CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

マイヨ・ロホの行方(11)

2024-09-09 13:48:20 | ブエルタ・ア・エスパーニャ
 今年のブエルタ・ア・エスパーニャは最終日の個人TTを2位で終えたログリッジが最多タイとなる4度目のマイヨ・ロホを獲得しました。前半で隙をつかれてベン・オコーナーに大きなタイム差を付けられてしまったログリッジでしたが、ブエルタ3連覇にジロも総合優勝している経験値か、非情に落ち着いた冷静な走りを見せていたのが印象的でした。

 ツール・ド・フランスではちょっとした焦りからか落車が多かったログリッジですが、今回はポガチャルもヴィンゲゴーもエヴェネプールもいないことで、自信を持って落ち着いて臨んでいた結果だったのではないでしょうか。ツールでビッグ4と呼ばれた選手のひとりなので勝って当たり前だったのかもしれませんが。
 山岳ステージで1分ずつタイム差を縮めながら、5秒差迄詰まって迎えた第19ステージでログリッジは勝負に出ます。誰もが最も厳しい第20ステージが勝負所となると考えていた隙をついて、チームのアシストをフル稼働してステージ優勝とマイヨ・ロホを獲得したのです。このステージを全力で攻めて20ステージは守りに徹することで、総合優勝をより安全且つ確実にすると考えたのでしょう。
 後のインタビューでチームメイトが全力で勝ちに行こうと決めたと言っていましたが、今季マイヨジョーヌを狙って移籍し、レッドブルというメインスポンサーを得ながら、ツールは落車でリタイヤとなってしまった悔しさもあったでしょう。
 第20ステージで食中毒疑いで多くのアシストを失ってしまうログリッジにとっては、第19ステージの貯金は大きかったと思います。争いは総合表彰台の2番手・3番手になってしまいましたが、マスとカラパスはTTが速く無いので20ステージがラストチャンスでしたが、マスはログリッジに先着してものの差は僅かに3秒でした。カラパスはログリッジから2秒遅れ、オコーナーもさらに2秒遅れで続き総合表彰台を確実なものにしました。

 やはり、今大会を面白くしてくれたのはオコーナーの奮闘でしょう。来季からジェイコへの移籍が決まっているオコーナーにとっては十分過ぎる貢献をチームに残せたと思います。どんどんタイム差を縮められながらも終始明るい表情を見せていて、落ち着いているなあと思って観ていたら、総合表彰台の2番目を獲得してしまったのですから。
 表彰台を逃してしまったEFのカラパスは早々にルイ・コスタとリゴベルト・ウランを落車で失ったのが痛かったと思います。3位のマスは最後の山岳でオコーナーとの差を付けられなかったのが痛恨だったでしょう。序盤で大きなタイム差を得たオコーナーがチーム力の弱い中、冷静なレース運びを見せたのが印象的でした。
 
 



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マイヨ・ロホの行方(10)

2024-09-07 13:05:05 | ブエルタ・ア・エスパーニャ
 ブエルタ・ア・エスパーニャの第19ステージはレッドブルがスタートから完璧なコントロールを見せ、ラスト5kmでウラソフの牽引から解き放たれたログリッジが独走でステージ優勝をもぎ取りました。オコーナーは遅れ1分54秒差の2位へと後退することになりました。

 難関とされる今日のステージでのリスクを回避するという意味でもこのステージのレッドブルの作戦は見事でした。序盤こそUAEも番手につけていましたが、強烈なレッドブルの牽引で徐々に遅れて行きました。山岳ポイントでは大きな動きは無くソレルが山岳賞をキープしていますが、UAEは今日のステージでは積極的に動く必要が出て来てしまいました。
 ただ、ログリッジがマイヨ・ロホを手にしたことでレッドブルが集団をコントロールすることになりますし、明日は最終日の個人TTなのでアシストは出し尽くしても問題が無い状況ですから、そう簡単に逃がしてもらえるかは疑問です。
 ログリッジは最終日のTTだけでも5秒差なら逆転が十分可能なので、無理をする必要はなかったのですが、この日の攻撃はリスク回避の意味合いが大きかったと見ています。オコーナーのデカトロンAG2Rの力ではプロトンのコントロールが出来ず、大きな逃げを許して来たことを考慮して、あえて自らがプロトンをコントロールすることで、大きな逃げのリスクを消し、混戦での落車などのリスクを回避するために速いペースを刻んでいたからです。

