次に、速度を落としたままだと、登坂時間が長くなり、苦しさも長く続くことになりますから、多少なりとも速度を上げる為にギアをかけて走るトレーニングが必要になります。
それが、私の『アウタートップ・トレーニング』でした。ケイデンスは気にせず、できるだけ重たいギアで走ること。ギアを軽くしてケイデンスを上げた方が速度が出ると分っていても、できるだけ重いギアを踏み続けるというトレーニングです。いわば脚の筋トレという訳です。
こうして重いギアを使っていると、ペダリングも変わってきます。高いケイデンスでクランクを回す場合と異なり、重いギアを回そうとするとペダルを真下に踏み込むようになり、結果、パワーロスが生まれ、なかなかスピードが上がらないことになります。
そこで、重たいギアを効率よく回すために、踵を少し下げ、斜め前に踏み込むペダリングを覚えました。教科書には踵を下げるペダリングは良くないと書かれていますが、実際に重たいギアを回す場合、踵を下げた方が脚は良く回ってくれ、パワーの伝達効率も良くなる感じがあります。また、通常のペダリングとは違う筋肉を使うので、筋肉に対する負荷を分散させるためにも効果的だと考えています。
個人的にはギアをかけて加速する時や、急勾配を登る時などにこのペダリングを使うようにしています。ダンシング同様に高付加のペダリングになるので、長い時間は使えませんが。私はダンシングが上手くありませんから、必然的にこのペダリングが多くなります。ある程度のケイデンスも維持できるので、ダンシングより効率的な感じがしています。
また、ケイデンスを上げて行く為にもこのようなパワー・トレーニングは不可欠だと感じています。1年前はケイデンスを上げることばかりに夢中で、リア21Tや19Tをローラー台では多用していました。このギアだと90rpm以上回しても速度は30km/h程度にしかなりませんが、心拍数は上がり、消費するエネルギーが多くなってしまうのです。
今年は無理にケイデンスを上げることはせず、速度を上げるトレーニングをしています。先に記したように、私の場合、ケイデンスが80rpmだとリア17Tで約30km/h、16Tで32km/h、15Tだと34km/h、14Tなら36km/h、アウター・トップの12Tで40km/h程度の速度となります。
心拍数は80rpmを維持すると、17Tで120bpm代、16Tで130bpm代、15Tになると140bpm~150bpm、14Tだと160bpm代へと突入します。正直、心拍数が160bpm代にまで上がるとかなりキツク感じます。
私の最大心拍数は190bpm前後だと思いますが、160bpmという心拍数は最大心拍数の85%にもなるのです。元々心拍数は高い方なのですが、ここまでの心拍数だと運動時間は30分が限界になります。従って10km程度の峠ならなんとかできても、それ以上は無理という計算になる訳です。
北海道には1時間以上を延々と登る峠が沢山ありますので、心拍を抑えながら登る必要があるのです。そのためにも重たいギアである程度ふんばる脚力が不可欠になる訳です。本来であればこうした長い登りほど、軽いギアをクルクル回す方が効率が良いのは確かなのですが、私の場合は心拍数が上がり過ぎてしまうので難しいのが実情です。
私は登りではケイデンスが60~70rpm程度で回せるギアを選択するようにしています。以前は登りになると必ずフロント・インナーを使う走りをしていたのですが、昨年は緩斜面ではケイデンスが落ちてもアウターで走ることを心掛けてきました。とにかく脚が重たいギアに慣れてくると、インナーギアが軽く感じる効果が特に大きいと思います。
3月に入りシーズンインが近づいて来ていますので、今月は徐々にギアをかけ、十分に脚力を付けた状態でシーズンを迎えたいと考えているところです。