◆「財務アナリストの雑感」 2024◆

会計士兼アナリストによる屈指の歴史だけがウリの会計・財務・株式・金融ブログ。異常な経済金融環境を一刀両断!できるかな?

日経ヴェリタス3/23号を見ての雑感

2008-03-23 | 会計・株式・財務
本日は、小ネタで攻めます。



●1面:アナリストランキング。
 トップアナリストによる買い推奨、売り推奨が発表。
 IT・インターネット部門では「買い:ヤフー」、「売り:楽天」。

    うーん、確かに当たっている・・・・・・・
      ・・・・・・・パリーグ開幕3連戦の結果に一致してます
              (ヤフー=ソフトバンク、対楽天3連勝)。さすがだ。



●12面:セブン&アイの金融事業(セブン銀行)の特集。
 鈴木代表のインタビュー付きだ。
 先週の「シャリア指数」でも当社が採用される可能性を示唆していたことと
 合わせると、ちょっとバイアスがかかっているような印象。

 金融事業はセブン銀行だけではなく、アイワイカードもお忘れなく。
 また営業利益に基づくEBITDA倍率で株価を試算しているが、
 恒常的に発生する固定資産除却損などの特別損失も正常収益力の減少項目
 として考慮すべきでは?


●17面:エーザイ、13年ぶり社債発行。
 M&A資金4,100億円のうち、2,000~3,000億円。
 この背景にはDOE(自己資本配当率)の目標値8%があるため、
 エクイティでの調達を避けたもの。

 財務内容が悪化するため格付機関ムーディーズはAa3からA2へと引き下げますが、
 株主・投資家から見れば筋の通った対応。

 格下げなんかに負けずに、「元気出していきましょう」。


●17面:REIT相場。
 市場では「下値が確認できれば反転の可能性がある」と。

 ・・・・この表現って、当たり前のことではないの?


●最後は少しマジメに。63面:グレアムのバリュー株選別基準。

「安全性基準」

 ①負債合計が株主資本より小さい、
 ②流動資産が流動負債の2倍以上、
 ③負債合計が純流動資産(流動資産-流動負債)の2倍以内、
 ④過去10年の1株利益の平均成長率が7%以上、
 ⑤1株利益が5%以上減益となったのが10年のうち2回以内、

「割安基準」

 ①株式益回り(1株利益÷株価)がトリプルA格社債の利回りの2倍以上、
 ②PERが対象全銘柄の中で低いほうから10%以内、
 ③配当利回りがトリプルA格社債の利回りの3分の2以上
 ④株価が1株当たり純資産を下回っている
 ⑤株価が1株当たり純流動資産(流動資産-流動負債)の3分の2を下回っている、

・・・・大荒れ相場に相応しい、好企画。
でも、安全性基準の⑤っていうのは、キツイ。
というのは、この10年というもの、日本の会計基準改革(ビックバン)のド真ん中で、
退職給付会計や減損会計の導入で、特別損失が出まくった期間でしたから。

でも、グレアムの基準は、「安全性基準」のうち1つ、「割安基準」のうち1つを
同時に満たしていれば「買い得」とのこと。この環境下であれば結構ありそうです。


但し、77面でも少し触れておりますが、足元の株安・円高が業績に与える影響も
そうですが、「純資産」にも悪影響を与えうる点にも留意が必要でしょう。


釈迦に説法ですが、その他有価証券評価差額金が減少、
(連結の場合は)為替換算調整勘定のマイナス幅拡大が純資産を押し下げます。
さらに言えば、年金運用等がマイナスに陥るおそれがあることから
退職給付会計で未認識数理差異という簿外債務が膨れる可能性もあり、
これが実質的な純資産をさらに押し下げるってこともあるでしょう。


ですので、08年3月期決算の数値で1株当たり(実質的な)純資産で見たら、
そんなに割安でない、ッてケースも出てくると思います。

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