 最後の1級に入ってもレッドブルはアシストを6枚も残していて、ハイペースで登り対づけました。このペースでは流石のカラパスもアタックが出来ず、ログリッジはウラソフと共に後続を引き離して行くのです。
 間が空いたところでカラパスがアタックしますが、そこまでのペースが速過ぎてアタックにキレが無く、後続に追いつかれたばかりか、最後は遅れてしまいます。ただ、このカラパスのアタックで動き出した総合上位勢からオコーナーが遅れ始めます。結果、9位でゴールしたカラパスと総合2位のオコーナーとのタイム差は1分に縮まりましたから、今日のステージで総合表彰台は視界に入って来ました。

 これまでブエルタで3連覇、昨年はジロ・デ・イタリアを征しているログリッジ。本当はツール・ド・フランスでマイヨジョーヌを獲得するためにボーラ・ハンスグローエへ今季移籍したログリッジですが、落車で無念のリタイヤ。来季はエヴェネプールの移籍が噂されているので、マイヨジョーヌ獲得は難しくなると思いますが、ブエルタの4度目の総合優勝はほぼ確実になりました。
 おそらくマスが総合2位に上がり、3位表彰台をオコーナーとカラパスの争いになるでしょう。UAEは今日のステージ優勝と山岳賞を狙って来ると思いますが、頼みのシバコフがこの日も遅れ総合順位を落としてしまっているので、UAEの3大ツールの完全制覇の夢と消えました。今季はポガチャルのWツールとログリッジのブエルタ総合優勝で今年の3大ツールは全てスロベニア勢に持っていかれるという結果になりそうです。
 ボーラはレッドブルという大型スポンサーを得て、来季はエヴェネプールの移籍が実現しそうなので、来季はポガチャルのUAEはエヴェネプールとログリッジのWエース体制のレッドブルと戦うことになるでしょう。
 現時点でワールドランキング7位のレッドブルですが、来季はヴィスマを抜いて2位に上がって来ても不思議はありません。UAEはイネオスからジョナサン・ナルバエフを獲得するようですが、2年連続世界1のUAEですがそろそろポガチャル1強から脱却していかないと、レッドブルにその座を譲ることになるかもしれません。
 今回のブエルタで期待していたデルトロが思ったような成績を残せず、アルメイダがコロナで離脱してしまうと、ステージ2勝に山岳賞という寂しい結果になりそうです。やはりポガチャルを欠くUAEは輝けないのかもしれません。
 



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マイヨ・ロホの行方(9)

2024-09-06 15:18:00 | ブエルタ・ア・エスパーニャ
 ブエルタ・ア・エスパーニャ第18ステージはまたまたプロチームのエキポ・ケルンファルマが勝利し、ブエルタ3勝目を飾りました。最後の逃げに3人ものメンバーを乗せ、ワールドチーム顔負けの戦術での完璧な勝利でした。山岳ステージで2勝のカステリーリョに続きウルコ・ベラーデ。このままのメンバーならワールドチーム入りも可能なほどの力がありそうですが、こうしたチームは資金力が無いことが多いので、有力選手はワールドチームへ移籍して行くので、余程協力なスポンサーが見つからない限り、上のクラスに上がるのは難しいのです。

 このステージでも大きい集団の逃げを許してしまったメイン集団ですが、総合争いに絡んでいる選手がいなかったため、最大10分近い差を空けてしまいます。逃げには山岳賞ジャージのジェイ・ヴァインは乗っていなかったので、UAEは選手の調子を見てマルク・ソレルでの山岳賞に切り替えたのかもしれません。
 途中の2級と1級の山頂をトップ通過したソレルが山岳賞ジャージを獲得しています。ただ、最後は遅れてしまいまっているので、今日・明日の厳しい山岳ステージでジャージが守れるかは不明です。ただ、そこはUAEのことなので、明日はジェイ・ヴァインが逃げに乗ることもゼロではないでしょう。

