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世紀の大粉飾事件「8つの兆候」に思う

2023-12-14 | 会計・株式・財務
いつもご覧下さり、誠にありがとうございます。
週刊金融財政事情12月12日号では「信用リスク」を特集しておりまして、先日私のブログでも取り上げた「堀正工業」が「世紀の大粉飾事件」の舞台として改めてその内容が紹介されておりました。

粉飾手法については私のネタ「粉飾20年、50金融機関を騙し続けた堀正工業に思う」でも紹介しておりますので、今回は同誌記事にあった「堀正工業の粉飾決算で見られた8つの兆候」が今後の多少の参考になると思いまして記述しておきます。

<8つの兆候>
①コロナ禍での増収増益=堀正工業の得意先が業績悪化なのに・・・
②毎期ほぼ一定の粗利益率=コロナ禍で原材料コスト上昇しているのに・・・
③現預金と借入金のバランス=通常は月商の2か月あれば十分だが3倍の6か月分もあった・・・
④直近決算での在庫増加=粉飾分析システムでもアラート出たが「仕入先から依頼されて・・」などと弁明。
⑤決算書類提出の遅さ=金融機関ごとに辻褄のあった決算書を作成するにはどうしても時間かかるんです。
⑥金利引き上げ要請への対応の良さ=金融機関が喜ぶ「作法」を弁えていた
⑦信用保証協会を利用したがらない=複数の金融機関が信用保証教会に当社の決算書を提出すると決算書の相違がバレてしまうため。
⑧社長に会えない=社長が出るとボロが出る恐れがあるためだとか。


確かにそれぞれ違和感ありますよね。
個人的には①の視点は非常に大事だなと思いました。
すなわち、得意先の業績が苦しいのに自分は安泰でしたら、「条件を見直してくれぃ!」とツッコまれるのが関の山ですから。
その批判をかわすためにも⑤決算書提出の遅さってのは自社にとって好都合だったかも知れません。

いずれにせよ20年以上、50金融機関もだまし続けたギネス級の大粉飾。
「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもんだ。
でも後世にこの失態を語り伝えるためにも、池井戸潤さんあたりで小説か映画にしてくれないかな。

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