CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

黒いダイヤモンド(7)

2025-01-14 14:36:41 | その他
  中国の一人当たりのCO2排出量は7.76トンと日本よりも低いのですが、いかんせん人口が多いのです。ただ、今や人口が世界一になりつつあるインドは1 人あたりの CO2 排出量は 1.58 トンと中国の6分の1なのです。インドでは近年健康被害が出る状況になっていて、クリーンエネルギー化も進んでいるようなので、インドが第2の中国になる心配はなさそうですが、こうした人口の多い途上国がエネルギーに石炭を使うことを誰も止めらないのです。

 日本は先進国故に石炭火力発電を責められている訳です。地震のリスクが無いため原子力発電で電力を賄えるフランスや、人口が少ない北欧諸国とは事情が違うのです。世界は自動車のEV化を称賛していますが、その電力はどこから得るのかを考えてみて下さい。おそらくこのままAIとEV車が普及していくと電力は必ず不足します。

 電気自動車の生産量トップはテスラ社でアメリカの企業です。また、3位のBYDと4位のSGMWは共に中国の企業なのです。CO2排出量国のトップ2が電気自動車を沢山造っているというのは皮肉でしょうか?これだけ電気自動車を作ってもCO2の排出量は減るどころか、むしろ増える傾向にあるのです。世界1位の販売台数を誇るトヨタはEV市場では24位と大きく出遅れています。世界2位のフォルクスワーゲンも同様です。900万台近いトヨタやフォルクスワーゲンに対し、テスラは180万台と規模が大違いなのです。

 国際エネルギー機関(IEA)は、2023年の世界のEVとプラグインハイブリッド車(PHV)の新車販売台数は、ガソリン車などを含む全販売台数に占める割合が18%に拡大したと発表しています。これだけ電気自動車が増えているのにCO2の排出量は右肩上がりで、2023年の世界の温室効果ガスの排出量は571億トン(二酸化炭素換算)に及び、前年から1.3%増加して過去最多になったとする報告書を国連環境計画(UNEP)が公表しています。
 



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黒いダイヤモンド(6)

2025-01-11 09:48:17 | その他
 中国やアメリカといった大国のCO2排出量が全世界の45%以上を占めているが大きな問題だと思っています。特に32%以上を占める中国のCO2を何とかしなければ、地球の温暖化を止めるのは夢のまた夢なのです。1990年代には世界一のCO2排出国だったアメリカは中国に次ぐ順位になってはいますが、CO2排出量自体が減っている訳ではありません。それだけ中国が突出しているのです。

 加えて、近年アメリカで増えている山火事を問題視しています。これも温暖化の大きな要因のひとつだと考えられるからです。石炭は植物の化石ですが、山火事で燃えているのは天然の木材や植物でCO2の排出量は図りしれないのです。今回のハリウッド郊外の山火事被害は数兆円規模の大災害になっています。

 バイデン政権ではCO2削減に動いていたアメリカですが、トランプ政権では期待薄です。毎年のように山火事やハリケーンによる大きな被害を出しているこの国がさらに自国優先を考えれば、CO2削減は間違いなく後退します。この辺りを電気自動車のトップ企業テスラ社のCEOであるイーロン・マスクがどう考えるかが鍵となりそうです。少なくともこれまでイーロン・マスクは「環境派」「気候変動積極支持派」を自称してきているのですから。

 日本はもっと積極的に石炭発電のCO2削減技術を世界に広める役割を果たしても良いのではないでしょうか?過去に日本は石炭火力輸出に関し、一定条件を満たした場合に限り、国際協力銀行(JBIC)の低利融資などで輸出コスト引き下げを支援してきました。ところが、日本による海外輸出には「温暖化ガス排出を長期に固定化する」との国際的な批判が強く、米バイデン政権のケリー大統領特使や英国のジョンソン首相は支援停止を求めていました。こうした外国政府からの働きかけや、海外投資家からの反発を受け、日本政府は脱炭素重視の米欧と歩調を合わせることになります。具体的にはJBICによる低利融資の提供をやめてしまうのです。

