イギリス生まれの歌手であり、女優のジェーン・バーキンをご存じでしょうか?と言うか、私は歌手としての彼女しか知らないので、映画とかお好きな方は、私よりもっと良くご存じなのでしょうけれど。
女性ヴォーカルと言えば、儚げなウィスパーリング・ヴォイスには、からきし弱い私ですので、彼女とかクロディーヌ・ロンジェ、パリス・シスターズとかは大好きで… そこが私の彼女への入口となったのですが。
彼女の3枚目のアルバムの中に「Ex Fan Des Sixties」、邦題が 「想い出のロックン・ローラー」 という曲があり、これは60年代に活躍し、その後解散してしまったグループの名とか、遠くに旅立ってしまったミュージシャンへの想いを歌った歌で、中には多くの懐かしい名前が織り込まれています。
60年代に夢中だったあなた、バーズ、ドアーズ、アニマルズ… どこへ行ってしまったの?ジム・モリソン、エディ・コクラン…それにオーティス・レディング、ジャニス・ジョプリン…
ロックン・ロールで踊ってばかりいた60年代に夢中だったあなた…などの歌詞はフランス語ですから、和訳を見ないと理解出来ないのですが、60年代のロック・スターの名は世界共通なので、この部分だけは大丈夫。
彼女は、1946年12月のロンドンの生まれだそうですから、まさしくこの歌詞は彼女のリアルタイムの青春だったのでしょう。きっと、ミニ・スカートの裾をひるがえし、街を闊歩して、ディスコで踊っていたのでしょうね?
そしてシャドウズやアニマルズ、そしてビートルズなどの、イギリスのロック黎明期からのバンドをいくつも見て、聞いて来たのでしょう。
歳は彼女が少しお姉さんなのですが、この歌を聞くと、同世代?として親近感を覚えます。
海を越えた見知らぬ土地でも、好きなミュージシャンを通して、同時代・同世代が世界とつながっていたような気がして。
その後フランスに移り住み、フランフ・ギャルの「夢見るシャンソン人形」などを作った一癖ある歌手・作曲家・マルチアーティストのセルジュ・ゲンスブールと出会い、あの「ジュ・テーム」を発表しその言葉は分からなくとも、何とも思わせぶりな喘ぎ声を入れたあの歌、これが彼女の歌手としてのデビューだそうですが、その "大人の歌” は、まだ純情だった当時の私を赤面させるには充分で……懐かしい時代でした。
「想い出のロックン・ローラー」では、旅立ったミュージシャンを想うのに、遠くに思いを馳せるような彼女の歌声がとてもマッチして、行った事の無いロンドンのの60年代が浮んでくる気がしますした。セピア色の写真になって…
そして今月16日に、今度は彼女が旅立ったそうです。
ご冥福をお祈り申し上げます。
※ 以上は、以前のブログで2020/07/13に書いた「Ex-fan Des Sixties/Jane Birkin」に一部加筆したものです。