どうでもいい話ですが、私は毎月第1日曜日のスカパー無料放送日に、music-on325チャンネルで放送される「カラオケランキング50」を録画して楽しんでおります。この習慣を久々に再開した昨年夏に一番強烈なインパクトを与えてくれた曲がback numberの「高嶺の花子さん」でして、キャッチーなメロディと妄想恋愛をベースとした自虐的な歌詞とが見事に融合し、実に味わい深い一品。いまや私のカラオケの定番曲ともなっております。
back number - 高嶺の花子さん公式PV(1コーラス)
さて、このPVの撮影場所となったのが台湾。
台湾と言えば、当地を代表するカリスマ経営者・郭台銘(テリー・ゴウ)氏率いる世界最大のメーカー・鴻海(ホンハイ)。
そして、鴻海と言えば、産業革新機構との間で繰り広げている、シャープ買収合戦。(・・・やっとここまで来た)
買収金額を7,000億円まで一気に引き上げるなど、鴻海にとってシャープはのどから手がでる「高嶺の花」。
いろんなニュースや論評が出回っておりますが、何となくですが、流れは鴻海に傾きかかっているようですね。
そこで今回はテリー・ゴウ氏が一体どんな考えの持ち主なのかを同氏の語録からピックアップしてみました。これがなかなか味わい深いです(なお、後半に財務管理に関するコメントをまとめていますが、翻訳の関係もあって少々わかりづらいかも)
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・できるかどうかは問題ではない。行動するかどうかだ。
・順境の道には見える空が限られている。人間は逆境の道を歩かなくてはならない。若ければ若いうちが良い。逆境は成長のチャンスを与えてくれる。
・品質とは価値および尊厳の始まりであり、企業存続の命綱である。
・成功は最悪の助言者である。ただ無知と臆病をもたらすだけで、次の成功に導く経験と知恵を提供しない。
・企業には景気の問題はなく、あるのは能力の問題だ。
・決断の間違いは、浪費の根源である。
・いわゆる「コンサルタント」とは、「今は何時ですか」と聞けば、あなたの付けいている腕時計を見て「今は何時です」と答える人である。
・企業の財務管理は簡潔かつ直接各部門が責任を持つことで人為的ミスを防ぐ。
鴻海では先に全ての部門を「利潤センター」「コストセンター」「費用センター」に分けている。
費用センター=一定の予算が決められていて予算内で成果を出さなければならない。例えば、行政部門、法務部門など。
コストセンター=システム物流部門や技術支援部門など、コストを別の部門に転嫁する役割を果たし、利潤センターと互いに牽制。
利潤センター=鴻海の部門数では最も多く、財務をまとめて上に提出する力を備える必要がある。
↓
鴻海の財務諸表はそれぞれの従業員からボトムアップするので、途中から不正操作しようとする輩を排除できる
↓
「作成する帳簿は1つだけ」。
・企業の「信用度」は8つの大項目に由来する。
(1)経営層の安定性:社長や財務責任者がコロコロ変われば間違いなく経営の成果は顕われない。
(2)上級管理者の真剣さ:専門マネジャーの投入度と専門性は、会社経営者として基本のことである。
(3)グローバル化の平衡性:「世界はフラット」という状況下、どの会社でもグローバル化できる能力を備える。
(4)戦略的決定の速さ:会社の株主権を明確にし、権限付与が完全であれば、最短時間でコンセンサスが持てるのである。
(5)従業員利益の密着度:制度の完全性を推進することで、企業は従業員と利益を分ちあえる。
(6)顧客の分散度:多様化する市場および製品、業績が堅実に成長すること。
(7)テクノロジーの掌握:核心的特許を持ち、技術に由来する発展であること。
(8)チームの強調と一体化:効率ある組織構成により、全体の成果が展開できる。
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さほど目新しいものはないのですが、経験と実績に培われた言葉には重みを感じます。コンサルについては本質を見事に突いてましたね。ただ、「従業員からボトムアップするので不正経理は排除できる」については「ホンマかいな」。
ちょうど15日にダイヤモンドオンラインで神戸大大学院の三品教授が「シャープ再建はもう手遅れ 失われた4年間の愚策」というかなり手厳しい論考を出されておりました。
「仮に銀行の債権放棄なしで鴻海が7000億円を注入しても、シャープが12年3月末の財務基盤を取り戻すには遠く及ばない。銀行の債権放棄を前提に産業革新機構が3000億円を注入しても、大同小異である。「かつてのシャープ」は、いまや蜃気楼」
確かに、戦略的決定の遅さがシャープの信用力を大きく毀損させたのは事実。この点で上記「大項目(4)」は当たっている。
それでも「高嶺のシャープ」を高値づかみしてくれるのか、鴻海よ。
だとすれば、その心意気を買って再建を託してみたいと思うのが人情。
でも、7,000億円。本当に調達できる?