 これは日本の支援の在り方にも問題があったと考えています。OECDのような資金援助ではなくCO2を減らす技術を前面に打ち出して輸出するべきだったのではないでしょうか?まあ、これだけの技術力でCO2や環境破壊物質を減らしていても、火力発電をしているだけで世界から非難なされるのですから。一方で自国の破壊のみならず、海洋汚染の危険性すら秘めている原子力発電に関しては何も言われないのが不思議な限りです。
 

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「特異性」という大原則

2025-01-06 13:41:28 | その他
 スポーツのトレーニングに「特異性」という大原則があります。サイクルロードレースでも高地トレーニングでVO2MAXを増やすという試みがさかんになされているのです。山岳ステージを征する者がグランツールを征すると言われているからです。

 今年の箱根駅伝を見ていて、青山学院大学は箱根の山を征し、箱根駅伝連覇を達成したといえるでしょう。往路1区で飛び出した中央大学が4区までトップを守り続けていましたが、5区山登りで青学の逆転を許してしまいます。1万mのタイムでは上回っていた中央大学ですが、登りで遅れ、下りではさらに順位を落としてしまいました。

 逆に箱根の山で躍動したのが青学でした。2位駒澤大学との総合タイム差は2分48秒。うち山の5区+6区だけで2分35秒差がついています。平地8区間の差は13秒だけ青学が速いのですが、これだけならどっちにも転びうる微差なのです。出雲と全日本を征して3冠を狙った3位國學院は、総合で青学と9分28秒差でしたが、そのうち6分41秒が山での差なのです。

 ともに区間新記録をマークし、青学大の連覇に貢献した5区の若林宏樹と6区の野村昭夢。なぜ青学大は毎年、山区間を「外さない」のでしょう。平地の駅伝では国学院大学のスピードに対応できなかった青学が山に勝負をかけてきた結果だと思います。そしてその勝負に勝った青学が箱根を連覇してしまうのです。1万mのタイムは遅くても山の登りと下りは走り方が独特で、山の適正も大いにあると思っています。

 NumberWebのインタビューで青学の原監督は「箱根駅伝は山上り、下り(の戦力)を持っていれば、優勝だけではなくてシード争いも優位になります。区間1位と2位以下のタイム差が一番広がりやすいのが山上り、山下り。そこを攻略しないことには昨今の箱根駅伝では勝てないでしょうね」と答えているのです。
 1万mのタイムでは中央大学や国学院大学が上回っていたのですが、スペシャリスト不在で総合5位と3位という結果に終わっています。ただ、若林も野村も4年生ですから、他大学も山のスペシャリストを育てることができれば平地のタイム的に青学を上回ることは可能でしょう。

 且つての青学には『山の神』と呼ばれた神野大地という選手がいました。小柄で細身の選手でしたが、登りが抜群に速かった。サイクルロードレースでいうクライマー体形のランナーでした。今年の若林も京都の洛南高に進学後、山上りの練習メニューではライバルたちに先行したそうです。そうしたスペシャリストにしっかりと目を付けて入学させる青学は流石というしかありません。

 単に5000mや10000mのタイムとは違い、登りや下りの才能を見極めるのは非常に難しいことなのかもしれませんが、ロードバイクのようにスマートトレーナーを使って、パワーや心拍数を計測すれば、登りの向き不向きが見極められるのではと思っています。数値が高く5000mや10000mのタイムが良い選手はトラックや駅伝の平地区間を、数値が高いのにトラックのタイムが出せない選手はクロスカントリーや登りの走りを試してみることは出来ないものでしょうか。
 陸上の長距離選手なら心肺機能が高い人たちばかりなのでしょうが、そんな選手の中でも5000mや10000mのタイムが出せる人とそうでない人がいるはずです。箱根路を走ることの出来る選手は毎年10人だけですが、必ずしも10000mやハーフマラソンのタイムが良い選手が勝てるとは限らないのが箱根駅伝なのです。特に標高800mを超える箱根の山をどう攻略するのかという「特異性」が勝敗を分けることはどの大学の監督も分かっているはずなのです。ただ、山のスペシャリストを見出し鍛える術が青学の原監督にはあるのでしょう。
 





