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歴史的な「マイナス粗利」 ~マクドナルド2015年12月期決算に思う

2016-02-10 | 会計・株式・財務
いやぁ、9日の長期金利のマイナスはさすがに衝撃大きかった。
短絡的かとは思いますが、
「金融機関の収益低下→金融株の下落→金融株を保有している圧倒的多数の事業会社への波及→連れ安」
と考えるのが自然でしょう。為替への影響もどこへやら。マイナス金利はもうやめたほうが良いと思うんですけどね。


さて同じ9日、日本マクドナルドホールディングスの2015年12月決算が発表されました。
細かいことはニュース等に譲りまして、私が注目した点だけサクっと。

何が驚いたかって、粗利益(売上総利益)

1,900億円近く売って、粗利益はたったの1億47百万円!粗利益率は0.00775%
実に芸術的な着地です。監査はしっかりと見て下さい。


特筆すべきは、直営店の粗利益です。

直営店売上高  142,539百万円
直営店売上原価 143,138百万円
--------------------------------
粗利益(粗損失) ▲599百万円


アラリでなく「アラソン」です。


日中のマイナス長期金利も強烈でしたが、日本を代表する飲食チェーン直営店での「マイナス粗利」。これもなかなかのもの。
ただし、顧客の立場からすれば、「1年中、出血大サービス」していたことになります。実は、ムッチャ顧客に優しい会社なのかも(皮肉です)。
マックの決算は久々に見ましたが、こんなに酷かったんですね。
このアラソンを、フランチャイズ関係の利益747百万円で穴埋めして全体で辛うじてプラスを維持。


2016年12月期は、1月の既存店売上高が前年比+35%超と回復していること等を踏まえ、強気の姿勢。
でも前年1月が▲38.6%と酷すぎたことの反動で、しかも前年分をカバーできたわけでもない。まだまだ予断を許しません。


日銀のマイナス金利とマック直営店のマイナス粗利。
どちらが先に解消するか注目していきましょう。

(ていうか、するかっ!)

最後に。
マクドナルドの凄いところは、配当が安定しているんですよね。財務体力があるので、確認しただけでもこの10年間、年間約40億円の配当を支払い続けております。配当は1株30円、2月9日終値は2,487円ですから配当利回りは計算上1.2%。
この先のマックの配当政策を知る由もなく、親会社による株式売却方針もあったりしますので、株価や財務体質がどうなるかは全くわかりません。ですが、こんな金利情勢ですので、配当に注目した投資もアリかも知れませんね。
(投資判断は自己責任でお願いします)


またいきます。

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