ソフトバンクに出資要請との報道もありましたが、当のソフトバンクは自社株の買いで最大5,000億円使うと発表しており、どうなんですかね。
もっとも、テリー・ゴウ氏に言わせれば「できるかどうかは問題ではない。行動するかどうかだ」だそうですから・・・・。
まさか、資金調達に手間取って、冒頭の歌のように
「僕のものに ・・・・・なるわけないか」
ってなオチだけは勘弁下さい。
おあとがよろしいようで。
2月19日追記:東芝の向こうをはって、日経からこんな本が出ました。
back number - 高嶺の花子さん公式PV(1コーラス)
さて、このPVの撮影場所となったのが台湾。
台湾と言えば、当地を代表するカリスマ経営者・郭台銘(テリー・ゴウ)氏率いる世界最大のメーカー・鴻海(ホンハイ)。
そして、鴻海と言えば、産業革新機構との間で繰り広げている、シャープ買収合戦。(・・・やっとここまで来た)
買収金額を7,000億円まで一気に引き上げるなど、鴻海にとってシャープはのどから手がでる「高嶺の花」。
いろんなニュースや論評が出回っておりますが、何となくですが、流れは鴻海に傾きかかっているようですね。
そこで今回はテリー・ゴウ氏が一体どんな考えの持ち主なのかを同氏の語録からピックアップしてみました。これがなかなか味わい深いです(なお、後半に財務管理に関するコメントをまとめていますが、翻訳の関係もあって少々わかりづらいかも)
郭台銘(かくたいめい]=テリー・ゴウの熱中経営塾 | |
張殿文著/黄文雄監修 | |
ビジネス社 |
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・できるかどうかは問題ではない。行動するかどうかだ。
・順境の道には見える空が限られている。人間は逆境の道を歩かなくてはならない。若ければ若いうちが良い。逆境は成長のチャンスを与えてくれる。
・品質とは価値および尊厳の始まりであり、企業存続の命綱である。
・成功は最悪の助言者である。ただ無知と臆病をもたらすだけで、次の成功に導く経験と知恵を提供しない。
・企業には景気の問題はなく、あるのは能力の問題だ。
・決断の間違いは、浪費の根源である。
・いわゆる「コンサルタント」とは、「今は何時ですか」と聞けば、あなたの付けいている腕時計を見て「今は何時です」と答える人である。
・企業の財務管理は簡潔かつ直接各部門が責任を持つことで人為的ミスを防ぐ。
鴻海では先に全ての部門を「利潤センター」「コストセンター」「費用センター」に分けている。
費用センター=一定の予算が決められていて予算内で成果を出さなければならない。例えば、行政部門、法務部門など。
コストセンター=システム物流部門や技術支援部門など、コストを別の部門に転嫁する役割を果たし、利潤センターと互いに牽制。
利潤センター=鴻海の部門数では最も多く、財務をまとめて上に提出する力を備える必要がある。
↓
鴻海の財務諸表はそれぞれの従業員からボトムアップするので、途中から不正操作しようとする輩を排除できる
↓
「作成する帳簿は1つだけ」。
・企業の「信用度」は8つの大項目に由来する。
(1)経営層の安定性:社長や財務責任者がコロコロ変われば間違いなく経営の成果は顕われない。
(2)上級管理者の真剣さ:専門マネジャーの投入度と専門性は、会社経営者として基本のことである。
(3)グローバル化の平衡性:「世界はフラット」という状況下、どの会社でもグローバル化できる能力を備える。
(4)戦略的決定の速さ:会社の株主権を明確にし、権限付与が完全であれば、最短時間でコンセンサスが持てるのである。
(5)従業員利益の密着度:制度の完全性を推進することで、企業は従業員と利益を分ちあえる。
(6)顧客の分散度:多様化する市場および製品、業績が堅実に成長すること。
(7)テクノロジーの掌握:核心的特許を持ち、技術に由来する発展であること。
(8)チームの強調と一体化:効率ある組織構成により、全体の成果が展開できる。
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さほど目新しいものはないのですが、経験と実績に培われた言葉には重みを感じます。コンサルについては本質を見事に突いてましたね。ただ、「従業員からボトムアップするので不正経理は排除できる」については「ホンマかいな」。
ちょうど15日にダイヤモンドオンラインで神戸大大学院の三品教授が「シャープ再建はもう手遅れ 失われた4年間の愚策」というかなり手厳しい論考を出されておりました。
「仮に銀行の債権放棄なしで鴻海が7000億円を注入しても、シャープが12年3月末の財務基盤を取り戻すには遠く及ばない。銀行の債権放棄を前提に産業革新機構が3000億円を注入しても、大同小異である。「かつてのシャープ」は、いまや蜃気楼」
確かに、戦略的決定の遅さがシャープの信用力を大きく毀損させたのは事実。この点で上記「大項目(4)」は当たっている。
それでも「高嶺のシャープ」を高値づかみしてくれるのか、鴻海よ。
だとすれば、その心意気を買って再建を託してみたいと思うのが人情。
でも、7,000億円。本当に調達できる?
ソフトバンクに出資要請との報道もありましたが、当のソフトバンクは自社株の買いで最大5,000億円使うと発表しており、どうなんですかね。
もっとも、テリー・ゴウ氏に言わせれば「できるかどうかは問題ではない。行動するかどうかだ」だそうですから・・・・。
まさか、資金調達に手間取って、冒頭の歌のように
「僕のものに ・・・・・なるわけないか」
ってなオチだけは勘弁下さい。
おあとがよろしいようで。
2月19日追記:東芝の向こうをはって、日経からこんな本が出ました。
シャープ崩壊 ―名門企業を壊したのは誰か | |
クリエーター情報なし | |
日本経済新聞出版社 |