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黒いダイヤモンド(5)

2025-01-04 14:12:46 | その他
 2021年、イギリスのグラスゴーで開催されたCOP26(第26回国連気候変動枠組条約締約国会議)で、日本は「化石賞」という不名誉な賞を受賞しました。この賞はCOPの開催期間中、気候変動対策に対し消極的な姿勢を示している国や地域などに、皮肉を込めて贈られる賞です。受賞の理由は、首脳級会合に登壇した岸田総理が、「火力発電のゼロ・エミッション化」を前提としながらも、石炭などを用いた火力発電の継続を表明したことでした。

 商業捕鯨もそうですが、科学的な根拠を示した上で実施ているにも関わらず、環境保護団体から非難されているのです。石炭火力発電にしても、日本の技術は最先端でCO2やNox(窒素酸化物)やSox(硫黄酸化物)などの有害物質の排出低減をした上で行われているのです。

 石炭を使わないですむなら使いたくないのは日本に限らず、どの国も同じでしょう。それでも使用されるのは、安価で手に入るからです。石油や天然ガスは、採れる場所が世界の中でも限られていますが、石炭の採れる場所は広い地域に分布しており、採掘できる期間も長いため調達しやすく、価格も安定しています。つまり石炭は経済性に優れているため、途上国では今でも石炭火力の発電施設が多く使われているのです。

 CO2の排出量は中国が日本の10倍と圧倒的です。アメリカも日本の5倍です。人口の割にCO2排出量が少ないインドやロシアでさえ日本の2倍以上の排出量があるのです。日本より排出量が少ないドイツでさえ、人口一人当たりの排出量でみれば大きな差はないのです。

 現実問題として石油の利権を巡る紛争や政治的駆け引きもあります。それは、同じ化石燃料でも石油は採掘できる場所が限られていることが原因です。政治状況が不安定な中東に加え、資源大国のロシアのウクライナ侵攻で、世界のエネルギー事情が大きく変わりつつあります。また、ドイツなど脱原発を決めた国もあります。クリーンエネルギーは未だ不安定ですから、今を繋ぐエネルギーとして石炭による火力発電はやむおえないと考えています。
 



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黒いダイヤモンド(4)

2024-12-31 13:07:11 | その他
 それでも、風力発電や太陽光発電のようにCO2がゼロにはなりません。AIや電気自動車の普及でさらなる電力が必要になる時代にエネルギー問題は避けては通れない大きな課題です。電力の安定供給を考えれば、石油やLPG(液化天然ガス)などの輸入に大きく依存するのは大変危険です。今でも戦争や円安の影響で原油価格の高騰が続いているのですから。

 太平洋戦争は石油の輸入を止められた結果だともいわれているのです。食料もそうですが、自給率が下がるのは国家としてリスクが非常に高いのです。それでも小さな島国日本は資源を輸入に依存せざるを得ないのです。かといって、原子力発電に頼るのは福島第1原発事故を見るまでもなく大変危険です。

 原子力発電はカーボンニュートラルには有効な発電方法かもしれませんが、廃炉ひとつに何十年もかかる施設が国内に33もあるのです。稼働しているのは12基ですが、使用済み核燃料の保存先も大きな問題になっています。日本が保有するプルトニウムの総量は、2023年末時点で約44.5トンもあるのです。長崎に投下された原爆には6キログラムのプルトニウムが含まれていたと言われていますので、長崎型原爆7400個分以上にも相当するのです。

 『海に眠るダイヤモンド』で炭鉱と共に長崎の被爆者の姿も描かれており、被爆した妊婦がお腹の子供の将来を心配するシーンが印象的でした。CO2を排出する石炭火力発電とクリーンエネルギーを謳う原子力発電のどちらが悪なのでしょう。日本の石炭の埋蔵量は、無煙炭と瀝青炭を含めて約3億6千万トンと言われています。にも拘わらず、日本で採掘を続けているのは北海道釧路市の「釧路コールマイン」のみで、年間生産量は100万トン程度となっているのです。


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