 総合勢に大きな動きこそありませんでしたが、最後の1級山岳でEFのカラパスのアタックからミケル・ランダが遅れてしまいました。ランダが遅れたことで総合上位勢も牽引に加わり、3分以上のタイム差を付け、表彰台争いからランダを脱落させることに成功しています。

 この動きによって一番助けられたのはログリッジでしょう。オコーナーからわずか5秒差のログリッジは最後のTTまで動かなくても良い位置にいるのですから。対して総合表彰台を争うマスやカラパスはまず、オコーナーとのタイム差を詰めることが必要なのです。特に総合4位のカラパスは上にいる3人のうちひとりを上回らなければいかないのです。
 すぐ上のマスはここまでの走りから登りでは差を付けるのは難しそうなので、積極的に動いてオコーナーを引きずり降ろさないといけないのですが、この日はオコーナーを振り切ることはできませんでしたが、ライバルになりそうなランダに差を付けるという結果になりました。
 マスとカラパスは今日と明日で仕掛けてオコーナーを引き離す必要があるのです。山岳賞を狙うUAEも積極的に逃げに乗せてくるでしょう。この逃げにシバコフが乗れば、総合勢が動いてしまうので、シバコフを集団に残して、それ以外のメンバーでアタックが可能なのです。
 ただ、シバコフもログリッジに5分ほどのタイム差を付けられているので、どこかで動く必要があるのですが、アダム・イエーツとマルク・ソレルというサブエース級の選手を抱えるUAEなら、今日と明日は何かを仕掛けて来るかもしれません。
 とりあえず逃げにジェイ・ヴァインとデルトロを乗せ、途中でアダムやソレルを引き連れてシバコフがアタックするなんていうシナリオは面白そうなのですが…明日のステージは誰もが注目しているので、裏をかくなら今日でしょう。
 特に今年はポガチャルでWツールを征しているUAEにとっては3大ツールの完全制覇という昨年のヴィスマに並ぶ偉業の可能性もまだゼロではないので、何とかシバコフで大逆転は出来ないかとチームが考えていても不思議はないのです。
 ただ、今年のジロでもリタイヤしているように、最後まで踏ん張り切る力があるかどうかでしょう。2017年にU23カテゴリのレースで目覚ましい活躍を見せ、2018年にチームスカイ(現イネオス)でプロデビューしたシバコフ。ロシアのウクライナ侵攻もあり、国籍を居住しているフランスへ変更し、昨年UAEへ山岳アシストとして移籍して来ている選手です。どちらかというとシバコフを囮にしてアダムやソレルが暴れる可能性が高いのかもしれません。UAEはもうひとつのステージ優勝と山岳賞は最低限の目標でしょう。
 



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マイヨ・ロホの行方(8)

2024-09-05 11:57:14 | ブエルタ・ア・エスパーニャ
 ブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージは、予想通り山岳賞を狙うUAEがジェイ・ヴァインがマルク・ソレル、イサーク・デルトロと共に逃げに乗ります。ただ、この逃げ集団にはワウト・ファンアールトも乗り、一つ目の1級山岳ミラドール・デル・フィト(距離7.1km/平均7.9%)をジェイ・ヴァインを抑えてトップ通過。あれっという感じでした。

