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住商、米でタイヤ販売大手買収へ ―のれん900億円弱?

2005-09-19 | 事業再生・M&A
住友商事が当社としては最大のM&A発表。
まずは日経記事。続いてコメント。
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住商、米でタイヤ販売大手買収へ・1200億円投じ店舗網

住友商事は米ナスダック上場の自動車用タイヤ小売り大手、
TBCコーポレーション(フロリダ州)を年内に買収する。
TBC経営陣との合意に基づき、
TOB(株式公開買い付け)
などの手法で全株式を買い取る計画。
買収額は1200億円前後に達する見通しで、
住商の企業買収では過去最高額となる。
1000店を超すTBCの販売店網を手に入れることで、
既存の卸売事業と合わせ全米でタイヤ販売の一貫体制を整える。

TBCは1990年代後半から、プライベートブランドを持つ
タイヤ小売会社や事業を次々と買収。
2004年12月期の連結売上高は前の期比41%増の
約18億5500万ドル(約2040億円)、
純利益は同17%増の3760万ドルと急成長している。
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総合商社は資源高などのフォローの風を受け
業績は絶好調。事業投資にも積極的です。

この中にあって、住友商事は昨年、
財務内容良好なのに1,000億円の増資を実行
したこともあって、投資家・アナリストから、
事業投資実行へのプレッシャーをかなり受けていた
と思われます。

ちなみに、枯渇しかかっている北海油田、
米国ペット事業の買収・・・と住商の投資は
物笑いのタネになっているとか。

そして今回はタイヤ。
TBCの純資産はざっと300億円強ですから、
のれん=買収金額1,200億円―TBCの純資産300=900億円弱
と巨額なものとなります。

しかも、日経記事を見る限り、
TBCも買収で成長した会社。

これは推測ですが、
米国会計基準の「のれん非償却」
の恩恵も受けているでしょうから、
純資産の一部はのれんで構成されている、
という見方もできます。

よって、将来、万が一TBCの事業が傾き出したら
往復ビンタのように「のれんの減損」を強いられる
可能性がありますので留意が必要ですね。

高い買い物にならなければ良いのですが。
明日以降の株式市場の反応に注目しましょうか。
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1 コメント

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注目してます (mimi)
2005-09-20 22:12:46
タイヤやセメントは在庫負担を卸が負っているし、嵩張るし、大変ですよね。



アメリカでタイヤ事業っていうとファイヤーストーンとか思い出しちゃうけど、石橋をサッサと渡る住商さん(経済系週刊誌に出てた)だから大丈夫でしょう(無責任発言ですが・・)。
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