朝起きてみると、今までにない晴天。放射冷却現象で、お外の気温は多分マイナス15度くらい。寒いけれども、屋根の雪下ろし日和ということで、厚着して、いざ屋根に上りました。ダイヤモンドダストがキラキラと輝いてきれいです。
何度か雪を下ろしていると、腰も痛いですが、もう暑くて・・・ダウンを脱いで・・・フリースも脱いで、結局長袖のTシャツ一枚での作業になりました。
しばらくすると・・・「ヘックション!」クシャミが出ました。鼻がムズムズ。ん?風邪をひいたかな・・・「ヘックション!」「ヘックション!」連続で、どんどんクシャミが出ます。「ヘックション!」クシャミが止まりません。鼻はムズムズ。
どうもおかしい、風邪の感じではありません。鼻のムズムズで、ふと気づきました。これは寒さのせいでは?
そうです。あまりにしばらくぶりで忘れていましたが、これってスキーに行った時によくあることなのです。鼻毛が凍っているんです。鼻毛が凍って、豚の毛のように固くなっているので、常に鼻の粘膜を刺激するので、クシャミが次から次と出るのでした。
クシャミをしながら一時間ほど過ぎると、気温も少し上がったようで、徐々にクシャミも出なくなりました。下ろす雪はまだまだあります。
鼻毛で思い出しました。札幌の我家を買う前、まだテナントで食堂をしていた時ですから、15年ほど前でしょうか・・・
近くのスーパーの朝市に行った時、よく利用してくれるお得意さんに会いました。ある会社の営業マンをしている、当時40くらいのバツ2の人です。仕事は一生懸命なのですが、飲むのと、女性が好きで(体も大きく、持てそうな顔もしているのです)その辺りがバツ2の原因のようでした。
その彼の傍らに男好きしそうな小柄の女性がいました。彼が、その女性を紹介してくれました。名前と、バスガイドをしていることを知りました。彼は「結婚しようと思っている」と嬉しそうに言いました。彼女もニコニコと嬉しそうです。
派手というのとは違うのですが、なんとなく私の好みとは違うのです。かわいい顔をしているし、人懐っこい感じで、ニコニコしていて感じが良さそうなのですが・・・なんとなく、不潔感を感じたのです。・・・それは・・・・彼女の鼻から出ていた一本の鼻毛のせいかもしれません。それはまさにバカボンのパパの鼻毛と同じくくっきりと一本まっすぐ伸びていました(パパは3本ですけど・・・)
その彼女に会ってから2ヶ月ほど過ぎた朝、新聞の社会面を見てビックリしました。写真は出ていませんでしたが、バスガイド、彼女の覚えやすい名前、首を絞めて殺されていた。これらが書かれていました。犯人に関しては何も書かれていません。
妻と・・・「まさか・・・彼が犯人じゃないよね。」「いや、あの鼻毛からして、他にも男がいたんじゃないか」「だから、三角関係から・・・」心配したのはあの彼のことでした。朝市で会って以来一度も、店に顔を出していないので、その後の展開は分からなかったのです。
事件が起きたのは、同じ区の中。という事で、事件の捜査をしているのはみんな顔見知りの警察官です。
殺人は刑事一課の強行班係の担当です。お昼の出前の時、係長に声を掛けると、係長もビックリ。私が殺された女性を知っている事にも驚いたようですが、それ以上に、その殺された女性の男性関係で、例の彼を探していたそうなのです。
係長の話からすると、どうもすでに容疑者はあがっているようで、人間関係の確認のために、彼女の交友関係を捜査しているようでした。
彼のことを警察に話したので、そのことを彼に連絡しました。彼も警察に出頭した方がいいのか迷っていたそうです。警察に行くというので、係長の名前を教えて行ってもらいました。
警察の帰りに彼が店に顔を出しました。殺された女性は、男性の出入りが激しくて、さすがの彼も1ヵ月ほど前に別れていたそうです。「イヤー別れていてよかったよ。そうでなかったら疑われていたよね。どうも一度会った事のある、あの男が犯人らしい」彼は高揚した感じで、嬉々として話して帰りました。
後日、彼の言っていた男が犯人として逮捕され、一件落着となったのです。あとにも先にも(まだこの先は分かりませんが・・・)殺人事件の被害者と関った事はありません。
事件が事件でショッキングだった事と、かわいらしそうな顔から、ニョキッと伸びた鼻毛のアンバランス。今も鼻毛というと、この事件を思い出します。