 クライマーのジェイ・ヴァインを山岳の山頂で負かしてしまうワウトの強さは分かりましたが、ポイント賞ジャージを着ているワウトが山岳賞も狙う意味が分かりません。確かに今年のブエルタは平坦にカテゴライズされたステージがひとつだけでしたから、ある程度登れるスプリンターでなければ勝てないことは分かっていましたし、ここ迄、ステージ3勝を挙げているワウトがステージ優勝を狙う過程で山岳ポイントも積み重なっていたのだと思っていたら、本気で山岳賞も取りに来ているように見えたからでした。
 ポイント賞ではカーデン・グローブスとは大きな差があり、クイーンステージは終わり超級山岳が残っていないのなら、上手く逃げに乗れれば山岳ポイントと中間スプリントポイントを積み上げられると考えたのかもしれません。「二兎を追うものは一兎も得ず」という諺はベルギーにはないのでしょうか?
 普通に考えたら、山岳ポイントはジェイ・ヴァインに譲って、UAEの3人と一緒に逃げて最後の1級の手前にある中間スプリントを取ることを目的にしそうなものですが、ワウトは本気で山岳ポイントも取りに来たということは、自分がこのチームのエースだという自負だったのかもしれません。
 本来ならジロ・デ・イタリアへの出場を予定していたので、ログリッジが抜けたチームでエースとしての役割が与えられていても不思議ではないのですが、ジロも3月の落車で出場出来ず、その結果、ツールを走ることになったのですが、自分のスプリントのアシストをヴィンゲゴーがしなかったことに激怒したとも伝えられ、チーム不和を不安視する報道もあったのです。結果、ツールでは未勝利に終わってしまいます。
 ブエルタはディフェンディングチャンピオンのセップ・クスがエースでしたが、クスが早々に遅れてしまい、クスがアシストに徹することでステージ3勝にポイント賞と山岳賞まで手にしてしまったワウト。春先の落車以降、良いところが無かったのが嘘のような活躍でした。
 そんなワウトは2つ目の1級山岳コリャダ・リョメーナ(距離7.6km/平均9.3%)も先頭で通過し、ジェイ・ヴァインとの差を広げて行きました。途中から降り始めた雨が路面を濡らす中の下りで、左にオーバーランした3人が落車。その中にワウトとデルトロの姿がありうました。デルトロは走り出したものの、岩肌に右膝を強く打ち付けたワウトは一度は乗車したものの、ペダリングが出来ずにリタイヤになってしまいました。

 ポイント賞と山岳賞を手にしていた選手がリタイヤしてしまうのですから、今年のヴィスマは本当に厄年のようです。骨折は無かったようですが、裂傷が深く、今季はこのまま休養になってしまう可能性が高いようです。結果論になってしまうのですが、山岳賞迄狙いに行かなければ、ステージ勝利を重ねポイント賞を手に出来ていたはずです。落車は貰事故でしたが、そもそも山岳賞まで狙わなければあの位置で下るリスクは無かったはずと思ってしまいます。

 レースは超級山岳ラゴス・デ・コバドンガ(距離12.5km/平均6.9%)で一番キツそうだったソレルが残り4.5kmで飛びし、UAEの意地を見せるステージ優勝を飾りました。ツールではポガチャルのアシストとして働いたご褒美なのかもしれません。UAEはワウトのリタイヤで山岳賞ジャージもジェイ・ヴァインが手にすることになりました。
 後方では総合争いもあり、オコーナーが遅れ、ログリッジに対するリードは5秒になってしまいました。3位のエンリク・マスは1分25秒、4位のリチャル・カラパスは1分46秒と差を詰めています。オコーナーのマイヨ・ロホは風前の灯になってしまいました。この差なら最終日の個人TTで確実にログリッジが確実にマイヨ・ロホを手にすることになるでしょう。

 ログリッジはオコーナーではなくマスとカラパスを徹底マークするはずです。特にマスはアシストも残しているので要注意です。カラパスはアシストの力が劣るので、どこかで自ら動くはずです。ログリッジはその動きをしっかりと見定めながら動けば良いのです。ただ、ツールでも最後に落車でリタイヤしている選手なので、マスとカラパスはアタックし続けることが重要になるでしょう。
 第17ステージは総合上位勢には休養日になりました。雨の中で神経を削るレースでしたが、総合上位勢には脚を休めることのできた1日でした。ただ、気温が急激に下がった雨の中のレースで山岳賞ジャージのジェイ・ヴァインが大きく遅れていたのが気がかりです。UAEはアルメイダが大きく遅れた翌日にコロナでリタイヤになっているからです。
 



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マイヨ・ロホの行方(7)

2024-09-03 15:46:43 | ブエルタ・ア・エスパーニャ
 リスボンでの個人TTで幕を開けたブエルタ・ア・エスパーニャ2024ですが、2週目を終えてベン・オコーナーがマイヨ・ロホという驚きの結果になっています。優勝候補のアルメイダがコロナでリタイヤ、ディフェンディングチャンピオンのヴィスマのセップ・クスも精彩を欠き、唯一ログリッジが1分3秒差の2位と意地を見せているものの、全体的には物足りなさを感じさせられるレースが続いています。

