対象に説明会を開き、裁判員裁判の日程や争点について説明した。
初公判は京都地裁で今年9月5日に開かれる。
弁護側は起訴内容を認めた上で、「青葉被告には刑事責任能力がないか、あっても限定的だった」と訴える方針とみられる。
一方、検察側は完全責任能力があったと主張する。 捜査関係者によると、青葉被告は逮捕後の調べに「ガソリンを使えば多くの人を殺害できると思った」などと容疑を認めた一方、「京アニに小説を盗まれた」と供述。
過去に長短編小説などを応募していたが、盗作の事実は確認されていないという。
青葉被告も事件で重度のやけどを負ったが、治療を受けて会話ができる程度に回復した。地検は責任能力の有無を調べるため、約半年間にわたって被告を鑑定留置し、責任能力を問えると判断。20年12月、起訴に踏み切った。
その後も再度、精神鑑定が行われた。 起訴状によると、青葉被告は19年7月18日午前10時半ごろ、京アニの社員ら70人がいた第1スタジオ(京都市伏見区)にガソリンをまいて放火。
36人を殺害し、32人に重軽傷を負わせたとされる。【久保聡】
〔令和5年6月10日/毎日新聞〕
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ー 関連事件 ー
大阪北区クリーニング放火事件
大阪市北区曽根崎新地のクリニックで、2021年12月17日に26人が犠牲となった放火殺人事件が発生。患者だった谷本盛雄容疑者=死亡当時(61)=がガソリンをまいて火を放ち、クリニックは一瞬で炎と煙に包まれた。
事件で犠牲となったのは心療内科「西梅田こころとからだのクリニック」の西澤弘太郎院長(49)らスタッフと患者計26人。その命を奪ったのは高濃度の一酸化炭素を含んだ煙だった。
煙は約20秒でフロア全体にほぼ充満したことが解析会社のシミュレーションで判明。
2021年12月17日10時20分ごろ、大阪府大阪市北区曽根崎新地一丁目にて「ビルの4階が燃えている」と119番通報があり、
消防車両80台が出動した。現場は「堂島北ビル」で4階部分の約25 m2が焼損し、火はおよそ30分後にほぼ消し止められた。
火元と見られる4階には心療内科や精神科などを専門とするクリニック「働く人の西梅田こころとからだのクリニック」があった。
放火の疑いがあり、警察の捜査と消防が調査を行った結果、放火と立証された。また、その放火を行った犯人がビル内で見つかった重傷者(その後、蘇生後脳症で死亡)であることが判明した。
〔ウィキペディアより引用〕