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同族会社経営に衝撃を与える新税制とは? -法人成りにも厳しいナリ-

2006-01-30 | 会計・株式・財務
いつもご覧下さり、誠に有難うございます。


「どこが粉飾祭りだよ?」とのツッコミが容易に予想されますので、
本題に入る前に、ライブドアネタを1つ。


週刊東洋経済06.2.4号ではドーンと徹底解明していたのでご覧になった方が
多いと思います。私が注目したのは、
同誌が明らかにした05/9期の金融事業の営業利益構成。

金融事業全体で146億円ですが
    うち、ターボリナックス売却益 40億円、
       MSCB引受      35億円
       トレーディングなど   18億円
       他、投資銀行業務    12億円
       証券(対面)      25億円
       証券(オンライン)    0億円
       電子マネー・ビットキャッシュ   5億円
       オンライン外国為替取引  8億円
       消費者金融        4億円
ターボ社は連結子会社ですが、すっかりお馴染みの投資事業組合に移して、
売却益を特別利益でなく、営業収益の段階から計上したって訳ですね。
内訳開示しなかった理由がよーく分かりました。

これも教訓ですが、
「核心部分を隠している場合は、“何かある”と思ってまず間違いない」。



さて本題。
週刊エコノミスト06.2.7号に木村聡子税理士が書かれた
興味深い記事があったのでそのポイントご紹介
(会計士・税理士の諸先生方は十分ご存知のお話です)。

新会社法施行(06.5.1予定)後に節税目的で会社を作ろう!!
という方などに冷や水を浴びせる内容かも。

そもそものきっかけは、
2006年度の税制改正である規定が盛り込まれたことにあります。

それは、

一定の同族企業経営者の役員報酬の「給与所得控除に相当する金額」については、
法人税の計算をする際に「損金不算入」(税務上の利益)として「課税」する、

というもの。


これまで、同族会社などは、役員に給与(役員報酬)をできるだけ支払って
利益を縮小し、極力法人税を支払わないようにしているところが多い。
それが課税されてしまうってんだから、旨みは減る。

また個人事業者であれば、実額経費しか控除できなかったところを、
法人であれば、実額経費を控除した後に、さらに給与所得控除という概算経費
も控除できることから、
小規模事業者が個人事業から「法人成り(事業の法人化)」することの
大きなメリットの1つとされていました。
そのメリットが大幅に縮小ことになる。

改正の趣旨=個人事業者とオーナー企業の公平性確保?


■適用対象は?
 同族会社の業務を主宰する役員及びその同族関係者等が発行済株式の総数
 の100分の90以上の数の株式を有する、
       かつ
 その業務主宰役員等が、常務に従事する役員の過半数を占める

■ただし適用除外規定もあります。
  1)業務主宰役員の給与+法人所得の直近3年内の平均額が年800万円の
    場合、
        または
  2)当該平均額が800万円超3,000万円以下でかつ、
    業務主宰役員の給与が当該平均額に占める割合が100分の50以下


この規定が会社設立ブームに本当に水をさすのか、注目したいですね。

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