楽天が2015年12月期決算を発表しました。ちょっと気付いた点を2つほど簡単にコメント。
<プレゼン動画>楽天株式会社 2015年度通期及び第4四半期決算説明会
キーワードは、①減損処理への恨み節、②楽天銀行「機関銀行化」進む
(1)4Qで実施した減損処理にかなり不満と見た
三木谷社長と記者との質疑を日経より抜粋します。下線・太字は私がつけたものです。
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楽天の三木谷社長「減損を除けば営業増益」 2016/2/12
楽天が12日発表した2015年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比37%減の444億円だった。買収したフランスのネット通販会社ののれん減損が利益を圧迫した。会見した三木谷浩史会長兼社長は「減損など一時的な費用を除けば営業増益だ」と話し、収益力は衰えていないと強調した。主なやり取りは以下の通り。
――前期の営業利益が11%減りました。
「グローバルなIT(情報技術)企業で使われることが多い、一時的な費用を除いたベースの営業利益は1521億円と29%伸びた。過去に買収した海外企業ののれんの減損処理などを実施した。10年に買収したフランスのネット通販会社、プライスミニスターの業績が当初計画から少し乖離しているという監査法人の判断だが、今は収益を安定的に出せる体制になっている。減損を実施した電子書籍事業の楽天Koboについても当社としては収益力は高まっているとみている」
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当社HPで開示しているEXCELでの「補足資料」を開けますと、
いきなり「一時的な費用を除いたベースの営業利益」(Non-GAAPベースの営業利益)のコーナーが表示されます。
公式のIFRS営業利益でなく、減損処理等前のベースで見てくれと、見事な「我田引水」なリンクではありませんか。
よほど悔しかったんでしょうね。
担当監査法人、どこだと思います?
そう、あの法人です。
色々あってさすがに、意地?をみせたのでしょうか。
ただ、Ebates Group 972億円、Viber Group 1,001億円など楽天には総額3,694億円もの「のれん」が残っております。
来期以降も引き続き頑張って下さい。
(2)楽天銀行から楽天カードへの資金の流れに注目
決算説明会資料37ページと38ページを組みわせて見ると、楽天カードの借入金6,629億円のうち、外部からの調達は1,459億円にすぎないことがわかります。差額はグループの顔ぶれから見て、楽天銀行からだと容易に想像がつきます。
そこで楽天銀行の2016年3月期3Q決算説明資料を見てみますと、4ページ目に買入金銭債権(楽天カード信託受益権残高[流動化])が5,125億円とあります。今にはじまった話ではありませんが、カードローン残高3,208億円を抜いて、楽天銀行の最大の運用資産となっている点に注意が必要かと思います。要するに楽天銀行の預金の多くが楽天カードのローンに回っているというワケです。一般に、特定の事業会社や個人の資金調達を目的に預金を集める銀行のことを「機関銀行」といいますが、楽天もその域に達していると言って良いのでは。
楽天の連結貸借対照表上、カード事業でのカードローン残高は8,338億円、これに加え、銀行本体でもカードローン残高が3,208億円。EC取引で顧客を囲い込み、カードを持たせ、金融で儲けるビジネスモデル。
金融事業が元気なうちに高額買収先がちゃんと収益貢献できるのか、注目していきたいですね。
また、いきます。
<プレゼン動画>楽天株式会社 2015年度通期及び第4四半期決算説明会
キーワードは、①減損処理への恨み節、②楽天銀行「機関銀行化」進む
(1)4Qで実施した減損処理にかなり不満と見た
三木谷社長と記者との質疑を日経より抜粋します。下線・太字は私がつけたものです。
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楽天の三木谷社長「減損を除けば営業増益」 2016/2/12
楽天が12日発表した2015年12月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前の期比37%減の444億円だった。買収したフランスのネット通販会社ののれん減損が利益を圧迫した。会見した三木谷浩史会長兼社長は「減損など一時的な費用を除けば営業増益だ」と話し、収益力は衰えていないと強調した。主なやり取りは以下の通り。
――前期の営業利益が11%減りました。
「グローバルなIT(情報技術)企業で使われることが多い、一時的な費用を除いたベースの営業利益は1521億円と29%伸びた。過去に買収した海外企業ののれんの減損処理などを実施した。10年に買収したフランスのネット通販会社、プライスミニスターの業績が当初計画から少し乖離しているという監査法人の判断だが、今は収益を安定的に出せる体制になっている。減損を実施した電子書籍事業の楽天Koboについても当社としては収益力は高まっているとみている」
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当社HPで開示しているEXCELでの「補足資料」を開けますと、
いきなり「一時的な費用を除いたベースの営業利益」(Non-GAAPベースの営業利益)のコーナーが表示されます。
公式のIFRS営業利益でなく、減損処理等前のベースで見てくれと、見事な「我田引水」なリンクではありませんか。
よほど悔しかったんでしょうね。
担当監査法人、どこだと思います?
そう、あの法人です。
色々あってさすがに、意地?をみせたのでしょうか。
ただ、Ebates Group 972億円、Viber Group 1,001億円など楽天には総額3,694億円もの「のれん」が残っております。
来期以降も引き続き頑張って下さい。
(2)楽天銀行から楽天カードへの資金の流れに注目
決算説明会資料37ページと38ページを組みわせて見ると、楽天カードの借入金6,629億円のうち、外部からの調達は1,459億円にすぎないことがわかります。差額はグループの顔ぶれから見て、楽天銀行からだと容易に想像がつきます。
そこで楽天銀行の2016年3月期3Q決算説明資料を見てみますと、4ページ目に買入金銭債権(楽天カード信託受益権残高[流動化])が5,125億円とあります。今にはじまった話ではありませんが、カードローン残高3,208億円を抜いて、楽天銀行の最大の運用資産となっている点に注意が必要かと思います。要するに楽天銀行の預金の多くが楽天カードのローンに回っているというワケです。一般に、特定の事業会社や個人の資金調達を目的に預金を集める銀行のことを「機関銀行」といいますが、楽天もその域に達していると言って良いのでは。
楽天の連結貸借対照表上、カード事業でのカードローン残高は8,338億円、これに加え、銀行本体でもカードローン残高が3,208億円。EC取引で顧客を囲い込み、カードを持たせ、金融で儲けるビジネスモデル。
金融事業が元気なうちに高額買収先がちゃんと収益貢献できるのか、注目していきたいですね。
また、いきます。