 とにかく今年のブエルタの前半は気温が高く、選手もチームも集中力を欠くシーンがありました。序盤戦こそワウト対グローブスというスプリント対決になっていましたが、各所で落車が多発していたのも暑さのせいだったのかもしれません。典型的だったのが第6ステージでした。最初の1時間の平均速度が48km/hを越えるハイスピードで展開し、アタックと吸収が繰り返された厳しいステージではありましたが、第4ステージで早くもマイヨ・ロホを手にしたログリッジのレッドブルがコントロールを完全に失い、ベン・オコーナーに6分以上の逃げを許してしまうのです。

 リポヴィッツを逃げに入れるまでは良かったものの、オコーナー達のアタックに付いて行けず、暑さもあってプロトンのペースが上がらず。オコーナーの平均速度が41.5kmだったことを考えれば、ログリッジ等がいたプロトンの平均速度は40kmに満たないものでした。これは選手より各チームの判断が誤りだった結果ではないでしょうか?第4ステージでログリッジから1分以上遅れていたオコーナーを脅威とはみていなかったのでしょう。
 思わぬマイヨ・ロホを手にすることになったデカトロンAG2Rですが、レッドブル以上に集団をコントロールする力が無く、これ以降は無秩序な逃げが形成されることが多くなって行きました。第7ステージではワウトのためにエースのクスが懸命なアシストをするというシーンが印象的でした。やっぱりクスはエースではなく典型的なアシストなのだと痛感させられました。

 第9ステージではエースのアルメイダをコロナで欠いたUAEが積極的に動き、アダム・イエーツが意地のステージ優勝を飾りましたが、表彰台に上がったアダムの顔は茹蛸のようでした。とにかく暑い。40度近い気温の中を200km近く走るというのは最早地獄でしょう。走っている分には適度に風を受けるので体感温度は下がりますが、この気温なら体感温度は30度を超えるはずです。しかも炎天下で直射日光も浴びるので、体力は極限まで削られることになるのです。

 2週目は北部に移り気温も下がり、レースも落ち着きを見せるかと思いきや、やはりデカトロンAG2Rのチーム力は弱く、逃げによる決着が続くことになります。厳しい山岳ステージが続く中、気を吐いたのは地元のプロチームに所属するパブロ・カストリーリョでした。第12ステージに続きクイーンステージも征してしまった23歳は、来季は主力チームへ移籍が確定でしょう。

 1級山岳でワウトがステージ優勝をしたり、プロチームの無名の若手がクイーンステージを征したりと、予想外のことが起きている今年のブエルタですが、昨年はユンボ・ヴィスマがワン・ツー・スリー独占でしたが、今年はヴィスマからボーラへ移籍したログリッジが昨年の悔しさを晴らすのでしょう。個人的にはカラパスに勝ってもらいたいのですが、アシストがいないのです。

 最終日に個人TTがあるので、ログリッジ以外の総合上位勢は第20ステージまでの山岳でログリッジを逆転しておく必要があります。昨年のジロでは最後のTTで57秒差を大逆転して見せたログリッジはTTでは頭ひとつ抜けているからです。総合3位のエンリク・マス、4位のカラパス。5位のミケル・ランダまでが3分ほどの差なので、逆転不可能ではありませんが、ブエルタは急勾配ですが距離が短い山岳が多く、大きなタイム差を付けづらいので、オコーナーが粘りを見せれば最終日までもつれる展開もありえます。
 アルメイダを失っているUAEは積極的に来るでしょう。ジェイ・ヴァインの山岳賞もありますが、アダムやシバコフが大逃げで一発逆転を狙ってくる可能性もゼロではありません。UAEにしても3大ツール完全制覇がかかっているのですから、そう簡単に諦めるとは思えないのです。デルトロは予想外でしたが、どこかで一発を狙って来るかもしれません。マルク・ソレルにパヴェル・シヴァコフ、ジェイ・ヴァインに今回ステージ優勝を挙げているアダム・イエーツと他のチームなら間違いなくエース級の選手が揃っているのです。ブエルタの最終週が今夜から始まります。
 



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