私はゴスペルも好きですが、聞くのは主にカルテット・スタイルの男性ばかりで、女性はほぼ聞かないのですが、シャーリー・シーザーとメイヴィス・ステイプルズだけは別です。
ローバック・スティプルズが息子パーヴィスと、娘二人とで結成したザ・ステイプル・シンガーズは、私好みのカルテット・スタイルでは無く、またローバックの弾くブルージー・ファンクとでも言うべきギターもあまり好みでは無かったのですが、60年代後半のスタックスへの移籍後はポップ・ゴスペル調になり、ソウルやロックの曲も多く取り入れて、メイヴィスのヴォーカルもグンと活きてきたように感じられ、その頃から彼女を聞くようになりました。
この時代のアルバムで私が好きなのは 「ソウル・フォーク・イン・アクション」 で、収録曲ではオーティスの「ドック・オブ・ザ・ベイ」や、ザ・バンドの「ザ・ウェイト」といった曲も取り上げ、それはそれで悪い出来では無かったのですが、私はH・バンクスの書いた 「ザ・ゲットー」 や、S・クロッパーの書いた 「スロー・トレイン」 の方がお気に入りでした。
これらの曲での、メイヴィスのハスキーで、かつ押えていながら元々の声量や厚さ、といったものが感じられる歌い方が好きです。
それに比べ、後に一番のヒットとなった「リスペクト・ユアセルフ」なども悪くは無いけれど、私はあのファンキー調のナンバーは好みに合わないし、キレの良さは感じられても、声の厚みまで感じとるには、私の耳は鈍感に出来ていて…
メイヴィスというと、2年前にミニシアターなどで上映され、音楽ファンの話題となった映画 「サマー・オブ・ソウル」 の中で、"女王" マヘリア・ジャクソンと、掛け合いで歌ったシーンも、強く印象に残っています。
この映画は、伝説の野外音楽フェスティバル、「ウッドストック」が開催された1969年に開かれたもう一つの野外フェス、「ハーレム・カルチュラル・フェスティバル」の、なぜか当時は発表されないままに、50年間も埋もれたままだった映像と、当時の出演者があの時を語るインタビューを交えた素晴らしい映画でした。
ソウル・ブルーズ・ジャズ・ゴスペルなどのブラック・ミュージックの、大御所の映像にも興奮しましたが、中でもメイヴィスとマヘリア・ジャクソンの掛け合いは興奮したなぁ。
映像から伝わる当時の熱気やファッション。メイヴィスやグラディス・ナイトのスカート丈(当時はミニが全盛でした)やら、スライ&ザ・ファミリー・ストーンのファッションなどに、あらためてアメリカの音楽・文化に憧れたあの青春時代がよみがえり、血が熱くなった(?)素敵な映画でした。
今日7月10日はメイヴィスの83歳のお誕生日。ということで、どうぞメイヴィスさん、いつまでも若々しく、元気でお過ごしくださいね。
以上、【聞きたい365日 第355話】でした。